声優の小野大輔さんと近藤孝行さんが原作をつとめる『ナヴァグラハ』。その第1部にあたる「DefenD 9 Triggers」第3巻の発売を記念してお話を伺ったのは、小野・近藤両先生、そして3巻の特装版のドラマCDで主人公2人の敵グルバラとスギュラを演じた立花慎之介さんと日野聡さん。座談会は公私ともに仲の良い4人ならではの和気あいあいとした雰囲気の中始まりました。
向 日明役
近藤孝行(こんどう・たかゆき)
フリーランス。主な出演作は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(久川鉄道(ぽっぽ))、『逆転裁判シリーズ』(成歩堂龍一)ほか
紫垣屋 朔夜役
小野大輔(おの・だいすけ)
フリーランス。主な出演作は『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(古代進)、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ(空条承太郎)
グルバラ (風天)役
立花 慎之介(たちばな しんのすけ)
アクセルワン所属。代表作は『神様はじめました』(巴衛)、『DD北斗の拳』(ケンシロウ)、『Go!プリンセスプリキュア』(カナタ王子)
スギュラ (毘沙門天)役
日野 聡(ひの さとし)
アクセルワン所属。代表作は『ハイキュー!!』(澤村大地)、『弱虫ペダル』(新開隼人)、『オーバーロード』(モモンガ)
覚悟をこめて
──コミックスの3巻で第1部が終わり、現在「月刊少年シリウス」では第2部「Virgin 9 Souls」が始まりました。作画も松葉サトル先生へバトンタッチし、サブタイトルも変更になりましたが、それぞれどのような意味があるのでしょうか?
小野:第1部の「DefenD 9 Triggers」は、実は近藤くんと僕の名前の頭文字と九曜からきているんです。
立花:そうなんだ!
小野:そう。「D」「9」「T」に当てはまる言葉を考えるところからスタートしたの。自分たちの頭文字を使ったのは「原作者をやる」という覚悟でもあります。単語は近藤くんのアイディアだったよね。
近藤:「Defend」は守護者、「Triggers」は引き金という意味です。何かを護るために銃口を向けることすら厭わず戦うという思いを込めました。
小野:他の九曜もそうなのですが、中でも特にアキラとサクヤの2人はそれぞれリタの声援とミナの罵倒がトリガーとなって変身します。そういう意味もかかっているんだよね。
近藤:うん。
小野:引き金を誰かが引いてくれないと僕ら2人は変身出来ない、そういうお話です。1部はキャラクターの顔見せでもあって、「これから物語が始まるぞ!」というドキドキ感も感じてもらえたらと思っています。おっきな物語が展開していくという、第1部はまさしく序章なんです。
近藤:それを受けて、第2部の「Virgin 9 Souls」は新しいスタートを切ってここからまた新しい物語を生み出して行くぞという意味で「Virgin」としました。そして、ここからは9人の内面的なものを掘り下げていくので「Souls」にしようと小林先生や担当さんと会議で決めました。
小野:最初に案を出してくれたのは小林先生だったよね。これはバーン!と決まりました。第1部は「D9T」、第2部は「V9S」。つまりバーサスです。これから九曜対七聖仙(セプタリシ)の形が本格的に始動していくんです。
──対決というと、グルバラやスギュラの登場も増えそうですね。
小野:いや、本当そう。ガンガン戦うから!
立花:そう言って、わかんないですよね? Virgin9っていうから、処女の新キャラが9人でてくるかもしれない。「V9S」は「Virgin 9 Sisters」かもしれないよね(笑)。
小野:うわぁ……作風すごい変わる……! 急に「お兄ちゃん♥」とか言うキャラが出てくるの!?
日野:サクヤが女の子に「俺に暴言吐いてくれよ」って言う感じ?
近藤:やりません!!
皆で作り上げたキャラクター
──日野さんと立花さんは『ナヴァグラハ』初参加となりますが、小野・近藤両先生からはどのような演出があったのでしょうか?
立花:グルバラって漫画の本編だとスマホを使って会話しているので、ドラマCDほど喋らないんですよね。それが難しさの1つで、答えがいっぱいあるキャラだったので僕が思うグルバラをやってみて「こういう風にやってくれ」と言われたら変えて……と演じながら徐々に近づけていきました。
小野:やればやるほどグルバラっぽくなっていくから「『こういうアプローチをしてください』って言ったらどんな芝居をしてくれるんだろう、どんなキャラになるんだろう」って思っちゃって。アフレコをしながら段々こういう子なんだって思った感じがありました。
立花:こんな風に作る側が迷ってたら俺も迷いますよね?
小野・近藤:わっはっは!!
日野:スギュラは確かテストで1回やって、原作サイドの思いとか彼の内面とか色々聞いたんだよね。その時の演出が、原作者としての立ち位置に加えて普段役者として気にしてるところがわかって本当に新鮮で面白かった。グルバラと話している普段の時と、戦闘モードに入った時の違いとか。確か鋭さを意識して欲しいと演出されたんだよね。
小野:あれはすごく覚えてる。スギュラは低い声で圧があるし、キャラクターとしての造形がすごく深い。でも殺気とか意思の強さがこもった「殺す」というセリフはスパッと言って欲しくて。そうそう、スギュラはめちゃくちゃダビングに時間をかけました。割と低めに落ち着いてやってもらったから効果音をつけすぎて埋没させないように、立たせられるようにってSEをちょっとズラしたりとか細かく微調整したんです。
新しい物語がはじまる
──第2部はスギュラたちの出番も増えそうですが、日野さんと立花さんは原作者の先生方への要望はありますか?
日野:スギュラを殺さないでください……! 折角これから頑張ろうと思ってるのに、近藤先生から小野先生がスギュラを殺そうとしているとちょくちょく聞いて心が折れかけているので(笑)。
立花:僕の中では作品は原作者のものなので、2人が考えるテーマを貫いて欲しいと思います。そこがブレると作品が揺らいじゃうから。
──日野さんと立花さんの思いを受けて、近藤先生と小野先生はいかがでしょうか?
5月14日、ユナイテッド・シネマ豊洲で行われたスペシャルイベント
近藤:今貫いて欲しいと言ってもらいましたので、そうしたいですね。もちろん小林先生や松葉先生、編集さんと皆で作り上げているものなので、その都度戦わなければならない部分があるんですけど、その上で自分たちの考える良いものを作っていきたいですし、またそれだけの熱も僕たちはちゃんと持ち合わせています。本編はこれから本格的に戦いに突入していきます。ここからさらにその熱が作品に反映されて熱くなって行くと思いますので、たくさんの人にまず読んでいただきたいです! 間違いなく素晴らしいものにしていきますので!
小野:今回のイベントでは朗読もバラエティも歌もあって、作品のこともちゃんと掘り下げたりと色んなことが出来ました。第1部の魅力をしっかりと皆さんにお届け出来たと思っていますし、これから第2部がすごく楽しみになるような可能性を感じました。それも関わってくれる仲間がいて、応援してくれる方がいたから。皆がいれば何でも出来ると感じました。今回は映画館でイベントをやらせてもらいましたがが、ゆくゆくはアニメにして劇場にかけたいなと! 本当に絵空事じゃなく。ちゃんと実現したい夢としてちゃんと掲げて、皆と一緒につくりあげていこうと思っております。応援してくださる方の期待に応えたいと思っていますので、これからも『ナヴァグラハ』をよろしくお願いします。
取材・文:松澤夏織
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