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毎晩0時になると性別が入れ替わります! 男女入れ替わりラブコメ

純とかおる(1)
(著:二駅 ずい)
2019.05.05
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pixivで作品を拝見していた漫画家・二駅ずいさん。絵柄とキャラの明るい描き方が好きです。いつも個性的な設定を漫画に入れるのが面白く、注目している漫画家さんのひとりです。そんな著者の新刊が『純とかおる』でした。

学園×幼なじみの甘酸っぱい漫画は大好きで、二駅ずいさんが描くとどんな魅力的なキャラになるかなぁと楽しみに待っていました。

午前0時に性別が入れ替わる?

家が隣同士の純とかおる。幼なじみのふたりは不思議な体質があります。午前0時になると性別が入れ替わってしまうのです。物語はこの「設定」の紹介から始まります。


ふたりは共学の高校へ通う高校生。家は隣り合っていて、いわゆる幼なじみでありながら、付かず離れずの関係。クラスメートはふたりの体質を知っているので、特に驚くこともなく、日常は普通に過ぎていきます。

ちなみにどちらのキャラも男女になるので、漫画を読んでいるとたまに「あれ? 今、どっちが純だっけ? かおるだっけ?」とわからなくなることも。そんなときは「髪の毛の色」で見分けると読みやすいです。純はトーンを貼った白系の髪、純は黒髪。


毎日、身体が男子・女子を入れ替わる純とかおる。長い間、この体質をふたりでうまく付き合ってきているため慣れてはいますが、そこは男女の幼なじみ。微かに恋の片鱗が見え隠れします。

毎日の制服交換シーンにキュン

ふたりは同じ高校へ通うため、毎日、制服を交換します。窓越しに渡し合う姿に胸キュンです。2着欲しいなぁと言いつつ、この交換の時間がきっとふたりとも好きで愛おしいのだろうなと、くすぐったい気持ちで読んでいました。

深夜にコンビニへ出かけたり、一緒にテスト勉強したり(もちろん、勉強より遊びがメインになる)、お互いを意識したりしなかったり。ふたりの間にあるものは友情であり、淡い恋心であり、ふたりの関係性は同級生であり、特異体質と付き合う仲間でもある。

カテゴリで分けない感情や感覚。そういうものが人と人の間にあるのが好きです。混ざっているから面白く、混ざっているから相手のことをいろいろな視点で一生懸命考える。二駅ずいさんの描くふたりの間にあるものは、ただの甘酸っぱさだけではなく、ただの片想いでもありません。心地よい幼なじみ感は、ふたりの成長や変化を幸せな気持ちで見守りたくさせてくれます。

手を合わせるシーンは必読!

この巻で私のお気に入りのシーンです。夜中にふたりでテスト勉強をしていますが、かおるはジェンガをしようと誘い、勉強のジャマをしてきます。折れる純は一緒にジェンガをはじめます。

うまくジェンガを抜けないかおる。男になっている日なので、「手のサイズが悪い」と言い訳をします。手の大きさ比べをしようと手を合わせた瞬間、ちょうど0時に。


手のサイズが入れ替わります。お互いの手のサイズが変わるところがあまりにもかわいいんです。「ぐむ」という効果音も、ふたりが嫌がらずに手を重ねた感じが伝わってきます。

男女の身体の差で、手の大きさの違いはどんな漫画でもキュンとします。骨張った男らしい手。華奢で小さな女の子らしい手。モノクロの漫画だと、情報を極限まで削ることができるので「手」の表現に注力することができます。写真や映像にはできない漫画独自の見せ方。手をアップにして感情をどーんと表したページが眼の前に広がると、「ふぁ?!いいなぁ!」と気持ちが高ぶります。

幼なじみであり、男女が入れ替わる体質。まだまだふたりの淡い恋心は続きます。どんなエピソードで心が変化していくのか、この体質を使った『純とかおる』らしいストーリー、次巻も楽しみです。

『純とかおる(1)』書影
著:二駅 ずい

同じ高校、同じクラス、家が隣同士の男女、純とかおる。幼馴染みの2人には、あるヒミツがあった。深夜0時になると毎日、2人の性別が入れ替わるのだ──。純が男の日は、かおるは女、純が女の日は、かおるは男。一組で二度かわいい! 男女入れ替わり青春ラブコメ!

レビュアー

兎村彩野 イメージ
兎村彩野

Illustrator / Art Director 1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始、17歳でフリーランスになる。万年筆で絵を描くのが得意。本が好き。

https://twitter.com/to2kaku

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