忍者は殿様と直に接することができ、重要な役割を担っていたとはいえ、決して表だった行動はしないので、かなり地味な存在。
そんな忍者の末裔が、現代社会に潜んでいるとしたら……。
『忍者だけど、OLやってます』は原作の面白さと、美形なのにギャップのあるコミカルな絵が見事にマッチして、楽しさ倍増のマンガになっています。
望月陽菜子(もちづきひなこ)28歳は、忍者の頭領(リーダー)の一人娘でありながら、掟(おきて)や命(めい)に縛られた人生が嫌で、親も里も捨て東京でOL生活を送っていました。
ある日、課長で同期の和泉沢創(いずみさわつくる)から、とんでもない相談を受けます。それは、ドバイの新規顧客との契約書を紛失したというのです。


どイケメンで研究者としては優秀なのに、いつも女に騙されてばかり。しかも困ったことがあると、すぐ陽菜子に泣きつく “ぼんくら”お坊ちゃんなのです。
和泉沢の話から、会社の契約書を盗んだのは最近知り合った彼女ではないかと思った陽菜子は……、

思わずほっこりの和泉沢を見ていると、陽菜子ならずとも放っておけなくなるから不思議。というのもiko先生が描く和泉沢が、かわいいのです。もうズルいでしょ、と言いたくなるくらいかわいい(笑)。
契約書は難無く取り戻したものの、この件には森川係長が関わっていることを知った陽菜子。会社では仕事ができて面倒見もよく、実質的なエースと言われている森川って一体何者!?



このお話は、次々とイケメンが登場して目の保養だなぁと喜んだのも束の間、惣真は“冷徹”を体現したような人物で、陽菜子は抹殺されそうになります。
結局、1週間以内に森川係長が誰と通じ、何を目的としているのか探ることを約束させられます。陽菜子が勤めるエネルギー会社の動向は、国益と関係するので。
なんだか話が大きくなってきたぞーと思いつつ、こんなふうに諜報員として任務を遂行している忍者の末裔が、私たちの知らないところで活動しているかもしれない!!と思ってしまいました。
そして、陽菜子が里を捨てた本当の理由も身に沁みる話なのです。
陽菜子は、変身術しか能がない落ちこぼれの忍者だったため、有能な惣真との間に跡継ぎを産むしか価値がないと思われていたのです。


こんな感じで『忍者だけど、OLやってます』は、色々な要素がいい具合にミックスされて、面白くなる予感しかありません。
原作を読んだことがある方の期待も、決して裏切らない作品だと思います。