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マネーリテラシーを身につけて人生を豊かに! お金のリアルを知れば世界が広がる。

2024.01.23
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2022年から高校で金融教育が義務化され、2024年には新札発行、NISA(少額投資非課税制度)の上限額増額と、世の中がものすごい勢いで変わろうとしています。
お金の勉強をしないと置いていかれる!!と焦りつつ、金融関連の本は難しそうで手を出せずにいました。
ところがこの本は、マンガ仕立てになっているので、内容がすーっと頭に入ります。

マンガに出てくるのは、ムダづかいばかりしている佐原真白(さはらましろ)、お金はなるべく使わない慎重派の黒瀬大和(くろせやまと)の中学生コンビと、総資産2,000億円の若手実業家・朝倉進(あさくらすすむ)。

ちなみに私は、何度も下見をするのになかなか買わず、時間のムダづかいをしている黒瀬タイプです(笑)。

           

【1万円札作りにかかる製造費は?】

この本では、円安と円高、デフレとインフレ、貿易や為替レートなど経済のことから、最近話題になっている暗号資産やブロックチェーンまで、押さえておきたい基礎知識がわかりやすく説明されています。



          
それだけでなく、とても身近なお金の話も載っています。
例えば、1万円札をつくるのに製造費はいくらかかるのか?

1円玉をつくるには1円以上かかるから赤字というのは、以前どこかで聞いたことがあるのですが、お札にかかる製造費は見当もつかず……。

でも、お札には透かしやホログラムもあるから、きっと高いだろうと思っていたら、費用は約18円。(※製造費は算出方法によって変動します)

こんなに安くつくれるものでも1万円の価値が生まれる。
つまり、「お金は信用で成り立っている」ということが、実感できるようになっています。

ほかにも、詐欺に遭わないための防止策や、「詐欺は引っかからないと思わないことが大事」という、学校でも家でも教えてくれないとても大事なことが書いてあります。

          

【宝くじの当選確率は?】

個人的に特に興味をそそられたのは、「投機と投資」の章に出てくる宝くじの話。
買わなきゃ当たらない!!と性懲りもなく買っていた宝くじ。なんと1等の当選確率は、200キロのお米の中から1粒を見つけ出すのと同じだとか!!
どうりで当たらないわけだ。



【期待値を計算するには?】

だから宝くじを買うなという話ではなく、どういうふうに判断すればいいのかというところまで教えてくれるのが、この本のいいところ。

コラムのページでは、「期待値」の計算の仕方が載っていました。
「期待値」は高校の数学で学ぶらしいのですが、まったく記憶になく(笑)。

           

そして「投機と投資」というと、どうしても株式投資などをイメージしがちですが、一番確実な投資は何かというと……

  

この本は、 “お金を増やすにはどうすればいいのか”が主眼ではなく、 “お金に対してどう向き合えばいいのか”という根本的なことを教えてくれます。

「お金は手段、大切なのは目的」なのだと。

最近、もっと早くにお金の知識があれば……と後悔することがとても多くなりました。お金に対する古い価値観に縛られ、どこかに苦手意識があったのだと思います。
だからこそ、学生時代から正しい知識を得ることはとても大事だと、この本を読んで改めて感じました。

  • 電子あり
『学校でもおうちでも教えてくれない「お金のリアル」 お金のコンパス』書影
著:伊藤 みんご 監修:八木 陽子

お買い物が大好きな真白(中学2年生)は、あるお店で洋服詰め合わせの「福袋」を発見。「3万円相当がなんと3千円!」の宣伝文句にひかれて、つい買っちゃった。これって、ホントにお買い得? 学校でもおうちでも教えてくれない「お金の授業」スタートです!

【第1章】物の「値段」と物の「価値」
3万円相当が、なんと3千円!の福袋を買って失敗したエピソードから、値段は売る側「他人」が決めるものだが、価値は「自分」が決めるものということを学びます。経済の基本である需要と供給、商品の原価と販売価格についても学びます。
【第2章】お金は「信用」でできている
コンビニのコピー機でうっかり紙幣をコピーしそうになったエピソードから、なぜ紙幣をコピーしてはいけないのか? コピーするとなぜ重罪になるのか?を考えます。また、製造原価約18円の1万円札が「1万円」と信じられるのか? 一歩踏み込んで考えます。
【第3章】「投機」と「投資」
宝くじはパチンコや競馬と同じギャンブル。投資は怖いのに大切なお小遣いで宝くじを買うのはいいのか? 宝くじの天文学的な当選確率(200kgのお米の山から1粒の当たりを目隠ししてつまむくらいの確率)を考えます。
【第4章】「円安」と「円高」
混乱しがちな円高と円安について、具体的にわかりやすく学びます。日本のビックマックを世界と比較したり(ビックマック指数)、日本の食料自給率やエネルギー自給率についても考えます。
【第5章】現金vs.キャッシュレス
手触りのない電子マネーより、目で見て触れる現金のほうが安心で確実? 本当にそうでしょうか? 現金の入った財布は、鍵のない金庫のようなもの。紛失リスク・盗難リスクに弱い資産です。また、現金を使い続けることで発生する手数料・社会的コストについても学びます。
【第6章】「お金をかせぐ」ってどういうこと?
お金をかせぐことの本質は、誰かを喜ばせる価値を生み出すこと。何の変哲もない紙も人の手や頭を使うことによって「美しい作品」になる。お金は喜ばせたことへの対価「ありがとうの印」でもある。
【第7章】お金と時間のつかい方
良い買い物、悪い買い物とは何か?良い買い物とは、買った値段以上の満足や効果、価値を感じられるもの。誰にとっても1日は24時間。限りある自分の時間とお金をどう使っていくか考えて、未来を変えていこう。

既刊・関連作品

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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