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2021.10.03

レビュー

【ちょろキュン】ちょろすぎる私に、ヤンキーがド直球すぎる~。甘すぎる~。

あつまれ「ちょろキュン」な人!

今日も良いデザート作品を読んでしまった。



「なにそれかわいいじゃん」がずっと頭の中でリフレインする。幸せホルモンのブースターとして機能しまくり。胸を張って「私もちょろいです!」と言いたい。

ここを読むとなんか誇らしくなるんですよね。大人になっても引き続き少女マンガにときめいて「はやく2巻でないかな」とニマニマする時間って、すごく幸せだなあって。

『ちょろくてかわいい君が好き』は、異性のなにげない言動にすぐときめく女の子のラブコメ。



落としたハンカチを拾ってくれた男子の何気ない一言でヒロインの“大野なな”は……、



こんな顔になっちゃう。このまんまるな梅干し顔は作中で「ちょろキュン顔」と呼ばれます。本作は数ページに一度はななの顔がちょろキュン化するんですが、読んでるこちらも似たような状況になるので、ヒロインと私の歩幅が合ってて最高って思います。

自分の「ちょろさ」を自覚してる女の子

主人公のななは前述したとおり「ちょろい」女の子。自身の人並外れたちょろさを自覚しており、現実の恋なんてとても無理だと考えています。



ちょろキュン女子の栄養源は少女漫画。ななは、少女漫画を糧に自分の妄想を育み、それを漫画に昇華して日々SNSに投稿中。漫画が漫画を生むエコシステムが完成してる。

そんな彼女の現実世界にも恋が訪れます。同じクラスのヤンキー・“巣鷹くん”が、とある出来事をきっかけにななのことを好きになるのです。



巣鷹くんは直球な人で、「好き」って思っちゃったら当然アタックも直球。ちょろキュン女子にド直球ヤンキーが「好き」を伝えるっていうのは、ちょろキュン女子にしてみれば呼吸と同じ頻度でちょろキュンしてしまうことを意味します。

これで「毎日キュンキュン楽しいよー!」ってならないのが本作のいいところです。

ななは自分の「ちょろさ」を自覚しているがゆえに、自分のかんちがいをとても恐れているのです。



ちょろキュン女子はお調子者ではないし、なんなら慎重。でも「私はちょろいから付き合うのはダメ」と断ったところで、巣鷹くんは当然引き下がりません。むしろ「ちょろい? なにそれかわいいじゃん」と大ウケ。



巣鷹くんには、ちょろキュン女子が現実の恋を拒む理由はわからないけれど、ななのことは少しずつ理解していきます。「あなたを知りたい」って今も昔も恋の源だなと思うし、「ちょろいからこそ慎重になる」というななの客観性はすごく現代だなあと思います。

ちょろキュンが恋をするって?

巣鷹くんの一途な行動はななの心を動かしていきます。読者としては「待ってました」って感じなのですが、ななも巣鷹くんを好きになり、自分の思いを巣鷹くんに伝えようとするも……。



すっごい慎重だから自分の感情を漫画で整理しようとするんです。「好き」とはなんぞや。根源的な問いにまで迷い込んでドツボにはまる感じ、わかる。



健気で素直でかわいい。ななは、自分のちょっとアブノーマルなところから目を逸らさないし、それを否定もしないし、その上で好きな相手のことを考えるんです。これぞ美しい恋だと思います。この逃げない誠実さは八田あかり先生の前作『まじめに不純異性交遊』のヒロインにも通じる魅力です。(こちらも面白いのでぜひ読んでください)

ということで、ななのことも大好きになるし、巣鷹くんのド直球ムーブにもクラクラくる良作。2人のやりとりがとても愛しい。



おいしいものを食べるとアッサリ元気になるの、すごくわかる。



ちょろキュン元祖のななはこのページではまだちょろキュン顔になっていませんが、私はこのとき0秒でちょろキュン顔になったし、何度読んでもなる。



ときめきすぎて言葉にならんときに人はちょろキュン顔になるんだね。よし。少女マンガ愛読者として「ちょろくて上等」と胸を張って言います!

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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