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その褒め方はなんか違う!? ズレてる?的確? 上司の褒め方がクセになる
(著:たけだ のぞむ)
大人だって褒められたい
もう子供じゃないんだし、労働の対価としてお金をもらってるのだからそれでいいだろうと頭ではわかっていても、仕事で誰かから「ありがとう」や「いいね」と言ってもらえると元気が出る。カラカラに乾いた植物が水をすいこむような勢いで「褒め」が全身に行き渡って仕事が楽しくなる。大人だって褒められたいよ。でも褒める側も勇気がいる。
では『褒めるひと褒められるひと』の褒めはどんなものかというと。
……う──ん! 褒めてるのかな。いや、間違いなく、このメガネの男性は心から褒めてるんです。そのことは読めばスグわかります。そこがすごいんですよね、もう安心してヘンテコな褒めを浴び続けたい。人柄の良さと「仕事あるある」が詰まったほっこりマンガです。
「僕はこれからも君を褒める!」
主人公の“市川詠子”はおもちゃ会社で事務員として働く25歳。
私はこのページがとても好きです。ディテールがものすごくいいんですよ。自社のキャラクターがプリントされたマグカップに、お客さん用の茶葉。そして給湯室。私は似た業界で働いていた経験があるので、この丁寧な描写にキュンとなる。
わかる、みんな自社の製品をデスクに飾りがち。なつかしくて涙が出そう。おそらく詠子の勤めるおもちゃ会社は昭和の頃から長らく愛されているメーカーのはず。他にも「リアル~!」と思う描写がたくさん出てきます。
で、バックオフィスで働く人たちの「褒められないリアル」も描くのです。
どんな仕事だって「やってあたりまえ」だけど、売上を立てるプロフィット部門やクリエイティブのチームは「すごいね!」とか「いいね!」って言われやすい(彼らも詰められるしプレッシャーはあるのですが)。そしてバックオフィスや管理部門と呼ばれるチームは、社外はもちろん社内でもスポットライトを浴びづらい。
なのにミスをするとボロクソに怒られる。「褒め」と「叱責」の収支が合わない!
ベコベコに凹む詠子を見た上司の“坂東さん”は、仕事のあと詠子を飲みに誘います。
そして詠子の仕事ぶりを褒めてくれるんです。坂東さんステキ! でも坂東さんが繰り出す褒め言葉がちょいちょいヘンなんです。
「凄腕のおばあちゃんみたい」、そして最初に紹介した「目がゾウみたいですごくいい」。なんかちがうのだけども、色々とめちゃくちゃ褒めてくれてることだけは、なんとなくわかるってのがすごい。坂東さんの人柄だよなあ。
ほんと、マネージャーの鑑のような人なんですよ、坂東さん。褒めるときの言語センスがちょっと独特なだけで。ということで、坂東さんのオリジナリティあふれる褒めがずーっと続くのです。
いろんな人がいて、いろんな仕事がある
褒められたかった詠子にとって、坂東ワールドが展開するクセ強めな褒めは「これじゃない」。
ぜんぶ一瞬何のことを言っているのかぜんぜんわかんないのがおかしい。
でも、ゾウさんもキリンさんも忍者もオランウータンも、じわじわと詠子の心に効いてくるんです。
「変わったスタイルなんでアレなんですけど」と前置きをしつつも「嫌じゃないです!」とはっきり言う。このエピソードもいい話なんだよなあ。
そして、仕事って褒められない作業の積み重ねだなと改めて実感するマンガでもあります。
「受注会でいくら数字が取れたか」「予算に対して実績はいくらか」「昨年対比を越えているか」「ヒット商品はうまれたか」そういったことは大切だし表彰されるのもそういった内容だけど、達成するためには無数の超地味な準備がある。長机に布をキレイにかけるとかね! ああ、褒め合いたい!
立場も年齢もちがう人が同じ職場に集まって、いろんな役目を背負って働いています。だからやっぱり、褒めて褒められてって水や空気のように職場に溢れていてほしいなあ。明日からも優しく元気に働こうって背筋がのびるマンガです。
- 電子あり
おもちゃ会社で事務員をする市川詠子は、目立たないながらも会社に必要な仕事を日々こなしていた。ある日、部長からミスを指摘され説教される。普段の仕事をしっかりこなしても評価されず、一度の失敗で怒られる不条理さ……。打ちひしがれる詠子だったが、その様子を見ていた部長の右腕・坂東に食事に誘われる。何を言われるのかビビる詠子だったが、不安とは裏腹に坂東はなんと詠子を褒めまくってくれたのだった! ただその「褒め」はちょっと変わっていて――?
上司の褒め方のクセがすごいぃ!! 奇天烈だけど癒される。ほっこり職場コメディ!
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。
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