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2026.09.28

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なぜ多くの会社は大きくなって苦しくなるのか? 幸せな働き方を考え抜いた末の結論とは

小さいままで、自由に、好きなことを

強く、自由になるためには、会社や事業は大きいほうがいい。無意識にそう信じていた。しかし、『会社は大きくするな! 小さな会社の経営論』は、「小さいままで、自由に、好きなことを続ける」道があることを教えてくれた。
タイトルにある「大きくするな」とは、企業の成長や利益の否定ではなく、大企業と「小さな会社」では根本的に戦い方が違うという事実を提示するものだ。著者の鬼塚忠氏が「円卓に座って全員の顔が見える」10人規模の書籍エージェント会社を経営し、数々のヒット作を生み出し続けている実績がそれを証明している。
本書において「小さくある」ことは規模を追わずに好きな仕事を深化させ、社員も経営者も幸せな、強い会社を目指すこと。どんな業種がそれに向いているのか。「少数精鋭」を叶える人材を採用するには、収益を作るにはどうすべきか。そして、長く会社を続け、最終的にどのように「美しく退場」するのか。そんな知見が体系化されている。これからの「会社」と「働き方」のひとつの解になるはずだ。

手元で寄りそう「使う本」

本書は、手元において「使う本」として設計されている。「やはり拡大が必要では?」と心が揺れるとき、採用で迷うとき、会社の財務が心配なとき、疲れて目的を見失ったとき……。どの章を開けばいいかもはっきり書かれている。

「小さく強い会社」を作る“本題”に入る前に、「納得できる生き方」を考えるのが第2章だ。
起きている時間のおよそ半分は、仕事です。その時間が「喜び」なのか、「淡々とこなすもの」なのか、「耐えるもの」なのか。この差が、人生全体のおおよそを決めてしまいます。
だから私は、読者の方にお願いしたいのです。できるだけ、自分の好きな業界で、好きな仕事をしてほしい、と。
職種よりも業界を間違えないことがひとつのコツであり、「好きな仕事」は人生にさまざまなものを連れてきてくれると筆者は言う。しかし、中小企業が10年、20年と生き残っていくのは決して簡単なことではない。安定した「社員としての人生」に比べ、経営者の道は厳しいものにも見える。
私はこう読みます。「準備して、覚悟して、好きな業界で始めれば、十分生き延びられる」。それが会社経営25年間の率直な実感です。
独立までの「助走期間」はどのくらい必要で、その時期に自分を育てるために何をすればいいか……そんな指南も具体的だ。面白いのが、経営者になるには起業や独立だけでなく「こんな方法もあるのか」と驚く方法があげられていること。「アンテナを高くしておく」ことも準備のひとつになりそうだ。

各章末の「アクションステップ」は、読むだけでなく、実際に手を動かして考えてみてほしいパートだ。
「会社を大きくしない道」があるように「経営者にならなくていい理由」もある。また、「すぐに話を聞かせてもらえる経営者は身近にいないから、人間関係を広げてみよう」……そんな気づきも生まれるかもしれない。時間や文字数の制限が、自分の現在位置や本当の気持ちをはっきり見せてくれる。

経営者の仕事人生に確信を

多くの部署を内製化して総合力で戦う大企業に対し、「小さな会社」は「コア業務への一点突破」で勝負する。この違いを描いているのが、第13章の「外部ブレーンが会社を強くする」というアプローチだ。
「小さな会社」はメイン業務にリソースを全振りすべきであり、法務や税務など、専門外の仕事は外部のプロに外注すべきだと説かれている。「専門家への報酬は、コストではなく『保険料』」というパンチラインが「外注費は抑えるもの」という思い込みを打ち砕く。一点集中のリソース配分は「小さな会社」にとっては理にかなった戦術なのだと教えてくれる。

経営者には、このような柔軟な判断やドライな決断が求められることも多い。よい仲間に恵まれていてもどこか孤独を感じることもあるだろう。自分の進む道や事業のサイズ感に不安になったとき、本書を開けば、小さな規模でエッジを効かせ続けるための指針と、著者の優しい語り口に出会えるはずだ。

レビュアー

中野亜希

ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。

X(旧twitter):@752019

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