フランスでなぜパスタ? パスタと言えばイタリアでしょう? と思う方も多いかもしれません。じつは、フランスには本場イタリアの2倍ものパスタ屋さんがあるんです。そのフランスのビストロでよくあるメニューがごちそうパスタ。イタリアでは前菜、メイン、パスタと3皿のコースが、パリでは3品を合体させて1皿でドーン! このパスタ、料理研究家塩田ノアさんいわく『のっけパスタ』。
イタリアで家庭料理を学び、パリに移住した塩田ノアさんが驚いたのは主婦たちの料理が合理的なこと。無駄なことはしない。
小さい鍋でゆでるためにパスタをポキッと折ったり、リンゴの皮はピーラーでむいたり……。日本と同様にキッチンが狭く、シンクも小さいパリ。だから調理の手間を省くのは基本。洗いものだって少ないほうがいいに決まっている。でもおいしいものは食べたい!
前菜、メイン、パスタを1皿に盛りつければ、洗い物が少なくなる。だからボリュームもあっておいしい『のっけパスタ』はパリの主婦たちにも大人気!
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イタリア流
普通は使う鍋やボウルもたくさん。途中で洗いながら!?
前菜:プチトマトのサラダ
メイン:ローズマリー風味のイタリアン煮魚
パスタ:ボンゴレ -
フランス流
フライパン1つ。手間を省いておいしい仕上がり
アクアパッツァのっけパスタ
さらにたった1つのフライパン、またはパスタをゆでる鍋をプラスするだけのレシピを考案。1つの鍋でパスタと野菜をゆでるの!?と思うかもしれません。でも、味がケンカしないものなら、一緒にゆでてもOK! だから途中で洗い直す必要もなし! 手間なし! 鍋なし! 洗い物なし! いいことづくめ。
アクアパッツァを作っているフライパンに、パスタを入れてそのままゆでるだけ
食事中はおしゃべりを楽しむのもフランス人のこだわり。みんなで、家族で、夫婦2人で、ワインを飲みながら、ゆっくり。なんてときに「お肉を焼かなくちゃ」とか「パスタをゆでなくちゃ」といちいち席を立つのは無粋。そんな時間を楽しむためのレシピでもあるのです。
これからのシーズンにおすすめ“カプレーゼ風冷製しらすパスタ”
仕事も忙しいフランスの主婦たちに欠かせないのが冷凍食品。野菜を無駄にしないように、余ったものは冷凍庫へ。その野菜を使えば、冷製パスタもかんたん! 氷でパスタを冷やす代わりに、冷凍素材でグルグル混ぜて冷やせばできあがり。(実はフランスでは冷蔵庫に製氷皿がないのです……)
冷凍トマトをパスタに入れて、グルグル混ぜる。
材料(2人分)
マカロニ(小さめ) 140g
冷凍プチトマト 16個
モッツァレラチーズ 100g
しらす 大さじ3(40g)
バジル 3枚
EXVオリーブ油 大さじ1
塩 少々
作り方
1.鍋に水2.5リットルと塩大さじ1と1/2(分量外)を入れて火にかける。
2.チーズは5ミリ幅の半月切りに、バジルははさみで5ミリ幅に切る。
3.湯が沸いたらパスタをゆでる。
4.プチトマトは水を入れたボウルにつけて皮とへたを除き、水をきる。
5.パスタがゆで上がったら湯をきり、4のボウルに入れ、グルグル混ぜながら冷やし、オリーブ油、しらす、バジルを加えて混ぜる。しらすの塩けを確認しながら、塩で味をととえる。
6.器に盛り、チーズをのせ、バジル(分量外)を添える。
料理研究家。1955年東京都生まれ。父は作家・評論家の塩田丸男氏、母は料理研究家の塩田ミチル氏。慶應義塾大学経済学部卒業後、銀行に勤務。母のアシスタントを経て、イタリア渡り、家庭料理を学ぶ。1995年に帰国後、イタリアと日本の家庭料理を基本にした料理教室を始める。2004年からパリに移住。フレンチレシピも加えて訪問料理教室を開き、パリの日本人駐在員の妻にも好評。2015年よりパリと日本を行き来しながら、東京でも料理教室も再開。著著に『なんておいしいの! イタリアン・スローレシピ』(以上、講談社)ほか多数。