明日も仕事に行くための、勇気と熱狂ここにあります! 読めば元気が出てくる、痛快お仕事ミステリー。
奇跡の復活をとげた遊園地、ファンタシア・パーク。頬と心に刻まれた傷を着ぐるみで隠そうとしたアルバイト。妖精を演じながら、オーディションを受け続けるダンサー。ロボット製作の夢に破れ、深夜のパークで働くメンテナンスマン……。夢を抱けない僕たちの前に、魔女が現れた──
ファンタシア・パークをめぐる人々 《主な登場人物》
ファンタシア・パーク
私鉄沿線にある日本生まれのアミューズメント・パーク。ファンタシアは、“印象”“想念”を表すギリシャ語から。メインキャラクターは妖精エルシー。東京ドーム8個分の広さを誇り、メイン・プラザ中心にアドベンチャー・サイエンス・ヒストリー・ワイルド・ドリーム・キッズの六つのエリアに分かれている。鉄道会社による運営で、系列のホテルとショッピング・モールも併設。間もなくリニューアル後25周年を迎える。
ファンタシア・パークでは、社員からアルバイトまで、すべての従業員を「パル」と呼ぶ。PAL、つまり、お客様にとってのよき仲間を意味する。
及川真千子(おいかわ・まちこ)
50歳を過ぎてアルバイトを始め、2年でシニア・パルに上りつめたレジェンド。謎めいた佇まいから“魔女”と呼ばれる。
北浦亮輔(きたうら・りょうすけ)
頬の傷がコンプレックスで着ぐるみを希望するが、インフォメーションに配属。意外な活躍で“新人王”と呼ばれる。
新田遥奈(にった・はるな)
パークの契約ダンサー。プロダンサーを目指してオーディションを受け続けるも、結果は出ない。強気な性格。
前沢篤史(まえざわ・あつし)
パークの電気設備担当。大手工作機械メーカーの職を失い、再就職した。夢はロボット製作。バツイチの独身。
小野寺元樹(おのでら・もとき)
細見のスーツを着こなすパークCEO。“魔女”とは旧知の仲の様子。
落合猛(おちあい・たけし)
雑誌ライター。パークに取材をかけるが、本当の目的は……?
著者メッセージ
今回、『遊園地に行こう!』を書くため、テーマパークで働く若い人たちから話を聞かせてもらった。お客様に喜んでもらおうと、真心をつくす。夢の世界を作り上げるため、力は惜しまない。アルバイトという立場でも、遊園地への愛にあふれていた。その姿勢は、小説を書く者にも当てはまる。何より読者に喜んでもらう。そこに書き手の喜びがある。小説を書くのが楽しくてならなかったころの志を思い出すとともに、書く動機の再確認ができた。
かつての個人的な思い出も手伝い、夢の世界で働く意義や喜びだけではなく、根底にせつなさを持つ物語になった。夜の遊園地も登場する。ドラマと事件は満載で、読者には楽しんでもらえると確信している。
遊園地は楽しい時間を我々に提供してくれる。その裏には、人を楽しませるプロがいる。かくありたい、とわたしも思う。
真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年生まれ。1991年『連鎖』で第37回江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。1995年『ホワイトアウト』で第17回吉川英治文学新人賞、1996年『奪取』で第10回山本周五郎賞、第50回日本推理作家協会賞、2006年『灰色の北壁』で第25回新田次郎賞を受賞。
書店員コメント
現実は厳しいし、努力は必ずしも報われるとは限らない。それでも前向きに頑張るパルたちに、ハッとさせられるものがありました。清々しい気持ちになります。ただのお仕事小説では終わらないこの展開、さすがです。
内山はるかさん/SHIBUYA TSUTAYA
ここには、どんな遊園地よりも大きなパワーがみなぎっている。読めば誰もがきっと生きる喜びを強く感じ、大切な何かに気づくはず……世代を超えてささやかな成長を体感できる作品だ!!
内田剛さん/三省堂書店 営業企画室
夢を与える仕事をしていたはずなのに、いつか自分たちが夢を与えられてゆく。働くのは誰のためなのか? 不思議と疲れた心が少しずつ元気になってゆく小説です。
近藤茂樹さん/書泉グランデ
ミステリーでありお仕事小説でありと盛りだくさん! ぐいと心を掴まれて一気に読みました。いろいろあっても、前を向いて進んでいけば自ずと道は拓けていくのだなと切に思いました。
北川恭子さん/旭屋書店 池袋店
この物語の主人公は誰なんだろう? 章ごとの主人公、魔女、お客さん、それとも読んでいる読者? 人はみな働いているのだから、この小説を読むと働くとは?という行為に光が見えてくるかも。魔女のそこしれなさにためいきをつきながら、ゆっくり仕事について考えさせてくれる小説だと思います。
狩野大樹さん/小田急ブックメイツ 新百合ヶ丘店
夢の国のようなテーマパークで働く人々の迅速で丁寧な仕事ぶりと、夢の国とは真反対な現実的な言葉や人間関係が描かれていて、とても面白かったです。コンプレックスをもった新人アルバイトも、さらに上の世界を目指して踊るショーダンサーも、物語が進むにつれテーマパークを支えるために切磋琢磨する姿が、読んでいて気持ちよかったです。すべての職業において通用する心得が詰まっている作品だと思いました。
手塚沙央理さん/文教堂書店 三軒茶屋店
真保裕一を期待していてよかった! 面白かったです。
石井千恵さん/旭屋書店 船橋店
ひとりひとりは大きなパークの中ではかけらのような存在かもしれないけれど、そのかけらひとつひとつが、輝くパークを、職場を作っている。輝いているファンタシア・パークに、わたしも行ってみたくなりました。
安田有希さん/紀伊國屋書店 横浜みなとみらい店
読めば元気が出てくる 「行こう!」シリーズ
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第1弾
深夜のデパートに悩める人々がつどう時、奇跡の一夜が訪れる。
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第2弾
赤字ローカル線にやってきた女性新社長は、新幹線のカリスマ・アテンダントだった!