想像を掻き立てる選手権があったら優勝! 地球の100億年を描く、SFと人間ドラマの傑作短編集。若き天才・こがたくうの鮮烈なるデビュー作にドキドキです!
コミックプラスの製品情報を掌握する(!?)窓際バイト・さあや(アラサー・女性)が、一身上の性癖で選んだ名作たちを力説紹介するオタク連載。オススメする気持ちは人一倍! 伝える力は講談社デブリ! 泡を吹いて卒倒する文章で書きあげるよ~! 毎週土曜日更新だよ~!
オタを隠して生きてきたのにどうしてこうなったφ( ^ω^ )
恐ろしいことに誰得ツイッターアカウントができたよ!⇒さあや絶賛の中の人@講談社内
まったく役に立つことつぶやいてないけど頼む~ふぉろみ~!
全部が全部いい味出しまくりのSF短篇オムニバス!
1巻完結のマンガでおもしろいの見つけちゃったときの、あの「やってやったぜ」感はたまらないものがありますよね~。数あるマンガからこれを買ったわたしすげぇみたいな! わたし自身は何もすごくないんだけどね、へへへ! そんなわけで、今回も見つけちゃいましたよ。こがたくう先生の『宇宙のプロフィル』です!
宇宙とか地球を題材にした、SFモノを5編集めた単行本なんですが……んんん、わたしがSF好きなわりには難しいことが言えない奴だということは、みなさんもう分かっていると思うんだけど、あのね、やっぱり「すげぇー!」しか言えないの申し訳ない(笑)。
なにが「すげぇ」かと言うと、宇宙を題材にしているからもう時間のスケールが。何回人類がやり直ししているのかわからなくなるくらい地球ってそこに“ある”んだなぁと……。途方もない星の時間と、そこに存在する人の一瞬みたいな人生がそれぞれのストーリーになってて、本当にどの話もよかったです! オチがまた良くてさ、ハッピーエンドもバッドエンドも大どんでん返しがあるんだよ。最後の最後までおいしかった~。わたしの大好きな手塚治虫先生の『火の鳥・未来編』(中学受験の前日にひまつぶしに読んだら興奮して眠れなくなった。なお試験の結果はお察し)を彷彿とさせるようなあっという間の時間でした……。コレ系のSF王道好きな人にはぜったいオススメですよ!
どれもめちゃくちゃ語りたいけど、あまり書いてしまうとネタバレして、もったいなくなっちゃうからちょっとだけ……。女子高生・京子が、どこか遠い宇宙船の女の子になる夢を見続けるストーリーも好きなんだけど、やっぱり宇宙飛行士の話かなぁ。他の作品は夢があったり涙があったりするんだけど、この話だけちょっと異質でさ。
一人乗り用の宇宙船「ロボシップ」で、海王星探査に向かう宇宙飛行士の5人。そのうちひとりが閉鎖空間内で忽然と姿を消してしまう。さまざまな可能性を考える残りの船員たちはやがて行動に出る……んだけど! 自殺とかコンピューターウイルスとか、原因を探していく過程でひとりまたひとりと死んでいくの、なんだか宇宙船内殺人事件みたいなサスペンスがいきなり始まったかと思えば、最終的には「えーっ!」だし、もっと言うと「え──っ!?」だからもう読んでいて作者に振り回されっぱなし! 自分でも何言ってるのかわからないけど、とにかく宇宙怖い&人間怖いってお話でした。
ここからまさかあんなラストになるなんて俺たちはまだ知らなかった……。
最終話の「地球最期の日」は、クライマックスに向けてもうずっと泣けました……。収録作品は5話とも時間軸も関係性もバラバラなんだけど、この最終話で“地球”で全部繋がってるんだなぁ。そしてそんな永遠に近い時間の中でも、人間の本質と言うか、根っこの部分は変わらないぞ!っていう……あ、また涙が……。
そういえば、こがたくう先生ってこのマンガがデビュー作なんだって。うっ、本当にすごい。短編でこんなにおもしろいのすごい。今後も期待せざるをえない。