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2016.07.17

インタビュー

中島裕翔主演『HOPE』、原作は韓国で200万部の社会現象に

韓国ドラマとして爆発的人気を博した『未生 ミセン』。その原作コミックの日本語版が講談社から発売中です。さらに、7月17日からフジテレビで『未生』を原作とした日本版ドラマ『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』が放送されます。今回、韓国ドラマに精通し、関連イベントのMCやインタビューも数多く手がけるフリーアナウンサー・Yumiさんに、『未生』の魅力を語ってもらいました!

Yumi(ユミ)
Yumi(ユミ)

アナウンサー、タレント、作詞家。TOKYO MX「フォンデュ!」MC(毎週木曜日9:30〜)、歯科衛生士、韓国語法廷通訳、バー経営など異色の経歴を持つ。著書に「Yumiのハングルで妄想してくださ〜い!」「同part.2」(ウリアカデミー出版)。トークライブ「Yumiサロン」を不定期に開催。韓国ドラマ「ミセン-未生-」の主役アイドルグループ「ZE:A」のイム・シワンのファンイベントのMCをつとめたこともある。
【Twitterアカウント】 @Yumi_nuna

普通の社会人をリアルに描いて共感を得た作品

──Yumiさんは韓国ドラマの『未生』でこの作品にハマったそうですが、どんなところに魅力を感じたのでしょう?

ドラマで『未生』に触れたとき、今までにない作品だなと思いました。

韓国人はドラマが大好きな国民です。その理由は、非日常的なラブストーリーや復讐劇をドラマの中で経験した気持ちになれるからだと思っていました。でも、『未生』は、商社マンたちが誠実に仕事に向き合い、成長していくという群像劇です。設定としては派手さのない作品ですが、tvNという地上波ではないケーブルテレビ局で放送されて人気を博し、ケーブルテレビ歴代視聴率第2位を記録しました。

それは、どこにでもあるリアルな話を骨太に描いた作品に初めて出会い、ほかの誰でもない、自分のストーリーだと視聴者が共感したからではないかと思うんです。もちろん、作品自体にすごく力があって、地に足がついたストーリーがあってこそだと思います。

──ドラマのファンとして、コミックを読んだ感想は?

『未生』

もともと『未生』は韓国のコミックが原作だって知らなかったんです。ドラマに思い入れが強いと、コミックに違和感を感じちゃうのかなって思ってたけど、全然そんなことはなくて、読み進めるほどにキャラクターに愛着が持てるようになりました。

ドラマだと通り過ぎたシーンもコミックは何度も見返せるので、改めて「あっ、この行動にはこんな伏線があったんだ!」って確認しながら読めて、作品をより深く味わえました。さらにコミックを読んでドラマを観たら、新しい発見があると思います。どちらから入っても相乗効果があると思います。

『未生』ファンは、韓国ドラマから入ってる人が多いと思うんですけど、そういう人にこそコミックを読んでほしいです!

──韓国の作品って情熱的なキャラクターが多いように思うんですが、『未生』の主人公チャン・グレは情熱を内に秘めたタイプですよね。

チャン・グレは、囲碁のプロを目指していたけど、お父さんが亡くなって家計が苦しくなり、プロ試験にも失敗。挫折を味わって仕方なくサラリーマンになるんです。囲碁の世界では知らなかった仕事上の問題にぶつかるんですが、そこでは囲碁で培った集中力や戦略を発揮して切り抜けていきます。最初はダメ社員で、内向的で物静かなキャラクターでしたが、そんな彼の棋士としての感性や社会人としての成長によって問題を解決してくところに魅力があると思います。

『未生』
『未生』

それに、周りのキャラクターもみんなそれぞれにいろんな悩みがあるので、それも応援したくなるんです。読んでいくうちに、みんなが愛おしくなっちゃう作品なんですよね。

『未生』

──特にお気に入りのシーンやセリフは?

好きなセリフがいくつかあって、キム代理(直属の上司)がチャン・グレに「お前は失敗なんかしてない、失敗っていうのは成功が何なのか言えないとだめだと思う」と言うんです。何かひとつ成し遂げたとき、その人は人生でたくさんある扉をひとつ開けただけにすぎない。死ぬまで扉が次々続いていくんだよっていう意味なんです。それを聞いたチャン・グレが「負けても気分がいい対局もありますよね。それと同じですか?」と言う。それにすごく共感しました。

『未生』

今、私はこういったお仕事をしながらでも、その時々、そこで終わりじゃない。ひとつずつ扉を開けて「満足した」って思ってもまた扉が現れて、ということを自分の人生でも実感するので、すごくいい上司がいてチャン・グレは幸せだなと思いました。

あと、チャン・グレが大好きなチョ・チフンという棋士の「対局に勝ったところでも負けたところでも別に世界が変わるわけじゃない。されど自分にとっては世界の全てである対局だ。自分だけの世界だ」という言葉もすごく好きです。これを聞いたチャン・グレが「自分だけの仕事、自分だけに任された仕事、自分だけの世界。自分はこの世界で精一杯がんばろう」と思うシーンがあるんです。みんな「自分はこんなところで仕事してていいのかな」「ここに留まっていていいのかな」といったことで悩むと思うんです。でも、人はどこかにその人だけが活かされる場所が絶対あるということを信じて、これからの若い人にその言葉を信じてほしいなと思います。

新入社員や就活中の若い人に読んでほしい作品

──これから就職活動をする人、社会人になったばかりの人へのエールになるような作品ですね。

ぜひ、そういう人たちに読んでほしいですね 。最近は、すぐに会社を辞めちゃう人が多いと聞きます。私も「どうしたら良いところに就職できますか?」「どうやったらYumiさんみたいな仕事ができますか?」と聞かれることがあるんです。どんな仕事でも、最初はわからないことだらけですごく怒られると思います。でも、怒ってくれる人がいるのはすごく幸せなことだし、家に帰って泣いたり「悔しい!」って思ってもいいので、とにかく必死でやってみたら何かが見えてくるよ、そこであきらめないで! って言いたいですね。

でも、やってみてもやってみてもそれでもダメだっていうときは、無理せず新たな自分を模索すればいいと思います。ずっと我慢しろとは言いません。ただ、耐えてがんばった人には見えてくるものがあると思うんです。そこで何かが見えたときに、ここにいるべきなのか、また違う世界へ行くべきなのか判断すればいいと思います。
おこがましいですけど、そんなふうに若い人たちが『未生』で感じられるんじゃないかなと思います。

──Yumiさんも歯科衛生士や裁判所での通訳を経てアナウンサーとして活躍していらっしゃいます。いろんな仕事を経験した中で、『未生』と相通ずるものがありますか?

私はたまたま転職という形ですが、新たな職場で学んだことや苦労したことは『未生』と重なるところがありますね。今は夢だったアナウンサーの仕事に就くことができましたが、これまでの経験が無駄だったとは思いません。

思いがけず、本来自分が目指していたことと違う仕事をやらなきゃいけなくなることや、ひとつの会社に入っていても部署が変わるごとに新しく覚えることは絶対あるので、まずは謙虚に勉強して、苦手でもやってみることが大切です。そういう場面で、すごく達成感のある瞬間があるんです。だから、若い人たちは臆することなく前向きに進んでほしいですね。

この作品に出てくる人たちも、まさか自分がそういう仕事をするとは思っていなかった人ばかりです。就職や異動で「この部署じゃない!」と思った人もいると思いますが、やってみると奥が深いので、踏ん張ってみてほしいです。

日本語版コミックの続刊とドラマ『HOPE』の展開が楽しみ!

──現在コミックは3巻まで発売されていますが、7月25日に4、5巻が発売されます。今後の展開について期待することは?

チャン・グレが着実に自分の居場所を見つけて行きながら力を発揮していく姿を期待しています。派手じゃないんですけど痛快な展開でスカッとさせてほしいですね。

また、この作品は1話ごと冒頭の見開きが第1回応氏杯決勝第5局「ジョウ・エイヘイ対チョ・フンヒョン」の棋譜とその解説になっていて、1話1手ずつ対局が進んでいくというユニークな構成になっているんです。

『未生』

応氏杯は、1988年に応昌期氏が主催して中国で実際に始まった大会です。世界中の高段者を招き、破格の賞金を用意した大会で、特に決勝第5局は「伝説の対局」として語り継がれています。私は囲碁のルールを知らないんですけど、解説を読むと、その場の緊張感が伝わってくるんですよ。ストーリーとは直接関係ないんですが、きっと意味のあるものだと思うので、その対局の行方にも期待しています。

──7月17日からフジテレビでもドラマが始まります。

すごく期待してます! 韓国と日本とでは社会的背景が違うので、もちろん日本版ドラマだけの設定もあると思いますが、原作が素晴らしいので、必ずいい作品になると思います!

今回、チャン・グレにあたる主演の中島裕翔さんはかっこいいですね。チャン・グレは最初とても情けないキャラなので、イケメンくんのダメダメっぷりも観る方は「萌え」ってなるでしょう(笑)。後半そんな彼がどんどん才能を発揮して問題を解決していく爽快感もあると思います。

また、脇を固める人たちがどんな味を出してくれるか楽しみです。 韓国版のドラマでは主人公の上司・オ課長の役を演じたのがイ・ソンミンさんで、彼は共演した若手俳優を成長させることに定評があるんです。今回、オ課長にあたる役を遠藤憲一さんが演じられるので、中島さんとどんな関係を築いてドラマで発信してくれるのか、そこも注目したいですね!

『未生』

インタビュアー/長迫 弘
タウン情報誌・テレビ誌などの編集者を経て現在はフリーライター・編集者。エンタメ・スポーツから社会問題まで幅広いジャンルを手がける。

プレゼント

イム・シワン(ZE:A)主演 韓国ドラマ『ミセン-未生-』DVD-BOX1(12,500円/税別・販売元:エスピーオー)と原作コミックス『未生 ミセン』第1~3巻をセットにしてプレゼントします。
■韓国ドラマ『ミセン-未生-』公式HP

未生 ミセン(1)

著 : ユン テホ
訳 : 古川 綾子
訳 : 金 承福

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