隙なし、文句なし
どこを切り取っても「カーッ」と唸りたくなるマンガだ。これを好きになる友達の顔が山盛り浮かぶ。
『アンダーニンジャ』のことをツイートできる文字数で言うと「忍者が暗躍するパラレルワールドの現代日本マジでヤバい」って話で、この日本に今すぐ行きたい。だって忍者が約20万人ですよ? この規模感じゃなきゃ出ない不穏さと色気で1冊みっちり。
手応えのあるニンジャワールド
『アンダーニンジャ』の世界の忍者たちの現代史を紐解くと、戦後のGHQが出てきます。
「一部の親米派の忍者」って単語にニヤッとなる。
「現代に忍者がおりまして」と言葉だけで考えるとだいぶ荒唐無稽なのに、こうして読むと「あ、これは忍者いるわ」という気持ちになる。忍者の世界的な活躍は以下のように描かれる。
紛争地帯の特殊部隊員すら「俺らの出る幕なし」。アツい。……でも、ここまでのお話はスターターなんですよね。(お通しがとんでもなく美味しい居酒屋を想像してほしい)
ここからが本題です。主人公はそんな現代日本を生きる忍者のうちの1人、"雲隠九郎"。
彼、無茶苦茶ヒマなんですよ。忍者は20万人もいるので紛争地域で大活躍するような“キャリア(中忍以上)”と呼ばれるエリート忍者だけでなく、なんにも活躍させてもらえない末端の“ノンキャリ(下忍)”も存在するんですね。雲隠はまさにノンキャリ忍者で、4畳のアパートでゴロゴロ。
そんな雲隠に任務が与えられることに。ノンキャリというかニート終了の予感。
忍者は007じゃないので「自分に与えられた仕事が何であるか」を探るところからオペレーションは始まります。
忍者だーっ! この忍者めっちゃ近所のコンビニにいそう。
すべてが音もなく進む
雲隠くんが任務に向けて始動するのと並行して、彼の半径数キロの世界で不穏な出来事が起こり始めます。
忍者に憧れ来日した謎の外国人。
この「どこにでもいる」かつ「誰もわからない」忍者の世界が、真夏の現代日本でジリジリ始まるわけです。わかりやすい敵はいない(見えない)けど……
ヤバい。
この忍者たち毎朝JR乗って通勤してそう。日常と地続きなのが楽しい。
そして、忍者をめぐる大きな物語のすぐ隣では、雲隠くんのご近所さんたちの謎トラブルも展開される。
こっちはこっちで大変なんだよなあ……。ただの下着ドロボー事案をこえてて目が離せない。
以上のように、日本中が静かに不穏で、近いうちに必ず大ごとになりそうな要素が詰まっている。でもなんか無性にワクワクするんですよ。
刀や手裏剣だけじゃない忍者の現代戦、めっちゃ見たい。(雲隠くんの服装も言動も気になる)で、気が早すぎるんですけど2巻は夏頃出る予定なので、正座して待ってます。
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レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。