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高校生の皆さんに向けて、阪神甲子園球場のグラウンド整備を請け負う「阪神園芸」を舞台にした小説『あめつちのうた』を期間限定で全文無料公開いたします。下記の「無料公開を読む」から、アンケートに答えていただくと公開ページのURLが表示されます。
『あめつちのうた』(朝倉宏景)の物語は、2019年の春から2020年の夏までが描かれています。
インターハイや夏の甲子園中止。体育会だけではなく、文化系の部活動の発表の場も制限されてしまっています。現役高校生の皆さんの気持ちを思うと、言葉になりません。
作者の朝倉さんも、担当編集者も元高校球児で、高校生活の大半を部活動で過ごしてきました。二人で、何ができるか話し合い、期間限定ではありますが、高校生の皆さんを対象に、この小説を無料で公開することにしました。
中止になってしまった甲子園を、せめて小説の中だけでも楽しんでもらいたい。そして、選手でなくても、甲子園に、野球に、スポーツに携わる道はきっと見つかる。そんな気持ちを込めて。
講談社 文芸第二出版部
運動部、文化部の様々な大会やコンクールが中止、あるいは開催に制限がくわわり、非常に残念に思います。それどころか、3年後、5年後、10年後と、日本や世界情勢がいったいどうなっているのか誰にもわからない――。そんな混沌とした、なかなか未来の予測のつかない社会にこれから皆さんは足を踏み出すことになります。不安な人も多いでしょう。
「きっと君たちの未来は明るい」「この悔しさがきっと将来の糧になる」「腐らず前を向こう」そんな大人たちの励ましの言葉を、心の整理がつかないうちに、無理に受け取る必要はないと私は思います。少なくとも、ひねくれていた高校生当時の私からしたら、「大人に何がわかる」と投げやりな気持ちになっていたでしょう。
高校卒業後、これから皆さんの人生の本番がはじまります。だからこそ、部活や勉強に懸命に打ちこんだ結果、いったい今、自分の手のなかにいったい何が残ったのか? それは、努力や経験かもしれないし、大事な仲間や友達かもしれない。沸騰していた気持ちがおさまり、冷静になったとき、自分の心の内側を静かに見つめ直してみてください。
世の中、たくさんの職業があります。どんなに地味で、目立たない仕事でも、その一つ一つがこの社会を支えています。将来、働くことに――社会に出ることに、ほんのわずかでも期待や、希望を持っていただけたなら。そんな願いをこめた作品を、わずかな期間ではありますが、公開させていただきます。
ほんのひとときでも、楽しんでいただけたら幸いです。
公開期間:2020年8月1日(土)~8月31日(月)
- 電子あり
土と向き合う。雨を信じる。
そうして、日本最高のグラウンドが生まれる。
甲子園の神整備、「阪神園芸」が小説に!
絶望的な運動神経の持ち主・雨宮大地は、自分とは正反対の弟や頑なな父への鬱屈を抱え、甲子園のグラウンド整備を請け負う阪神園芸へと入社する。
ところが、持ち前のセンスのなさから、仕事は失敗続き。広いグラウンドのなかで、たったひとりうろたえる自分は、本当に一人前のグラウンドキーパーになれるのか? 同性愛者であることを周囲に隠す親友・一志や、重い病気を患いながら歌手を目指すビールの売り子・真夏、ケガでプロへの道を断念した、同僚の長谷。大地は同じく「選べなかった」運命に思い悩む仲間たちと関わり合いながら、自らの弱い心を掘り起こすように土へ向き合っていく。
タイガースファン、高校野球ファンのみならず、すべてのスポーツファンに捧げる、唯一無二のグラウンド整備お仕事小説! 今日も彼らは、地味に地道に、あのグラウンドを守り続けている。
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