新型コロナウイルスの感染拡大で休校していた各地の学校も、本格的に授業が再開しつつあります。そんな中、「学校には行きたくない!」と言いだす子どもも。
何かの理由で子どもが苦しんでいるとき、多くの親もまた、あわてたり、落ち込んだりしてしまうものです。書籍『令和時代の子育て戦略』を刊行した下園壮太さんに、子どもの悩みを支える3つのポイントを教えてもらいました!
親がとるべき3つのポイント
親が子どもの悩みを支えてやるとき、基本姿勢として次の3点を覚えておいてください。
・最初に子どもの話を「聞く」
・「行動」は子どもが決める。親はその手助けをする
・一貫して伝えるべきメッセージは「親はあなたの味方だよ」
この3つの基本姿勢は、小さな子どもの場合でも、思春期にある子どもでも、成人した子どもでも変わりません。ちなみに、3つ目の「メッセージ」とは、言葉そのものもありますが、親の態度や振る舞い、雰囲気などもひっくるめて、伝える価値観のことです。具体的なスキルは、次の通りです。
①〈話の聞き方〉何をおいても最初に子どもの話を「聞く」
基本姿勢の1番は「最初に子どもの話を聞く」です。お子さんが悩みやトラブルに遭遇したとき、何をおいても親がとるべき対応は、話を聞いてあげることです。ただし、漫然と話を聞くだけでは支援にはなりません。聞き方のポイントは次の通りです。
・子どもの話を「全部」聞く
・子どもが内容を思い出せるように聞く
・「聞いていること」を積極的に態度で伝える
・本人なりの「苦しさ」や「努力」を聞く
②〈感情との向き合い方〉どんな感情も否定しない
話を聞く中で、子どもが取り乱して泣き出したり、叫んだり、逆上してモノに当たったりする場面もあるでしょう。親としても胸が痛む場面です。
けれども肉体的に傷がつくような緊急時以外は、親が心得ておくべきは、第一段階で子どもの様々な感情の発生は否定しないこと。認めてやることで、必ず、その感情のピークが過ぎます。あまり良くない態度に出たとしても、まずはその裏にある感情をくんであげます。
子どもが他者に迷惑をかけるような行為をしたら、その場では現実的に対応し、「行為」は注意しますが、必ずあとで「全部聞く」でフォローしてください。感情そのものを、頭ごなしに責めたり、叱ったりしないようにします。
③〈親の気持ちの伝え方〉カウンセラーにはない親だけの役割
子どもとの対応に悩む人が、カウンセリングを勉強することも多いでしょう。ただ、聞き方のスキルを学ぶのはいいのですが、カウンセラー的態度をマネしてはいけません。
子育てに、カウンセラー的な態度を入れると、少し「他人行儀」な感じになり、逆に子どもの心を閉ざさせてしまう可能性もあります。
これに対し、親は躊躇なく、「私はあなたの味方」「あなたのどんな気持ちも認める」という一番重要なメッセージを伝えることができますし、「私だったらこうするよ」というモデルを示すことは、それは同じDNAを持つ親だからこそ意味があります。
子どもの悩みには、第三者的、カウンセラー的態度より、生身の親としての支援のほうが、うまくいきやすいのです。
④〈問題解決のために目標の立て方、行動の仕方〉体は一つ、取れる行動も一つ
子どもの話を全部聞くことができたら、今度は、ではどうするのか「行動」です。行動を考えるとき、カウンセリングの中でも私がよく教えていることは、「体は一つ、取れる行動も一つ」ということです。
「心の中に気持ちはいろいろある。その全ての気持ちを認めてあげて、まずは心を整理しよう。そして、現実の問題もよく考えて、現実にはどうするか決めよう。いろいろな気持ちや要求はあるけれど、取れる行動も一つだからね」
子どもが悩んでいるということは、葛藤しているということです。やりたい(気持ち)、やりたくない(気持ち)、やならければらなない(理性)、できるかどうか不安(気持ち)、でも期限が決まっている(理性)……。悩むときにはいろんな気持ちがあり、そこにも折り合いをつける「総合解決策」を親は探してあげるのです。
子どもがトラブルにあるとき、苦しいときは子育ての最大のチャンスです。
「どんな自分、どんな気持ちも認める」
「自分なりの意思、行動を尊重していい」
「行動は何度でも、やり直せる」
重要な価値観を、親の「メッセージ」として子どもに渡してあげましょう。そして、こうした「メッセージ」こそが自己肯定感を高めるスキルとなり、大人になってからも幸せに生きていける土台になります。
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