吸血鬼とオタク男子の同居生活
そして、その家での初めての夜。
この『チョコぷり』は、新人・うしくえいによる“吸血鬼もの”の“いちゃラブ”漫画。察しの良い方はお分かりかと思うけれど、本作はBLの世界線にある。BLにはさまざまジャンルがあり、奥深き世界であるのは承知。そのなかで本作がどういうものかマニア向けに解像度高くビシーっと説明できればいいのだけど、(その知識に欠けているので)真正面からこの物語のかわいらしさを伝えたい。
共鳴する魂がふたつ
リンが怪しい不動産業者に「白い髪の幽霊は吸血鬼だった」と電話すると、彼はさほど驚くこともなく受け入れ、「地下室には入るな」と忠告をする。しかし、ふたりは地下室へ入ってしまい、1冊の本を見つける。
目を覚ましたチョコは、ほんの少しだけ強くリンを求めるようになる。
そしてある夜の吸血で、リンは全身の血がソーダ水になったような不思議な感覚に見舞われる。そして夢の中で見たのは、病弱さゆえに友だちを作るきっかけを失い、友だちがいないことを無理して受け入れた日々。孤独であることに納得しているのに、夢の中で涙を止められないリン……
リンも、チョコと同じように誰か大切な人の記憶を失っているのか?
それともチョコの大切な人の記憶を、リンも共有したのか?
それはわからない。
しかしチョコは言う。
記憶を失って空っぽだったおれを満たしてくれたのはぷりんだよ
本作は美しくてかわいい男の子が、ずっといちゃいちゃしている至福感の高い作品なのだが(いろんな意味で行為のハードルが低いBL世界は、葛藤のストレスがなくて心地よい)、孤独なふたつの魂がどうしようにもなく引き寄せ合ってしまう切ない物語でもあるのだ。
そんなある日、リンの前に首に十字架のタトゥを入れた辻堂ナツキという人物が現れる。








