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2026.08.04

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黒猫ルドルフとボス猫イッパイアッテナの物語。不朽の名作児童文学コミカライズ!!

子どもの頃、多くの人が図書室や教科書で目にしたであろう不朽の名作『ルドルフとイッパイアッテナ』。斉藤洋氏の累計100万部を超える伝説的児童文学が、三枝えま先生の作画でコミカライズされました。

小さな黒猫の成長劇は、児童文学でありながら、大人になった今の心にこそ響く物語です。タイトルの『イッパイアッテナ』の意味を知る頃には、これはただの迷子猫の漫画ではなく、社会を生き抜くための知恵の物語であることに気づくでしょう。 街で見かける野良猫の姿が、少し違って見えてくるはずです。

岐阜の家ネコ、東京で野良になる

主人公のルドルフは、飼い主のリエちゃんから、たっぷり愛情を注がれてぬくぬくと育った黒猫です
飼い猫とはいえ、その生活はかなり気まま。家を抜け出し、街を自由に散歩します。しかしときにはイタズラがすぎて、大人を怒らせてしまうことも……。
軽い気持ちでトラックの荷台に飛び乗ったルドルフが目を覚ますと、そこは見たこともない街。ビクビクしながら歩くルドルフは、大きなトラ猫に出会います。
ルドルフをひと目で「よそ者」と見抜いたトラ猫は、どうやらこの界隈を牛耳る存在のよう。
この“イッパイアッテナ”に「どこから来た?」と聞かれても、「おうち」としか答えられないルドルフ。あのとき飛び乗った荷台は長距離トラックのものだったのです。猫にとっては絶望的な距離を移動してしまったことに、ルドルフはまだ気づいていません。
夕飯までに「おうち」に帰るのはとても無理ということも、エサの捕り方も知らないルドルフ。大丈夫なの?

しかし、実はルドルフは大きな幸運に恵まれてもいました。この「イッパイアッテナ」が、ルドルフにとっての最高の「師匠」になっていくのです。

名前の数は人間関係の数

「ルドルフはどこかとてつもなく遠いところから来たのでは?」そう考えたイッパイアッテナはルドルフの面倒を見てくれるように。
ごはんをもらう場所や方法、警戒すべきポイントなど、野良猫として生きるためのスキルを惜しみなく教えてくれます。
食べ物はもらいつつ、嫌な言葉は聞き流すのも生きるテクニック。さらにイッパイアッテナは人間の偏見を「教養がない」と一蹴するのでした。

いつしか2匹は、サバイバル術以外の話もするようになっていました。イッパイアッテナは、魚屋では「デカ」、ある家では「トラ」と、思い思いの名前で呼ばれています。
イッパイアッテナの背中を追うルドルフにも「おチビちゃん」や「クロ」といった名前が増えていきます。それは「おうち」と「おそと」以外の世界ができつつあるという意味でもあるのです。

大切な居場所へ通じる道

いつしか1人で行動できるようになったルドルフに、金物屋の猫・ブッチーが、イッパイアッテナの武勇伝を教えてくれます。その戦い方は、ルドルフの考えとはかけ離れたものでした。
手段を選ばず勝ちに行くのではなく、野良として生きる者の未来まで考え、少しだけ手加減をする。この余裕も、イッパイアッテナの考える「教養」なのでしょう。
温室育ちの家猫だったのに、ケンカの勝ち方の話になると悪びれもせず「目を狙えば?」というルドルフのピュアな効率論とのギャップも楽しいシーンです。
このあと、ブッチーが明かすイッパイアッテナの秘密。それは過酷な野良猫ライフを生き抜くカギでもあり、ルドルフが「おうち」へ帰るための希望にもなりそうです。
ある日突然、強制的に世界がひらけてしまったルドルフが「大人になるための冒険譚」が始まります。それは厳しい道のりかもしれないけれど、「いい師匠に出会えてよかったね」と、思わず頬がゆるみます。

レビュアー

中野亜希

ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。

X(旧twitter):@752019

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