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2019.04.14

レビュー

帰ってきたタラレバ娘。現代女子の共感と叫喚を巻き起こし、シリーズ累計500万部突破!

待ちに待った「東京タラレバ娘」が帰って来たッ!!
2014年から連載が始まった「東京タラレバ娘」は、東京オリンピックの開催が決まり、「1人ぼっちのワンルームでオリンピック観戦なんてイヤ」「結婚したい」「子供が欲しい」と東村アキコ先生の周りの女性たちが、一斉に言い始めたことがきっかけで作られました。
あれから数年、「あのとき、ああしてタラ良かった、こうしてレバ良かった」と居酒屋で女子会を開いて、タラレバ言っていたアラサーの倫子、香、小雪も自ら女子っていうには厳しいと思う年齢へ。
その後どうなったのか、久しぶりに同窓会に出席した気分でページをめくった読者も多かったと思います。

真っ先に気になったのは、脚本家である倫子とモデルで新進気鋭の俳優KEYの恋の行方。
本編で、誠実で穏やかで優しい早坂との同棲を解消してまでKEYを選んだ倫子に、「やっぱり自分の心に正直であるべきよね」と思ったのですが、なんたって相手は芸能人であり、8歳も年下。
現世あるあるパターンの若い女を選んで捨てられる年上女だったらどうしようと心配していたら、なるほど、そう来ましたかという落としどころで……。

結局、最初に結婚を決めたのは、ネイルサロンを経営する香でした。
相手は小学校のときの同級生で、恩師の葬式で再会なんて、あまりにも地味すぎて笑いました。
でも若さ至上主義の日本では、歳を取ってからの新しい出会いは女性にとって圧倒的に不利なので、若いころの自分を知っている人を掘り起こすしかないかもと身を以て感じていたので、いたく納得。

それでも、3年ぶりに倫子にも新しい恋の予感が……。

倫子の前にことあるごとに現れていた「タラの白子」と「レバー」のタラレバコンビ。過去を悔いるのではなく、「あなたに出会えたから」「あのときの経験があったから」と前向きになれたことで消えたので、そんなにやすやすと復活して欲しくないなぁと思っていたら、新キャラ登場!

確かに恋におちるときって、まずは視神経から入って、本当は脳なのでしょうが胸に来ますよね。だから胸キュンなわけで。

自分の体の中でも、こんなことが起こっていたのか?と想像するだけで、笑いがこみあげてきました。

全シリーズを通して「東京タラレバ娘」は、いちいち心に刺さります。考えさせられてしまうのです。

今回、心がざわついたのは、倫子の元アシスタントで、今は売れっ子脚本家のマミちゃんのセリフ。

男関係が派手な肉食マミちゃんがフツーの人と電撃結婚した理由は、恋愛やデートに貴重な時間を使わずバリバリ仕事をし、20代のうちに子供を2人産むため。そして東京出身の彼を選んだのは、子育てを義父母に手伝ってもらえるから。さらに35歳までに日本アカデミー賞、40歳までに朝ドラ、50歳までに大河ドラマの脚本を書くのが目標というのです。

こういう子には、かなわないと思うわけです。こんなふうに人生設計を立てて生きて来なかったし、キャリアを上げるために仕事ばかりしていた自分は何だったのだろうと、過ぎ去りし時を思いながら、ため息をついてしまいました。

そうなのです。東村アキコ先生がこのシリーズを通して言いたいのは、「時間には限りがある」ということなのです。決して「女は結婚をするべき」とか「結婚をしたら幸せ」ということではないのです。

それでも今回の『リターンズ』は、香の結婚式を中心に話が展開します。
元カレ君たちも登場し、まるで海外のテレビドラマシリーズの最終回みたいに豪華と思っていたら、な、なんとアラフォーになった倫子も登場する「東京タラレバ娘 シーズン2」の連載が、始まるというではないですか!
そう来なくっちゃ!!

東京オリンピックまで500日を切ったなんて言われると、もう目前みたいな気がしてあせりましたが、まだまだ1年以上、あるじゃないですか! それだけあれば、人生、何が起こるかわからない!!

正直、「東京タラレバ娘」を読むのは、今回が初めてです。もちろん、評判は知っていましたが、アラサーをとっくに通り越していた私が、いまさら読んでもと思っていたのです。
でも、1巻からすべて読み終えた後、すぐにまた最初から読み返したいと思いました。
「東京タラレバ娘」をもっと早くに知ってタラ、最初からちゃんと読んでレバとならないためにも、そして「東京タラレバ娘 シーズン2」に乗り遅れないためにも、是非、読んで欲しい作品だと思います。

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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