「ちょっと怖い感じのラブコメでしょ?」とタカをくくって読み始めてしまい、反省しています。『それは霊のしわざです』、ちゃんと怖い! でもかわいい! 心臓をいろんな意味で忙しくさせるマンガです。ホラーとお色気とラブコメが楽しい。
憑いてる美少女が転校してきた
主人公の“鳥居望”は地味で目立たない男子。放課後の図書館が好きだし、みんなには内緒だけど編み物も得意。ある日、鳥居くんの教室に大変かわいい転校生がやって来ます。
“霧島京子”さん。お勉強もよくできて、男の子がうっとり夢見るような容姿で、優しくていい子。しかも鳥居くんの隣の席。ラッキー? や、もちろんラッキーなんですが、やっかいな事情が鳥居くんにはあります。
霧島さんには絵に描いたようなドロッドロの“霊”が憑いているのです。なのに霧島さんはこの笑顔だし、クラスメイトも全然気にしない。つまり、この霊が見えているのは鳥居くんだけのようで……。
ジャパニーズホラーばりの動作をキッチリこなす霊。あー怖い怖い怖い! この霊は自分の姿が鳥居くんに見えているのではと感づき、いろんな怪異現象を仕掛けてきます。
最初はめちゃくちゃ王道なホラー的アタックをかますんです。怖いので引用しませんが、手加減なしのお化け屋敷をイメージしてください。でも鳥居くんは踏ん張るんです。ガタガタ震えながら「見えてませーん!」と耐える鳥居くんに、霊が仕掛ける新たな怪異はこちら。
ひたすら見ないように見ないように頑張っていたのに、ついに見てしまう鳥居くん。これはしかたない。霊に胸を豪快に揉まれ苦しそうにしている霧島さんを見て、鳥居くんは思わず「大丈夫?」と声をかけます。いいやつ。これを機に霧島さんと鳥居くんは少し仲良くなります。
よかったね。しかも「お友達になってください」と霧島さんは鳥居くんに握手を求めます。本当よかった! でも、おわかりですよね、鳥居くんとの距離がグッと縮まるのは霧島さんだけではないのです。
まあ、こうなります
祟りなのか? 応援なのか?
かわいい霧島さんは、誰がどう見ても鳥居くんのことが好きです。が、めちゃくちゃ鈍くて引っ込み思案な鳥居くんは、霧島さんの好意にちっとも気がつきません。このままじゃ進展しない! そんな読者の気持ちを代弁してくれてるのかなんなのか、霊は霊なりに鳥居くんに対して働きかけます。
例えば図書室での自習タイム。ずーっと無言の2人。そして、不意に鳥居くんのスマホが鳴ります。
友達も少ないし、滅多に鳴らないスマホなのに、おかしいなあと鳥居くんが画面をチェックすると……?
怖! やり方はアレだけど良いやつかも! 最近の霊はスマホの扱いにも慣れているのか、ちょっと霧島さんと鳥居くんの会話が気まずくなるとスグに鳥居くんのスマホにこんな写真を送ってきます。
霧島さん、お風呂タイムも霊と一緒なんだね……祟られてるのか応援されてるのかどっちなんだろう。2人は霊のしわざによって、連絡先を交換したり2人で出かけるようになります。このあたりから霊と鳥居くんのことがますます好きになるんです。
2人(と、霊)で出かけた本屋さんで盗撮事件が発生! 鳥居くんは頭をフル回転させて霧島さんを救う方法を考えます。霊はこの時どこに? ちゃんと店内にはいるんですが、諸事情あって霧島さんのそばにいなくて……! この事件の顛末や収めかたが私は好きでした。霊や祟りや超常現象がなくたって、大切な人を守ることはできるんだって思えたからです。(別ラインで霊も頑張ってたし)
鳥居くんと霧島さんの距離はどんどん縮まり、あんなに引っ込み思案だった鳥居くんが「霧島さんと一緒なら部活もできるかも」なんて思ったり。やっぱり霊は2人を応援してるのかな、そうだよね……。それはそれとして、霊の階段の降り方がめちゃ怖い!
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。