今までもこれから先も、おそらく一生縁がないところ、それは刑務所。
ドラマやドキュメンタリーでしか知らないない世界だからこそ、興味津々で読み進めたのですが、こんなに知らないことだらけだったのか!! と驚きました。
大麻取締法違反で1年の実刑を受けた晴乃うらら。
独居房から雑居房に移ると、そこには傷害罪で刑期2年、業務上横領罪で2年半、罪状?で刑期8年の3人の受刑者がいました。
早速、先輩受刑者からの“手荒い洗礼” かと思いきや、『ごくちゅう!』の世界は可愛くてゆるふわな絵のおかげで、“禁断の園”を覗(のぞ)いている気分です!!
とはいえ、ここは獄中。集団生活をする上での規律は、やはり厳しいのです。
朝の起床は6時半。10分後の点呼までにトイレ、着替え、洗面、布団上げ(これにも細かい決まりがあり)、掃き掃除まで終わらせないといけないなんて、身支度が遅い私には無理?と叫びたくなりました。
もっと無理だと思ったのは、入浴タイムがたった15分しかないこと。
しかも、夏は2日に1回、冬は3日に1回しかお風呂に入れないのです。
だからシャンプーをしても泡立たず、洗髪は2回、時間短縮のためにリンスインシャンプーを使うといいという耳寄りな!?情報も。
そして湯船に入る時には、こんな約束ごともあるのです。
さらに獄中生活に絶対に必要な情報は、こちら!!
刑務所では水虫薬も気軽に手に入らないのだとか。
差し入れてもらえばいいんじゃないの?というのは、ド素人の甘い考えだということに気づかされました。
だから月1回の診療のチャンスに、あの手この手で水虫薬を手に入れているそうです。
ドラマやドキュメンタリーでは絶対に取り上げない“激レア情報”を知ることができるのも、体験者ならではコラムのお陰です。
このコラム以外にも欄外に「ごくちゅうメモ!」というひと口メモがあり、こちらも知らないことだらけ。
例えば、「【お野菜】大○のことだよ!」に始まり、「マンチーとは!」とか「トラブルの元になるので、罪状について話すのはやめましょう!」とか、普通では知り得ない小ネタが豊富です。
私が獄中生活で最も知りたかったことの1つに、刑務作業ではどんなことをしているのかというのがありました。というのも、木工作業をしている人しか思い浮かばないからです。(これまたドラマの影響だぁ)
うらら達がやっている刑務作業は、ご当地人形に服を着せるお仕事。
作業開始が朝の7時30分、って早番ですか? と聞きたくなりますが、もっと驚いたのは刑務作業で得るお金、報奨金。
この時給の安さと言ったら!! とにかく想像を絶する安さを『ごくちゅう!』で確かめてみて下さい。
うららたちの班は、ご当地人形に服を着せるお仕事が描かれていますが、ほかにもかなり身近なものが刑務作業で作られていることを知り驚きました。
これ以外にも、食事の話や、免業日(休日)には何をしているのか、外部との手紙のやり取りはどうしているのか、30分の運動時間には何をやっているのかなど、次から次へと出て来る、出て来る!!
これらの話が、今までドラマやドキュメンタリーなどで見聞きしたことより、詳細で意外性があるのです。
そんな滅多なことでは覗けない場所だからこそ、ぜひ1度、読んで欲しいと思いました。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp