小さいままで、自由に、好きなことを
タイトルにある「大きくするな」とは、企業の成長や利益の否定ではなく、大企業と「小さな会社」では根本的に戦い方が違うという事実を提示するものだ。著者の鬼塚忠氏が「円卓に座って全員の顔が見える」10人規模の書籍エージェント会社を経営し、数々のヒット作を生み出し続けている実績がそれを証明している。
本書において「小さくある」ことは規模を追わずに好きな仕事を深化させ、社員も経営者も幸せな、強い会社を目指すこと。どんな業種がそれに向いているのか。「少数精鋭」を叶える人材を採用するには、収益を作るにはどうすべきか。そして、長く会社を続け、最終的にどのように「美しく退場」するのか。そんな知見が体系化されている。これからの「会社」と「働き方」のひとつの解になるはずだ。
手元で寄りそう「使う本」
「小さく強い会社」を作る“本題”に入る前に、「納得できる生き方」を考えるのが第2章だ。
起きている時間のおよそ半分は、仕事です。その時間が「喜び」なのか、「淡々とこなすもの」なのか、「耐えるもの」なのか。この差が、人生全体のおおよそを決めてしまいます。
だから私は、読者の方にお願いしたいのです。できるだけ、自分の好きな業界で、好きな仕事をしてほしい、と。
私はこう読みます。「準備して、覚悟して、好きな業界で始めれば、十分生き延びられる」。それが会社経営25年間の率直な実感です。
各章末の「アクションステップ」は、読むだけでなく、実際に手を動かして考えてみてほしいパートだ。
経営者の仕事人生に確信を
「小さな会社」はメイン業務にリソースを全振りすべきであり、法務や税務など、専門外の仕事は外部のプロに外注すべきだと説かれている。「専門家への報酬は、コストではなく『保険料』」というパンチラインが「外注費は抑えるもの」という思い込みを打ち砕く。一点集中のリソース配分は「小さな会社」にとっては理にかなった戦術なのだと教えてくれる。
経営者には、このような柔軟な判断やドライな決断が求められることも多い。よい仲間に恵まれていてもどこか孤独を感じることもあるだろう。自分の進む道や事業のサイズ感に不安になったとき、本書を開けば、小さな規模でエッジを効かせ続けるための指針と、著者の優しい語り口に出会えるはずだ。







