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2025.02.04

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生意気モテ高校生×カタブツ熱血先生! こじらせ片想いの青春暴走ピュアラブコメディ!!

この距離感がいい……!

いやー、「進展しない」ってこんなにもキュンとするものなんですね! 距離感と余白の美学が効いてる!

『篠原先生は絶対にオチない』は、題名通り難攻不落の“篠原先生”と、彼を恋い慕う高校生の“岡本園(おかもとその)”とのラブコメ……なのですが、篠原先生を知れば知るほど、「やっぱり、オチないなあ」と「ひょっとしてオチるんじゃない?」との間で私は揺れています。
岡本の「好きなのになあ……」って声が今にもこぼれそう。そして篠原先生の眼鏡の下に透けて見えるまつげがキレイ。色素の薄い短髪や、眼鏡のシンプルなフレーム、それからおでこのニュアンスもいい。

この動きそうで動かない2人にソワソワしたり和んだりで、進展しないのに心が忙しいです。

どうしても好きになれない生徒

篠原先生は高校の古文の先生。熱血教師で生徒からも人気で、女子生徒から告白されたり(ちゃんと断る)。そして特定の男子生徒に、妙に懐かれています。
岡本はなんだかんだ理由をつけては篠原先生にちょっかいを出しまくり。そんな岡本のことが篠原先生は大嫌い! ちょっと前まで「嫌いめの生徒」だったのに今や「大嫌いな生徒」に格上げ(格下げ)されました。

というのも、岡本はモテモテすぎて、女性がらみのトラブルを多数起こし、職員会議で何度もその名が挙がる問題児だから。つい先日も女性教員と校内でキスをしていると思しき写真が出回ったばかり。
しかもその女性教員は、篠原先生の交際相手でした。そりゃ顔を覆いたくなるよね。学校のみんなには交際のことを秘密にしていたし……。

で、本件をきっかけに篠原先生と交際相手は別れることに。おまけに篠原先生が彼女からフラれる始末! 諸事情あって篠原先生は彼女を責めなかったのに、彼女が岡本のことを本気で好きになっちゃったんですって。罪深い&さすがモテモテすぎの岡本。

ということで、地獄のどん底に落ちてしまった篠原先生は、とてもじゃないが岡本を生徒としてかわいがることなんてできません。教師だって人間だもの!

やがて篠原先生の元恋人は学校を辞めることに(そりゃそうだよね)。噂を聞きつけた岡本は、篠原先生のもとに駆けつけます。
岡本は、篠原先生の交際のことを知っていました。なんで知ってるの? じゃあなんでキスなんてしようとしたの? 教師の立場を忘れて岡本につかみかかる篠原先生! そこで岡本は衝撃の告白をします。
気づいてよ、篠原先生! わかってよ、俺の本当の気持ちを!
わからないそうです! さすが絶対にオチない篠原先生、岡本がこんなに頑張って距離をつめているというのに、なーんにも気づいてない。

いい子にしてたらもっと笑ってくれんのかな

女性にはモテモテだけど、そのぶん男子生徒からは嫉妬とやっかみで足をひっぱられがちな岡本。篠原先生にとって岡本は大嫌いな生徒ですが、そこはやっぱり熱血教師、少しずつ岡本のことを知って、彼の人となりもわかってきます。

夜の繁華街で生徒が目撃されていると職員会議で話題になれば、篠原先生の頭に最初に浮かんだのは岡本の顔。疑わしいからじゃじゃなくて、心配だから。

生徒が補導されたと警察から連絡があって、すっ飛んで行ったときも、きっと篠原先生は岡本のことを考えていました。
あんなに大嫌いだったのに!

そして岡本も、篠原先生からのまなざしを忘れることができません。優しい目なんですよ。篠原先生は非常にまともで、あたたかい教師なんですよね。だから岡本は夜遊びを控えるようになります。
いい場面だな……。キュンとするし、あったかくなるよ。

岡本の少年っぽさにホッコリしたかと思えば、こんな危うい瞬間も。
岡本は篠原先生よりも背が高くて、こんな目をしていて、篠原先生を本気で見つめるときはちょっとかがみます。篠原先生のことが本気で大好き。大好きだけど、むちゃくちゃなことはしないし、篠原先生が喜んでくれるならいい子にだってなれる。そして大人の先生と子供の自分とがどうこうなれるなんて思っていません。でも本気なんです。その本気さは、やがて2人の関係に何か影響をおよぼすんじゃないでしょうか。

距離が縮まりそうで、縮まらない。でもその距離を包む空気が、2人の間にだけ流れる特別な空気に思えてしょうがない。教師と生徒、何も起こらない場面なのに、胸がさわぐ(いつものように制服とスーツじゃなくて、私服同士なのもアツい!)。

今のところ篠原先生にオチる気配はなく、それがまた最高におもしろいけれど、このままで終わる気がしません。なぜなら「絶対にオチない」とはあくまで現時点の状態を表す言葉であって、永遠にオチないだなんて、誰も約束していないからです。

レビュアー

花森リド

ライター・コラムニスト。主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」などで執筆。

X(旧twitter):@LidoHanamori

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