PICK UP

2026.07.17

レビュー

New

こんな年下チャラ男、絶対好きになりません!! 恋愛キャンセル界隈OLの同居ラブ『ココロ、恋にあらず』

「どうなっちゃうの~?」の期待に応えまくる2巻

マンガの単行本1巻の最後に収められているエピソードには独特の引力があります。「第2巻につづく」の文字を見て「2巻を読まずして死ねるか」くらいの気持ちになったら、その作品は自分の中ですごく「いいマンガ」です。その点でいうと渡辺あゆ先生の『ココロ、恋にあらず。』の第1巻ラストはすごかった。

28歳の“こころ”は、自分で働いて買ったマンションに自分一人で暮らして、そこへ転がり込んできた4歳下のイケメンバーテンダー“慧(けい)”に、同居だけは許していたけれど信用はしておらず、心も体もまったく許していませんでした。ところが……?
こころの「え⁉」とはちょっと違う意味で私も「え⁉」ってなりましたよ。だって、慧の1巻での言葉や表情は、本気と呼んで差し支えなかったんです。グイグイくる。なのに本気宣言が出るということは、つまり、今までのアレやコレはウォームアップで、2巻でもっとすごいのが待っているってこと?
こんなアゴをクイッとやって「絶対好きにならない」宣言までしたこころは、慧に本気で来られたらどうなっちゃうの?

2巻の慧は期待通りさらにグイグイ来ます。
もう100点満点。

ただ、『ココロ、恋にあらず。』のさらに巧みなところは、こころがコロッと慧に惚れたりしないところなんですよ。慧にグラグラ揺さぶられて少しずつ変わって、並行して仕事は一切手を抜かずがんばって、友人のキャリアを応援して、結婚式に参列すればウルッと涙ぐんで。自立した大人の女が平穏そうに見えて平穏ではない日常を送る様子がとてもいい。
こころが「指一本ならふれてもいい」と言ったあとの、2人のこの表情! このエピソードを迎えるために1巻の全ページがあったのねと思うくらい好き。ということで100点満点に1000点加算しても足りない! たたみ掛けがすごいですよ。

「可愛げない」?

こころが28歳でマンションを買ったのは元カレのためでした。ただ、相手の浮気が原因で別れてからは、自分のお城でひとり暮らしを満喫。会社では後輩に怖がられつつも仕事はキッチリこなして、朝だって6時にきちんと起きて、好きなお酒はシングルモルトのウイスキーやビール。

周りからは「強い」と言われるし、自分でも「ヤワじゃない」と思っているけれど、元カレが別れ際につぶやいた「こころのかわいげないところ、俺はキツい」がずっと忘れられません。「アナタの器のサイズにはキツいかもしれませんね」って言い返してあげたい! まあでも、マンション買うほど大切にしていた男にそんなこと言われたらショックで身動き取れなくなりますよね。

だから、行きつけの店のバーテンダーの慧が、どんなに自分に懐いていても、どんなに見た目がよくて優しくても、こころは警戒し続けていました。でも深酒をした夜になぜか「住む?」と口走ってしまって、ちょうど住む場所に困っていた慧はホイホイ転がり込みます。

こうして、生活のルールを決めて、境界線をきっちり引いて、あなたを好きになるわけがないでしょう?と怖いカオであしらって同居生活がスタート。
この姿を見ても水漏れトラブルと聞いてすぐに正気に戻るタフなこころ! でも、一緒に食べるピザがおいしかったり、ドライなお酒をカッと飲みがちなこころのために慧が作ってくれたカクテルに感動したり、癒やされイベントが多発します。おかげでずっと片づけられなかった元カレの残置物もきちんと返送できました。

『ココロ、恋にあらず。』は、10代でも学生でもなくなってアラサーを迎えた大人にも少女マンガの世界はあるんだよと思い出させてくれます。
絶対勝てると思っていたプレゼンが通らなくて落ち込んでいたら、慧が心配して電話をくれて……、
こころは「来て」なんて言えなかったし、詳しい居場所だって伝えなかったのに、慧はちゃんと来てくれました。缶ビールじゃなくて缶コーヒーを選んでいるあたりにも優しさを感じる! 好きにならないと宣言するのは、相手に期待をしたくないからなのかもしれません。このときも、こころは「来るわけがない」と思いながら、でもなんとなく河原でじっと座っていたんです。かわいい!

そういう毎日の揺れや、一つ屋根の下に暮らすからわかる小さな変化をていねいに描くマンガです。
この女性のどこが「可愛げない」んでしょうね、ホント。
慧はこころの可愛さをよく知っているようです。2人の生活を見ているとすごく心が満たされますよ。

ちなみに1巻のラストで「え⁉」と思ったのと同じくらい2巻の最後で「えー!」となるのも最高。女子会がバチバチに盛り上がりそうな重大トピックが2つ同時に発生します。見事!

レビュアー

花森リド

ライター・コラムニスト。主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」などで執筆。

X(旧twitter):@LidoHanamori

おすすめの記事

レビュー

大ヒット同居ラブ『LDK』待望の新婚編! 胸きゅん&ドキドキがパワーアップ!!

  • エンタメ
  • 花森リド

試し読み

保健室で目覚めると同じベッドに美形男子! 添い寝から始まる超接近ラブ

インタビュー

“壁ドン”を生んだ『L・DK』完結! 累計1000万部のラブきゅんを振り返る

  • 恋愛

最新情報を受け取る

講談社製品の情報をSNSでも発信中

コミックの最新情報をGET

書籍の最新情報をGET