不倫スキャンダルで世間を騒がせた女性タレントが、離婚後も子供の親権を持っていることをずっと不思議に思っていました。非があるのは女性タレントの方で、夫はお金持ちだから子育てにも困らないはずなのに、と。
その謎が、この『離婚しない男』で解けてスッキリ。しかも、一気に最後まで読み進んでしまう面白さです!!
新聞社の社会部エースとして仕事に明け暮れていた岡谷渉(おかたにわたる)は、結婚4年目に突如在宅ワーカーとなり、イクメンデビュー。
そんな渉を妻の綾香(あやか)は、浮気でもしているのではないかと訝(いぶか)しがります。
ところが、浮気をしているのは綾香の方でした!!
愛する一人娘、心寧(ここね)のためにも、離婚して親権をとろうと考えた渉は、法律事務所に行くのですが……、
弁護士の財田(たからだ)トキ子のビジュアルの凄さよ(笑)。
そして財田が、顔色ひとつ変えず教えてくれたのは、「今の日本の父親の親権獲得率は、わずか1割」という事実。
これだったのですね、不倫をした女性タレントに親権があった理由は。
財田から、「今日のところはお引き取りください」と言われてしまう渉ですが、財田法律事務所と業務提携をしている探偵の三砂裕(みさごゆう)のアドバイスで、裁判でも使える証拠集めを始めることに。
吐き気を催すほどの苦痛を伴いながらも、妻の不貞行為の証拠を集める渉。
これがまさに“マンガのような笑える展開”で、思わず同情してしまいます。
だけど渉が苦しめば苦しむほど、読んでいるこちらは笑いたくなる!!
どこに行くにも、半袖Tシャツと頭にタオル。思わずラーメン職人かっ!?とツッコミたくなる私服も、スポ根マンガのような熱血漢ぶりも笑いを誘います。
さらに『離婚しない男』がいいのは、出てくるアドバイスが実に的確で、不倫の時効や探偵を使った浮気調査費用など、“知っておくべき情報” が色々と載っているところ。
経済力がないから子供の親権はとれないと悩んでいる女友達に、この本を教えてあげなきゃ!!と思いました。
色々と大変な思いをして浮気の証拠をつかんだ渉ですが、今度は弁護士探しに苦労します。というのも、「父親の親権獲得」は負ける確率が高く、お金にならない面倒な案件なので、引き受けてくれる弁護士がいないのです。
ということで、やはりここは財田弁護士の登場となります。
しかし、これはまだスタート地点に立ったに過ぎません。
親権獲得へ向けた確固たる証拠をもっともっと集めないといけないからです。しかも、綾香に気づかれないように。
これは離婚準備の鉄則ですよね。相手が油断している隙に証拠集めをしっかりやるというのは(笑)。
そもそも渉は、綾香の浮気相手が誰なのか知りません。
マンガには登場するのですが、これがなかなかのイケメンでやり手。
娘の心寧をタレントにしたがっている綾香の思惑も絡み、この先、泥沼間違いなし!!という感じで、ますます楽しみです。
離婚を考えている人、親権をとりたい人だけでなく、うちは上手くいってるという人やシングルの人も、絶対に読んでおくべきオススメのマンガだと思います。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp