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2024.02.09

レビュー

体内ではたらく「おくすり」の効能がわかる擬人化漫画。『はたらく細胞』スピンオフ!

風邪をこじらせ何日も寝込んでいると、ずっと薬を飲み続けているのになんで効かないの?と思ってしまいます。
だけど体の中では、こんなことが起こっていたのですね。

いつものように、人体に酸素を運んでいる赤血球ちゃん。
今日は妙に熱いと思ったら、白血球さんやキラーT細胞、NK細胞など「免疫細胞」が活発になるよう、体温が上がっていたのでした。そう発熱です。

       


免疫細胞たちがウイルスをやっつける姿を見ていると、いいぞ!!がんばれ!!と思わず言いたくなりますが、人間の体からすると最悪ですよね。
発熱のせいで眠れなかったり、体が痛かったり、食欲が出なかったりと苦しいわけですから。
そんな非常事態に投入されたのが、こちら。

        



待ってました!! お薬ちゃん。思わず“ちゃん”づけしたくなる、このかわいい子の名前は「非ステロイド性抗炎症薬」。またの名をNSAIDs(エヌセイズ)。
ステロイドを使わずに熱を下げたり、痛みを和らげたりする効果があり、私たちにとって最も身近な薬のひとつです。
       
この子が本気を出すと、まるで別人。とんでもない破壊力で体内の熱を冷ましていくのですが、それはつまり免疫細胞が活性化できなくなるということ。

具合が悪くなると、当たり前のように薬を飲んでいましたが、本来の細胞の働きを抑えこんでいるのだと思うと、ちょっと複雑な気分。
改めて薬に頼らなくてもいいように、体調管理をしなければと思いました。

『はたらく細胞おくすり』ではこのほかに、かゆみに効く薬や胃薬も出てきますが、衝撃的だったのは「水ぼうそうワクチン」。
       

コロナ禍後、「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」が増えているといいます。
この病気は、疲労、ストレス、加齢で免疫力が落ちると発症するので、私には無縁だと思っていましたが、子供のころ水ぼうそうになった人は発症の可能性があるとか。

というのも、大人になっても水ぼうそうウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)は、神経節の中に潜伏しているというのです!! 知らなかった……。

はい、ここで登場するのが「記憶細胞」。これは免疫記憶を保持しているリンパ球で、本来なら「抗体」を作り出せるのですが、記憶喪失で使いものにならない。
ということで、赤血球ちゃんとB細胞(抗体産生細胞)君が、過去のデータを探しに行くことに。

そこで目にしたのは、なんと化石化した「水ぼうそうワクチン」でした。

        



このワクチンに勝つために、免疫細胞たちが「抗体」をつくり、その「抗体」のお陰で、水ぼうそうにかかっても軽症で済んだというわけです。
そして、このときのデータから復元した「抗体」によって、今度は「帯状疱疹」もやっつけたのでした。

子供のころ、予防接種という名の注射をやたら打たれた苦い記憶がありますが、もっと早くにこの仕組みを早く知りたかった……。そうしたら、注射も怖くなかったかも(笑)。
        
『はたらく細胞』シリーズを読んでいつも思うのは、人間の体って本当にすごい!! よくここまで生きてこられたな!!という、自分の体ヘの感謝と愛着。

お子さんにねだられて『はたらく細胞』を買う方も多いようですが、いやいや、これを子どもにだけ読ませるのはもったいない!!
今回も、期待以上の面白さでした!!

はたらく細胞 おくすり(1)

原作 : 割田 コマ
著 : 九似 良
監 : 清水 茜

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レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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