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2021.04.04

レビュー

日本史上最大の下剋上、本能寺の変。覆すのは張本人! 信長リスポーン大河!

題名がすでに優勝

題名を紹介したらこの記事は終わってもいいんじゃないかなってくらい素晴らしい名前のマンガだ。『何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?』。読みたいでしょ?

そう、本作では本能寺が何度も何度も燃えてしまう。

「あのとき、ああしておけば、こんな残念な結末にはならなかったんじゃ? っていうか、なんでこんなことに!」って後悔と戸惑いは、歴史上の人物にもあったんじゃないか。



なんで本能寺もろとも燃やされてるのか信長的には全然解(げ)せないらしい。

アドベンチャーゲームのようにリスタートを繰り返してチェックポイントに戻り“別の選択肢”を選べたら、別のエンディングが待っていたんじゃないか。歴史の教科書を読みながらチラッとでも妄想したことのある人はぜひ読んでほしい。

じゃあ、その"別の選択肢"、誰に選ばせる?



もちろん信長でしょ! なぞのもちもち“クマさん”が言うことには、信長は“やりなおし”できる状態に入っているのだという。本能寺が燃え、命が尽きると、信長は“ある場面”に舞い戻る。



もし、本能寺の変がなかったら、信長は天下統一を果たしたのか? 見たい! ……ただし本作の信長はだいぶ難あり。だから楽しい。



すんごいヘタクソなゲーム実況を見ているようなのだ。題名に偽りなし。第1巻では、本能寺がありとあらゆる理由により、どのみち燃えまくっている。

時をかけるおじさん(信長)

本作の信長は、死ぬとまずは“天正3年の岐阜城”からリスタートする。このとき武田・丹波平定の軍議をおこなっていた。まずはここでの信長の振る舞いによって、謀反フラグが立っているのだという。

で、最初の数話で5回くらいポンポンとテンポよくバッドエンド(=本能寺の変)に行き着いてしまう。たとえば以下のように。



明智光秀に単刀直入に尋ねる信長。笑う。いや、わかるんですよ、たぶん私も同じように真正面から「お前マジで?」って言いたくなる。

図星ですよと言わんばかりの明智光秀。もうちょっとごまかせばいいのに!

信長は思わず光秀を斬っちゃいます。



「あいつさえいなきゃこんなことには」というわけです。もちろんこれはバッドエンド。明智光秀じゃなければ誰が本能寺の変を?



信長の側近“森蘭丸”が「この本能寺の変はなんで起きたか」を毎回説明する仕組みになっている。「え、信長様は知らないの?」と思いつつも、ちゃんと丁寧に教えてくれて便利。



元凶と思えた明智光秀をさっさと殺しても、“柴田勝家”にどのみち謀反をおこされてしまう。かわいそうに馬鹿殿呼ばわりまでされてバッドエンド。

よし、じゃあ次のやり直しで柴田勝家も殺しちゃえば?



手当たり次第。

夢だけど、夢じゃなかった、ばんざーい! というわけにはいかず、やっぱり起きてしまう本能寺の変。



ハイやりなおし。

そもそも“天正3年の岐阜城”で信長はどう振る舞えばよかったのか?



もちろん逃げてもダメ。

魔王がホワイト君主になるとき

ゲームでも失敗しつづけると「こうすればいいかも?」みたいなヒントが現れることがある。本能寺で燃えまくる信長にもついにそれが適用され、もちもちクマさんは次のようなアドバイスをくれる。



すぐ殺したり家族を追い詰めたりする君主なんて、そりゃみんな信頼しないでしょ、というわけだ。

殺さないように殺さないように我慢する信長。



現代のありとあらゆるコンテンツにおいて明らかに血の気が多い魔王キャラ(大河ドラマですらそうじゃないと物足りない)で描かれる信長に、そんなことできるのか!?

歴史がどんどん変わっていく!

どうにかこうにか「天正3年の岐阜城」の軍議をクリアした後も信長の試練は続く。



肉感的で美しい濃姫(帰蝶)。本能寺の変の頃にはすでに生きていなかったけれど、彼女もキーパーソンのような気がしてしょうがない(本作のお色気担当でもあります。ちょいちょいぷるんと脱いでてかわいい)。帰蝶さまが死なないエンドとかないのかなあ。

信長は、どうすれば本能寺の変を越えることができるのだろう。



四国侵攻……そういえば、長宗我部氏っていましたね。いろんな要素が絡み合って本能寺が燃えなかった世界を見せてくれる。史実と妄想とエンタメが混ざり合う歴史ギャグマンガだ。2巻も大変なことになってそう!

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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