歩くくらいのゆっくりペースで走る。準備運動も筋トレもいらない。それでいて消費カロリーはウォーキングの2倍という「スロージョギング」を3ヵ月続けると、フルマラソンも完走できる!!
こんな「常識やぶり」の科学的トレーニング法を紹介しているのがブルーバックス最新刊(2月14日発売)『ランニングする前に読む本』だ。 では具体的にどのように走るといいのか、著者の田中宏暁・福岡大学スポーツ科学部教授のフォームをご覧いただこう。
膝に負担のかからない着地とは
このように全身をリラックスさせて「速歩き」に近いペースで走る。ここで重要なポイントは、足指の付け根(フォアフット)で着地すること。普通に意識しないで走ると、かかとから着地する人が多いが、かかと着地はフォアフット着地より3倍も衝撃が大きいという。すなわち、膝への負担もフォアフット着地のほうが断然少なくなるのだ。
もう1つ。田中教授のフォームで注目すべきポイントがある。それは「あご」の向き。意外かもしれないが、あごを少し上げたほうがラクに走れるという。その理由はあごを上げたほうがラクに呼吸できるから。たしかに走っていて息が苦しくなってくると、あごが上がってくるが、それは呼吸しやすくするために、身体が自然に反応した結果だ。
また、実際に試してみるとわかるが、あごを引いて走ると脚が曲がり、あごを引かずに走ると脚が伸びやすくなる。脚が伸びると、走るときに地面を押しやすくなるメリットがある。
ダイエット効果も絶大!
このように、誰でも簡単に始められる田中教授の「スロージョギング」は、苦しくなく、ウォーキングよりも2倍のカロリーを消費できて、効率よくダイエットができる。これまで走ったことのない人でも、最短で3ヵ月あればフルマラソンを完走できる。さらに血圧や血糖値を下げたり、脳の認知機能を向上させるなど、健康にも大きなメリットがあることが次々と明らかになってきているランニング方法だという。
「そんな都合のよい話があるわけない」と思われるかもしれないが、実際に日本動脈硬化学会の治療ガイドラインに推奨され、新たに米空軍のトレーニングにも取り入れられている。
田中教授が47年にわたって研究し、運動生理学の観点からその効果を科学的に実証してきた「ランニングの最強メソッド」なのだ。これから春に向けて、あなたも「スロージョギング」で一歩踏み出してみてはいかがだろうか。