今日のおすすめ

PICK UP

2021.02.23

レビュー

ビール売り子の“常連さん”になれば野球はもっと楽しい!! 球場愛コメディ!

プロ野球に全く興味がなく、球場へは仕事でしか行ったことがない私が、こんな売り子さんがいるならビールを飲むために球場に通ってもいい!!と思いました。
それぐらい主人公が魅力的で、愛すべき人々がたくさんいる温かい場所なのです、“ボールパーク”というところは。

千葉モーターサンズ・スタジアムで、ビールの売り子をしているルリコ(20)。
早速ターゲットとなったのは、気が弱くて「申し訳ありません」が口癖の“社畜”村田でした。
村田は仕事から逃げ込むようにやってくるのが球場で、空いている自由席で800円のメガ盛りウルトラ弁当を食べ、まったりと1人で野球を見るのが息抜きというアラサーのサラリーマン。
ところがルリコのお陰で、調子が狂い始めます。

こんな強気な売り子さん、見たことがありません!!(笑)。

しかも、「休憩」と言って村田の隣に座り、聞かれてもいないことを色々と喋り始めます。

ルリコの過剰なサービス!?のせいで、球場に来る度、ルリコのことが気になる村田。
しかしルリコがいないので、他の売り子さんからビールを買おうか迷っていると……。



こんなふうに来られたら女の私でも、もう他の売り子さんからは絶対にビールを買いません!!と宣言してしまいそうです。

かなり小悪魔的なルリコですが、実は売り子になってまだ1週間しか経っていないド新人。だから小慣れたふうを装ってはいますが、本心は意外と純情、そのギャップが、たまらなく可愛い!!のです。

気が弱い村田と強気なルリコの組み合わせが、私は一番のお気に入りですが、他にもベテラン選手・コジロー(35)の妻の滝野ユキ(39)も面白いです。

ユキが地方局の元女子アナで年上というだけでクスッとしてしまったのですが、打率2割で人気がない夫をもつ妻の気持ちってこんなかもしれない、と笑いながらもホロッとしました。
『ボールパークでつかまえて』は、このホロッがあるからいいのです!

本当はビールの売り子をやりたいのに、真面目に働いているがゆえにバイト先で欠かせない人間になっている、お弁当屋の山田夏乃(20)も笑えます。
夏になるとスポーツニュースで取り上げられる人気NO.1の売り子さんを見て、可愛い!!と私も思っていたので、ビールの売り子さんに憧れる夏乃の気持ち、わかるなぁと思いました。
でも売り子の実態は……。

約20キロのビール樽を背負って、階段を昇り降りするって、とんでもない重労働です。
こういう裏側を知る事ができるのも、楽しさの1つです。

他にも、「日本はジメジメするし、ピザは小さいし、野球を精神論で語るヤツが多くてついていけない」とメジャー復帰を狙う、シカゴ出身の助っ人外国人選手デニス・ヤング(27)。球場警備員歴30年の五十嵐龍一(65)、迷子の女の子、マスコットのサン四郎、すぐに「喝! 喝!」と言いたがるオッサンなどが出てきて、ルリコとの関わりの中で様々な人間ドラマが見られます。
そして、その話の1つ1つが笑えるのに温かくて、じんわりと沁みてくるのです。
そんな“ボールパーク”の住人たちをオフシーズンだからこそ、直接球場に足を運べない今だからこそ、楽しんでほしいと思いました。

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

おすすめの記事

2021.01.23

レビュー

結婚したら奥さんと庭でBBQ(夢)! おいしい肉の焼き方教えます!!

2020.12.27

レビュー

好きすぎておかしくなりそう。片思いに苦しむブンちゃんのクレイジーラブ

2020.08.22

レビュー

「この石田三成、乱世駆け上がってみせましょう」小うるさい三成の出世物語

最新情報を受け取る