3人の子育てをしながら忙しく働いてきた著者が、試行錯誤を重ねて編み出した「1週間システムクッキング」。時短だけでなく、余分なものを買わなくなるので節約にも。春夏秋冬、栄養バランスが考えられた献立が1週間分合理的に作れるこのシステムとは?
■毎日の食事が劇的にらくになる「システムクッキング」の極意
子育てや仕事で忙しくても、栄養のバランスがとれた主菜と副菜2品の計3品が30分でできるこのシステム。献立、買い物、調理手順が効率的にシステム化されているので、コツをつかめば、悩まず、無駄なく、計画的に食事の用意ができるようになります。
1 献立は1週間単位で考える
毎日いきあたりばったりで買い物に行き、その場で献立を考えるのは時間の無駄に。週末に1週間分まとめて考えましょう。まず、メインの食材を鶏肉、豚肉、牛肉、魚介、となるべく重ならないように決め、それから和風、イタリアンなど味の変化をつけていくとたてやすいです。
2 買い物は週に1回+αでいい
1週間分の献立が決まったら、買い物も週に1回、日曜日にまとめてすませてしまいましょう。とはいえ魚や葉野菜などは、なるべく新鮮なものを食べたいので、できれば週の半ばに食材を買い足す、という1回+αシステムに。買い物日を決めると予定も立てやすくなりますよ。
3 買い物メモが勝負のカギ!
1週間分の献立を考えたら、買い物で買い忘れがないように必要な食材と量を書きだして買い物メモを作り、それを必ず持って買い物に行きましょう。
4 日曜日の仕込みであとの6日がらくに
買い物から帰ったら、ちょっとした仕込みまでやってしまいましょう。魚介類はさっと塩をふったり、漬け込んだり、野菜はレンジで半調理してから冷凍庫でストックする「彩り野菜」にしたり、とちょっとした仕込みまでやってしまいましょう。特に「彩り野菜」を作っておくと、酢豚、筑前煮、カレー、ポトフなどがあっという間にできるので、もう手放せません。次からは“この数十分の手間であとの6日間がらくになる”とやる気がわいてきますよ。
5 おいしい市販品をどんどん活用
もちろんすべて手作りにできれば理想的ですが、今は市販の缶詰、加工品、半調理品にもおいしくて品質の良いものがたくさんあります。そのまま食べるだけではなく、野菜と混ぜたり、汁を調味料代わりに使ったりすれば、あっという間に洒落た副菜のでき上がりです。
6 優秀な調理道具の助けを借りる!
これまで相当な種類の道具を試して実感しているのは、優秀な調理道具を使うと、各段に料理の効率がアップする、ということ。細かいことかもしれませんが、そういったちょっとした作業をスムーズにできることが、時短には大切なのです。
■帰宅後30分で作るための3つの小ワザ
小ワザ1 まずは材料を全部出す
まず調理の前に材料は全部出しておきましょう。料理ごとにバットにまとめておくと、よりわかりやすいです。調味料も合わせて使うものは計量しておきます。
小ワザ2 野菜は最初にまとめて切る
3つの料理を、ひとつひとつ最初から順を追って作るのは非効率的。野菜を切り終わってから、肉、魚を切ります。なるべく洗い物の手間をかけないことも、時短のコツです。
小ワザ3 ゆでるものはひと鍋で同時に
ゆでるものが何種類かある場合は、大きな鍋で同時にゆでればその必要がありません! 鍋の縁にかけられるざるがあれば、材料ごとに時間差で引き上げることができて便利。
■時短の味方! 「システムクッキング」の基本アイテム活用法
家族に野菜をたっぷり食べさせたい、でも下ごしらえや加熱に時間がかかるのが悩みの種。そんな時に活躍するのが、自家製の作り置き冷凍野菜「彩り野菜」。これを用意しておけば、色々な料理にすぐ使うことができるので本当にらくになります。洋風と和風とそれぞれの料理に合うよう、野菜の種類を変えて2種作り分けます。今回、洋風料理に活躍する「彩り野菜」の作り方と、「彩り野菜」を使った寒い季節に活躍する温かいスープのレシピを紹介します。
「彩り野菜」(洋)と(和)
「彩り野菜」洋風
[材料](でき上がり約1000g分)
にんじん…大1本(150g)
玉ねぎ…大1個(250g)
セロリ…1本(100g)
パプリカ(赤・黄)…各大1個(各150)
ズッキーニ…大1本(150g)
ブロッコーリー…小1個(150g)
塩…適量
[作り方]
1.にんじんは1cm厚さの輪切りか半月切りにする。
2.玉ねぎは3cm角、セロリは葉を除いて2cm長さ、パプリカはへたと種を除いて3cm角、ズッキーニは1.5cm厚さの輪切りか半月切りにする。
3.ブロッコリーは小房に分ける。
4.耐熱ボウルに1を入れて塩少々、水大さじ1をふり入れ、ラップをかけて電子レンジで3分加熱する。
5.2を加えて塩少々、水大さじ1をふり、上下を返すように全体を混ぜる。ラップをかけて再びレンジで3分加熱する。
6.再び全体を混ぜ、3をのせて同様に塩と水をふり、ラップをかけてレンジで3分加熱する。
7.そのまま2分蒸らし、バットなどにあけて冷ます。3等分して冷凍用の保存袋に入れ、平らにならして冷凍する。
肉も野菜も一皿でしっかりとれる「豚肉のポトフ」
Point:豚肉はヒレ肉をかたまりのまま煮ると、途中でくずれず、やわらかく煮えます
[材料](4人分)
豚ヒレ肉…400g
彩り野菜(洋)…300g
しいたけ…8個
カリフラワー…1/2個
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固形ブイヨン…3個
熱湯…1ℓ
昆布にんにくしょうゆ…大さじ1 1/3
塩…適量
こしょう…少々
ゆずこしょう…適量
[作り方]
1.「彩り野菜」を半解凍する。
2.豚肉に塩、こしょう各少々をまぶす。
3.しいたけは石づきをとり、カリフラワーは小房に分けて塩ゆでする。
4.鍋にAを入れて溶かし、昆布にんにくしょうゆを加えて煮立てる。
5.1、3を加えて5分ほど煮込む
6.豚肉は食べやすい大きさに切ってその他の具とともに器に盛り、スープを注ぐ。ゆずこしょうを添える。
「豚肉のポトフ」の副菜には、「いちじくのカプレーゼ風」と「スモークサーモンのばらの花」がおすすめ。
『もう悩まない台所のコツ 1週間システムクッキング』では、四季ごとの献立1週間のレシピと買い物メモを紹介しているので、まずはそのまま真似て、コツをつかんでみて! そのほか時短に活躍する、手作り調味料や自家製だしの作り方、正しい調理道具の選び方やお助け食材の情報も必見です。
兵庫県生まれ。甲南大学在学中に江崎グリコ3代目社長・江崎勝久氏と結婚。一男二女に恵まれ、家事・育児に専念するが、37歳のときに辻学園日本調理師専門学校に入学し、調理師免許などを取得する。1991年より自宅で料理教室を主催。‘96年に芦屋市内でシュガーデコレーションケーキの店と教室「江崎サロン・プレステージ」を、2003年には同所で料理教室「プルミエ キッチン&スタジオ」を開く。著書にレシピ集『江崎美惠子の芦屋風味のおもてなし』(小学館スクウェア)、『ふたりでクッキング』、暮らしのマナーをつづった『芦屋スタイル』(以上、講談社)など。フランス料理アカデミー日本支部会員。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。