大人の男性同士のピュアな恋愛を描いて大ブームとなった「おっさんずラブ」。そのコミック版が、ついに発売になりました。
漫画を原作としたドラマが溢れる中、ドラマを原作とした漫画は非常に珍しく、しかも熱烈なファンがいるこの作品がどんなふうに描かれるのか、とても気になっていました。お願いだから失望させないでね、という願望も込めつつ。
でも、表紙を見た途端、心が躍りました。彼らの真っ直ぐな想いを表すような青空をバックに3人の美しい男たち。そしてそこには、キラキラと光る無数のハートマークが仕込まれていたのです!
そのハートは、光の加減で大きくなったり小さくなったり。まるで、これから始まる彼らの恋模様みたいに。
主人公はご存知、天空不動産営業部に所属する、ちょっとドジでだらしなくて優柔不断な春田創一(33)。この春田に恋心を寄せるのが、仕事も料理も完璧な入社3年目のハイスペック・エリート牧凌太(25)と、結婚30周年を迎えた“そこそこ美人”の妻がいる黒澤武蔵部長(55)。
そうそう、黒澤部長といえばこれ、「はるたん」。強面のヒゲ面で「はるたん」と乙女チックに叫ぶ吉田鋼太郎さんの声が、今にも聞こえてきそうです。
と、知ったかぶりをして書きましたが、実は私、このシーンを知りません。
というのも、たまたまテレビをつけたときにやっていたのが「おっさんずラブ」で、あまりの面白さにそのまま見続けたクチなので、前半部分がごっそり抜け落ちているのです。
今年の夏には劇場版も公開されると知り、お正月にやっていたドラマの一挙再放送を録画しておかなかったことを激しく後悔しました。今さらお金を払ってドラマを見るのも何だし……。
しかしある意味、これも正解だったかもしれません。初めて見るシーンを楽しめているからです。
ドラマで春田を演じた田中圭さん、牧を演じた林遣都さんの演技は本当に素晴らしかったので、漫画になった春田と牧に没入することができるのか心配だったのですが、漫画の春田と牧もいいのです。
なんたって春田が可愛い。愛すべきダメ男、クズ男っぷりを披露してくれます。
牧は薄い塩系の顔立ちで最初こそおとなしめ。どちらかというとクールな感じなのですが、黒澤部長が春田と2人屋上で、手作り弁当を食べているところに割り込むシーンでは、男臭さ全開です。
直属の上司相手に後先考えず、ここまで言い切れる牧って、本当にカッコいい!
牧の熱烈なファンが多いのも頷けます。
でもそうなると、ドラマではこのシーンがどんなふうに描かれていたのか気になってしまいました。
そこでドラマで確認をしたのですが、春田の「うぉぉぉぉい!!」というツッコミの角度も、ウオーミングアップのぴょんぴょん跳びも、ドラマに準じて描かれていて、なんだか嬉しくなりました。
さすが公式監修と銘打つだけあり、名シーンがそのまま蘇ります。ドラマとコミックのシンクロ率を楽しむというのも面白そうです。
でも実は私、春田と牧の上司である武川政宗が、個人的に気になっています。というのも、武川を演じた眞島秀和さんは、朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」に出演していたころから大好きな役者さんだからです。
武川は、第1巻にはあまり出て来ませんが、夏頃発売予定の第2巻ではどのように描かれるのか、もの凄く楽しみです。
決して熱烈な「おっさんずラブ」ファンとはいえない私ですが、このコミックを読んで気づいたことがあります。実は私も「おっさんずラブ」が終わって寂しいと感じる「おっさんずロス」にかかっていたのだと。
私のような「おっさんずロス」の方はもちろん、「おっさんずラブ」をよく知らなくて乗り遅れてしまった方も、まずは実際に本を手に取ってみてください。キラキラのハートが溢れる「おっさんずラブ」の世界感、きっと好きになると思うので。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp