高田サンコ先生が月刊ヤングマガジンで描く、ご当地・漁師めし漫画『海めし物語』! 偏食家のスチュワーデス・赤桐珠子、栄養士なのにポッチャリ女子・白玉沙奈々。パチンコという共通の趣味を持つ2人は念願だった“旅打ち”(旅行先でパチンコを楽しむこと)に出かける。そこで、彼女たちは今まで食べたことのない超新鮮な魚料理に出会ってしまう! 話題沸騰の『海めし物語』最新話が出来るまでの裏話を、短期集中連載でお届け! 第2回の今回は漫画家・高田サンコの誕生秘話と、第1回「三崎のマグロ」の裏話!
Q 管理栄養士でもある高田サンコ先生。「なぜ管理栄養士から、漫画家に転身したんですか?」
A 高校時代のある日、学校近くに来ていた献血車で献血を受けました。白衣の中年男性に血が薄い、鉄分が足りないと言われ「どんな食べ物に鉄分が多いか知っているか」との問いに「ほうれん草」と答えると「引っかかったな、ほうれん草の鉄分は血になりにくいんだ。肉を食べろ!」……。そんなやり取りで私は興味がわき、栄養士になったのでした。しかし、栄養士になったものの社会になじめず、仕事を転々とし小学校の非常勤栄養士になりました。小学校では給食だよりと献立表を作る仕事が好きでした。私の献立は毎日残飯が多く、給食主事さんとの信頼関係を構築することもできず、大量発注のプレッシャーも重く、日々、絶望を感じていました。八丈島のようなハゲもできました。でも、私のイラストが入った「給食だより」だけは、教職員や子どもたちからの受けがよかったのです。給食だよりを読み、給食を残さず頑張って食べてくれる子もいました。私が生きる道は献立じゃないのではないか……八丈島ハゲから脱出したかった私は、非常勤の契約更新がせまったある日「漫画家目指すので更新しません」と校長に告げたのでした。
マグロの実物大フィギュアから、インスピレーションを受け瞑想中の高田サンコ先生。
Q そもそも、この『海めし物語』がスタートしたきっかけは?
A 初めに編集部の方から漁師飯のお話をいただいた瞬間から、マリンちゃんのブイサインが浮かんでしまいました。マリンちゃんというのはパチンコの海物語シリーズの主要キャラクターで、金髪のポニーテールの女の子です。漁師飯から連想されたのは、漁師が食べている飯のことよりもマリンちゃんのブイサインだったのです。違う、今はマリンちゃんじゃない……。船上で無精ひげの漁師さんがとれたてのアジをバッとさばいて叩いて薬味と一緒にご飯に乗せて醤油をかけてかっこむとマリンちゃんがブイサインして……どうしても海をイメージするとマリンちゃんが出てきてしまう。そんな私のパチンコ脳から、パチンコ好きな2人の旅打ち海グルメ漫画になりました。寛容な編集さんに感謝しています。
マリンちゃんのブイサイン! 魚群! キュイン!! サンコ先生のパチンコ愛がそこかしこに!
Q 記念すべき第1回に、「三崎港のマグロ」を選んだのはなぜですか?
A まだ連載が決まっていない段階での取材でした。とりあえず「東京近郊・メジャーなお魚」を探して、日本有数のマグロの水揚げ量を誇る神奈川県三崎港のマグロに決まりました。探して決めてくださったのは編集さんです。私はお魚と言えば頭の中でパチンコが始まるくらいなので検索能力もありませんでした。けれどこの取材をきっかけに、少しずつ新しいシナプスが発達しつつあるのを感じます。三崎港には世界中のマグロが集まってくるそうです。私は世界の海のマグロを食べている! このスケールの大きさ。街の中で暮らしているとピンと来ませんが、それを少し実感できたように思います。
もちろん現地に赴いて、丁寧に取材。元・管理栄養士のサンコ先生ならではの観点と、食材に対するリスペクトを感じます。
Q 三崎港のマグロの取材で、思い出に残っているエピソードや食べ物があれば教えてください!
A 取材に協力してくださったのはご年配の元漁師さんのお2人。この方々の現役時代のお話が非常に危険で面白かったです。マラッカ海峡は狭くて渋滞するし海賊がよく出るとか、フィリピン沖で海賊に襲われて銃口を突き付けられたとか、とったマグロを海賊に横取りされないようにフカヒレを囮にしたとか……漁から帰った時に食べたいものはカレーだそうです。そんなお話を聞きながら。三崎港の食堂でいただいたマグロの皮の煮こごりは衝撃的でした。お魚でこれまで感じたことのないムッチリ感。さらに、おいしかったのが中トロ。パチンコで大当たりを引いたような多幸感でした。マグロって、素晴らしい食べ物ですね。
経験豊富な元漁師さんたちの貴重な経験談も、マグロの皮のにこごりも、しっかり盛り込まれている海めし物語第1話。サンコ先生の魚愛とパチンコ愛があふれる「第1話の試し読み」は下のバナーからどうぞ!