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2016.09.07

インタビュー

【ネット震撼】常識ある妖怪にJCがご乱心──粘着しまくり愛の結末は!?

ニュース情報サイト「ねとらぼ」で連載が開始されるや、ヒロイン・咲の常軌を逸したつきまといっぷりが話題を呼んだ『つまさきおとしと私』が遂に完結! 咲の意外な顔や読者をザワつかせた戦慄の最終回の真相まで、作者のツナミノユウ先生に独占インタビューしました。

ツナミノユウ
2006年に『レバンドロイド』で第11回21世紀ウルトラ漫画賞の佳作を受賞し、『ウルトラジャンプ』にてデビュー。『つまさきおとしと私』ほか、『蟬丸残日録』(モーニング・ツー)など。

ネット震撼! 最恐ヒロイン!

79話

──妖怪なのに常識的なつまさきおとしに対し、突然彼女ぶって一方的につまさきおとしのことを“とし君”と呼び始める咲が恐ろしかったです。他人の話を聞かない系というか……。このふたりはどのようにして生まれたのでしょう?

ツナミノユウ先生(以下 ツナミノ):つまさきおとしは10年くらい前に思いついたので実はつきあいの長いキャラクターです。当初より少し可愛くなりましたが、草鞋の妖怪ということで藁の髪の毛などビジュアルはほとんど変わっていません。常識的なところもそのままです。咲は僕の漫画によくいる、やたら粘着質のキャラクターの核の部分を肥大化させて生まれました。いや、どちらかというと授かったという感覚の方が近いかもしれません。咲は「怖い」と言われることが多いのですが、作者的にはすごく良い子なんですよ。シチュエーションを与えてあげると好き勝手に暴れてくれるので全然手がかからない(笑)。ネタは半分くらいはこの子がつくってくれました。つまさきを切るという何の意味もない行為に勝手に意味を見出して押しかけ弟子みたいになる予定だったのがなぜかこうなりましたが、結果としてうまくいったので良かったです。

──咲は描きやすいですか?

ツナミノ:そうですね! 描いていてすごく楽しいです。あ、でも彼女の私服回だけはすごく苦労しました。

──あ……全身ペイズリーの……。

37話

ツナミノ:プロットに一言「私服がヤバイ」とだけ書いてあって原稿を前に途方に暮れました(笑)。そもそもオシャレな私服を考えられる人間じゃないのにヤバイ服と言われてもわかんないよ! って。めちゃくちゃな組み合わせにするのも違うし、咲らしくてヤバイ服とは……とものすごく考えました。でもある時ふと全身ペイズリーというアイディアが浮かんで「これだ!」と。ペイズリーってよくわからない柄だし、良く見ると細菌みたいで気持ち悪くないですか? 咲は基本自由に動いてくれる子でしたが、これは唯一僕から彼女に働きかけたことかもしれないですね。

私服がやばいスタンプ

『つまわたスタンプ』好評発売中!

──咲の異常行動は読者の間でも話題になりがちですが、オノマトペが彼女の異様さを増幅させているように思います。普段聞いている音でも文字になると面白みが出るものもあって。

ツナミノ:オノマトペを色々考えちゃうのはアシスタントをしていた石黒正数先生の影響ですね。先生の漫画は変わったオノマトペがたくさん出てくるので、僕も工夫しなきゃと思ったのが染みついているのだと思います。どれが正しいのかを考えて、絶対適当に流さないようにしています。個人的にはケータイカメラのシャッター音がお気に入りです。

──ちなみにつまさきおとしと咲だとご自身はどちらに似ていると思いますか?

ツナミノ:咲のことは「変な子だなあ」と客観的に見ているのでつまさきおとしだと思います。でも最近動物に触りたい衝動に駆られていて、もしツンツンしながら触らせてくれるつまさきおとしみたいな猫がいたら咲のようにめちゃくちゃにおいを嗅いでしまうかもしれません。

私服がやばいスタンプ

『つまわた』はラブコメです

──最終回は衝撃を受けました。闇堕ちというか、何というか……。

ツナミノユウ先生(以下 ツナミノ):あれはハッピーエンドですよ! 僕はずっと咲とつまさきおとしを幸せにして終わらせると決めていましたし、『つまわた』はラブコメのつもりで描いていましたから(笑)。ふたりが幸せであれはバッドエンドじゃないんです。ふたりの愛の行方を温かい目で見届けてもらえたらなと。

──コミックスはふたりの愛の軌跡ということですね。

ツナミノ:そうですね。カバー下までぎっちり詰まってます! 特にカバー裏は担当さんがやっていた咲名義のツイッターアカウントで撮り続けた、つまさきのない靴の写真が敷き詰められています。写真が並んでいるのを見た担当さんが「靴がうれしそう」とか言っていた時は本気でヤバイと思いましたし、狂気を感じるカバー裏となりましたがこれも愛の結晶なので(笑)。『つまわた』は2巻が出るかわからない作品でしたがお陰様で今までにないくらい反響をいただくことができ、無事に発売されることになりました。たくさんの反響をいただき、読んでもらえているという実感を得ることができた作品でもあります。たくさんの方がコミックスを買ってくださって出せた2巻なので、これから手にとってくださる方も本編だけでなくぜひすみずみまで楽しんでもらえたらなと思います。

私服がやばいスタンプ

(取材・文/松澤夏織)

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