いやいや、これは文句なしに面白い! 何度、声を出して笑ったことか!!
Twitterで300万「いいね」が付いた人気漫画が書籍化されるやいなや、品薄状態で手に入らない状態が続いた『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい(1)』。
登場するのは、漫画家の松本ひで吉氏が実際に飼っている、天真爛漫な犬くんと、クールで凄みをもつ猫さま。
この3者の何気ない日常の出来事が描かれたコミック・エッセイなのですが、犬や猫を飼ったことがある人であれば、思わず「あるある」と頷(うなず)いてしまうエピソードばかりなのです。
確かに、旅行から戻ったときの犬と猫ってこんな感じだよね、というのがこちら。
陽気で従順な犬、ドライで気高い猫という習性を擬人化して、作者が想像で書いたセリフなのに、とにかく笑えます。
この子が人間の言葉をしゃべれたら、もっと楽しいのになぁ……という飼い主の願望が、そのまま表現されているかのようです。
しかし、これらのセリフが勝手な妄想ではなさそうだと思わせてくれるのが、所々に出て来る犬くんと猫さまの実物写真。
こう言っては何ですが、犬くんは、あまり深く考えてなさそうなぼんやり顔で、鼻に大きな黒模様がある猫さまは、半端ない威圧感なのです。眉間に皺を寄せ、ギャングのような鋭い視線の猫さまの見事なヒールっぷりといったら!
この猫さまのお陰で、瞳がキラキラ、躍動感あふれる犬くんの可愛さが、これまた際立つ感じでして。
このコミックは、Twitter で連載されていたものに、書き下ろしが加わり、どれも1~2ページなので、ササッと読めます。
私の場合、このタイプのコミックは、気持ちよく眠りに就くための常備薬みたいなものなので、湯船に持ち込んで見ています。
もし私がOLだったら、ロッカーや机の引き出しに忍ばせておき、嫌なことがあったら、ちょちょっと読んで気分転換することでしょう。そして、それができるのは、オチを知っているのに何度読んでも必ず笑えるものだけ。すでに内容を知っているTwitterの読者が、書籍化された途端、購入したという話も頷(うなず)けます。
でも、ゲラゲラ笑うだけでなく、ウルっとくる話もいいのです。
私が以前飼っていた犬も、最期のほうはトイレの失敗が多く、お尻を洗いながら「大丈夫だよ。ちゃんと面倒見るからね」と言うと、申し訳なさそうな顔をして、じーっと私を見つめ返したことを思い出しました。
それ以来、動物は飼っていなかったのですが、このコミックの影響でついふらふらっとペットショップに立ち寄り、長居をしてしまいました。
犬と猫、どっちも好きだけれど、次に飼うならやっぱり犬!と決めていたのに、こんなに"どっちも飼ってると毎日たのしい"のなら、どっちも飼ってみたいと、今まで思ったこともないことを思い始めています。
とはいえ、今は動物を飼ってはいけないところに住んでいるので、しばらくはこの犬くんと猫さまを眺めて我慢、我慢。一読者として、早く第2巻が出ないかなぁと、今から待ち遠しくて仕方ありません!
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp