今日のおすすめ

PICK UP

2024.11.25

編集者のおすすめ

キャラクターから目が離せない!! 頭脳フル回転の「謎解きミステリー」3冊

数々の謎がちりばめられた冒頭から、巧みに伏線が張られ、アッと驚く結末に。
頭脳をフル回転させてくれるとびっきりのミステリー3冊をご紹介します。

〈返却怪盗〉シリーズ3作目にして完結作!

吹いております! 今年も! 西尾維新さん旋風! 例年よりパワーアップして吹いています!

1月には全国劇場で『傷物語─こよみヴァンプ─』が公開。4月には雑誌「群像」に掲載された『鬼怒楯岩大吊橋(きぬたていわおおつりばし)ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説』が単行本化。7月には新作アニメ「〈物語シリーズ〉O(オフ)&M(モンスター)シーズン」がABEMA にて配信スタート。主題歌「UNDEAD」はYOASOBI さんが担当しました。9月、前述のアニメのテレビ放映も開始され、また39編の短々編(たんたんぺん)を収録した短々編集『短物語(みじかなものがたり)』が刊行。VOFAN さんのキュートな斧乃木余接(おののきよつぎ)が目印です。

そしていよいよ10月、ファン待望の一冊が刊行されました。〈返却怪盗〉シリーズ3作目にして完結作『怪傑レディ・フラヌール』です。伝説の怪盗である父が遺した盗品を粛々と返却する二代目フラヌールの物語。旅の終わりに待っていたのは、あまりに残酷な光景──。氷のようなその冷たさにページを捲る手が震えます。是非お手に取って体験してみてください。

──文芸第三出版部 S.N.

割り切れないおもしろさ。堂々の「11さつめ(素数)」です。

数学がずっと赤点、高校三年間を落第に怯えて生きた私が、「浜村渚の計算ノート」シリーズを担当していることには、人生のやるせなさを感じています。

本来、難解な数学の諸問題。しかし、著者の青柳碧人さんは、それらを巧みな導入と魅力的なキャラクターでポップな物語にしてしまう達人です。今作の導入も、野球やサウナ、だまし絵と多彩。そして、数学少女・浜村渚や仲間たち、数学テロ組織「黒い三角定規」メンバーの尽きぬ魅力。

オイラーの定数、フィボナッチ数列……。私にとってはすべてチンプンカンプンですが、このシリーズのおかげで、そんな数学が持つロマンの一端に触れることができました。

タイトルは「11さつめ」ですが、他に「3と1/2さつめ」と「8と1/2さつめ」があり、本作はシリーズ第13巻(素数)です。ややこしくて申し訳ありませんが、数学が苦手な方にもぜひ手に取って頂きたいシリーズです。

──講談社文庫出版部 K.O.

死が、かけがえのない生を輝かせる

「日本一受賞作が売れる小説新人賞」であるメフィスト賞を受賞し、今年5月、『死んだ山田と教室』(3万部スタート!)でデビューした金子玲介さんが、『死んだ石井の大群』(8月刊)に続き、11月に『死んだ木村を上演』を刊行します。

驚異的な創作スピードですが、3作どれもが設定の意外性、会話のリアリティ、キャラクターのユニークさ、ラストの驚きと感動を兼ね備えています。さらにどの物語にもメフィスト賞作家らしい「魅力的な謎」が用意されているのです。「なぜ山田はスピーカーとして蘇ったのか」

「なぜ333人の石井はデスゲームをしなければならないのか」……。今作では、大学演劇研究会の合宿中に自殺したとされていた木村の死の真相を、社会人となった当時のメンバー4人が集められ解き明かすよう指示されるのですが、その方法は「事件当日の状況を演じること」。

無茶振りな命令はしかし、語られなかったあの日の蓋を次々と空けていきます。予想外のラストに読了後、必ず1ページ目に戻りたくなるはずです。どうぞお楽しみください!

──文芸第三出版部 奥村元春

おすすめの記事

2024.07.11

レビュー

第65回メフィスト賞受賞作! 母校を舞台に描いた青春ミステリー

2021.08.17

試し読み

西尾維新の血騒ぎ滾る冒険譚『新本格魔法少女りすか』コミカライズ!【試し読み】

2024.08.13

レビュー

ミステリランキングを席巻した『爆弾』待望の続編!

最新情報を受け取る