「よくできたゾンビもの」を評するとき、たいていの場合「やー、結局、怖いのは人間なんだなって思うよね」と言う感想が出てくる。わかる。ゾンビとがっぷり組み合うと、ゾンビそのものじゃなくて人間にピントが合ってくるのだ。やっぱ生きてる人間側の方が諸事情あるのでね。ゾンビは慣れてくるとイナゴの大群のように見えてくるし。
『キングダムオブザZ』の諸事情はと言うと、これに尽きる。
これがいいんだわ。ずっとこの子がこんなこと言ってるのを聞いていたい。
とにかくパンツが目に入る
本作の主人公“佐藤勝”は高校生。突如ゾンビが大発生した校内で息をひそめる、おそらく数少ない生き残りです。
左耳のピアスと童顔のアンバランスさが良い。どうやら元野球部員らしい。で、クラスメイトたちもすっかりゾンビ化してしまい全員ズルズル。そこに現れるのが、JK2人なのですが。
バシーンと登場するし「助かったー!」って感じだけど、パンツ、気になりませんか。
私はめちゃくちゃ気になって数えました。第1話だけで12回ほど彼女たちのパンツが見えてます。しかも流れがいい。初登場で顔よりも先にパンツが出て、次のページでパンツの持ち主がパンツと一緒に描かれる。完璧だ。
このJKたちはパンツだけじゃない
しかも2人とも「ゾンビ殺し」がめちゃくちゃ上手いのです。ただのパンツ要員じゃない。
お構いなしにフルスイングを決めるツインテール女子は"百鬼(なぎり)かりん"。
フルスイング女子との連携が華麗な黒髪美少女は“関ヶ原ミキ”。この鬼強いJKたちと一緒にいれば、ゾンビの世界から生き残ることができるかも……でも、そういえば「ゾンビ後の世界」ってどんなのだっけ? ここに触れるかどうかは「ゾンビもの」のノリによって分かれるのですが、本作は「がっつり触れる」タイプのゾンビ譚です。
関ヶ原さんの予想はすごく的確だ。そう、ためらいなくゾンビを殺して飄々としているJKは、ただ飄々としているわけじゃなく、「その先」をしっかり見ていて、さらに「野望」もしっかり持っているんですね。
「寝言を言うな」と言いそうになるが、しかし関ヶ原さんの戦略と百鬼さんの機動力を見るとちょっと「いけるかも」と言う気がしてくる。このJKヤバい。
「ヤバいJK」のどこがヤバいのか?
本作を読んでいくうちに関ヶ原さんの戦略性の高さが「ガチ」なことがわかってきます。
ゾンビを捕え、ゾンビの仕組みを研究し、
外部の集団がどういったものなのかを丁寧に情報収集しています。
そしてこの判断力。ヤバい、頼りたい。だんだん「女王様になれるかも」と言う気がしてくる。とにかく関ヶ原さんと百鬼さんが「私たちの王国を作る」という目標に向かって着々と動くさまが気持ちいい。なので、JKが日本国とゾンビを攻略してゆく過程を楽しんでほしい。パンツもずっとチラチラしてます。
そうだ、ヤバいJKで頭いっぱいでしたが、主人公の佐藤くん(関ヶ原さんの国民1号)は……?
だいたいこんな感じです。クレバーで鬼畜なJK2人に囲まれつつ、バランサーとしての役目を発揮しています。関ヶ原さんに怒鳴られながらゾンビたちと戦っているので、ぜひ応援してあげてください。
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。