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2018.11.27

レビュー

コピペは悪いことか?ネット環境などに対応した大学生のためのレポート・論文術

先日、甥っ子の夏休みの宿題を手伝っていて衝撃を受けました。「読書感想文」のマニュアルが配布されており、「この本を読んで最も印象に残った場面」「主人公の気持ちはどうだったと思うか」など逐一“原稿用紙の埋め方”が細かく書かれておりその通りに埋めていけば完成するような「型」が決まっていたのです。

子供の個性が育たないのでは?と素人ながらに思ってしまったのですが、この方法、案外悪くないのかもしれません。

「文章を書くのが嫌い」という人に話を聞いてみると「どう書いて良いか分からないから時間がかかって結局書けない」という意見がよく挙がってきます。もちろん「上手い文章」を書くというのは簡単なことではありません。

すべての文章は「型」を知っていると作りやすい。そんなことに気づかせてくれるのがこの『最新版 大学生のためのレポート・論文術』です。うまい文章は書けなくても「わかりやすい文章」にすることは誰もが可能だと気付かせてくれるこの1冊。ポイントをご紹介します。


■文章のわかりやすさを作る原則とは

本書によれば、わかりやすい文章の条件とは

・ 一文が短くスッキリしていること。
一文は30文字以内が理想。長くても40字前後までを目指す。

・ 重複する表現が入っていないこと。
一つの文章のなかに、同じ意味のコトバを2回入れないようにする。

テレビゲームは、大きく二種類のタイプのゲームに分けられる。
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テレビゲームは、大きく二つのタイプに分けられる。

・重文にならないように、句読点の前のコトバで切る。

「~であるが」「~したり」「~し」というつなぎを使っている文では、そこで分ける。
~であるが、~である。→~である。だが、~である。
~したり、~する。→~する。そして~する。

日本の首都は東京であるが、それは制度的に決められてはいない。
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日本の首都は、東京である。だがそれは、制度的に決められていない。

・「~なのである」「~と考える/~と思う」「~というのは」を使わない。
あいまいにさせる言い方、感情を込めた言い方を排除したほうがストレートに伝わります。

・接続詞は必要最低限にする
英語の長文読解も同じかもしれませんね。「I have a pen.」のようなシンプルな文なら誰もが理解できるのに、関係詞や接続詞がたくさん入った長文になってくると見るだけで「うわっ」となって読む気が失せます。日本語だって、ダラダラ一文が長いだけでそれ以上読む気をなくしてしまう読み手も多いでしょう。

自分が書いた文章を見直してみると、どれかに当てはまってしまっていませんか?

また、文章を書くうえで多くの人が何となく使っている表現も「これが正解だったのか!」とスッキリする説明が多く含まれています。

・「である」体と「ですます」体とが混在している。論文の場合は「である」体に統一。
・「」や()の中の文の最後に句点(。)を入れている。基本的に句点は入れない。
・算用数字やアルファベットが全角文字になっている。年号日時もすべて半角にする。
・長音記号「ー」がダッシュ「─」になっている。「ロ―マ」→「ローマ」にする。
・全角の「?」や「!」の後にすぐ次の文章が始まっている。必ず後ろを一字空ける。

とくにWebの文章で「こんにちは。」のように「」の最後に句点が入ってしまっている形をよく見かけます。意外と「知らなかった」という方も多いのではないでしょうか。

また、効率的なWeb検索のコツも知ることができます。何か調べたいことがあるとき、どんなコトバで打ち込むかで求める検索結果にたどり着くまでの時間は大きく変わります。このテクニックを知っていると、調べものの時間が短くなるかもしれません。

AND検索/複数の語で検索結果を絞り込む/検索語をスペースでつないで検索/例[著作権 人格権]
OR検索/複数の語で検索結果を拡げる/検索語と検索語の間に大文字でORと入れる/例[自転車ORバイク]
NOT検索/不要な語を含むサイトを除く/省きたい検索語の前に半角のマイナス記号を入れる/例[幼児-教室]
あいまい検索/あるコトバと組み合わさるコトバを検索できる/検索語の一部を半角の*にする/例[*認識]

私は[NOT検索]や[AND検索]をレシピを探すときに比較的よく使います。素人のレシピではなくプロの配合を見たいので[栗ご飯 料亭]あるいは[栗ご飯-検索結果に出てきて欲しくないレシピサイトの名前]などで調べると、一度で目的の結果にすばやくたどり着くことができるのです。

また、パワポを使ったプレゼンの基礎や、効果的なスライドの作り方なども紹介されており参考になりますよ。





文章でも、資料でも「自分が言いたいところ」を強調させ、メリハリをつけることが分かりやすい文章への近道であると気づける本でした。

“大学生のための”と書かれていますが、SNSやブログなど日常的な文章を多くの人の目に晒す機会が増えた今となっては、大人こそ知っておきたい知識が詰まっている1冊です。「この文章で何を言いたいのか分からない」と言われたことがある人や、文章を書くことにコンプレックスがある人はぜひ手にとってみてください。

レビュアー

上岡史奈 イメージ
上岡史奈

20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。

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