小さな黒猫の成長劇は、児童文学でありながら、大人になった今の心にこそ響く物語です。タイトルの『イッパイアッテナ』の意味を知る頃には、これはただの迷子猫の漫画ではなく、社会を生き抜くための知恵の物語であることに気づくでしょう。 街で見かける野良猫の姿が、少し違って見えてくるはずです。
岐阜の家ネコ、東京で野良になる
しかし、実はルドルフは大きな幸運に恵まれてもいました。この「イッパイアッテナ」が、ルドルフにとっての最高の「師匠」になっていくのです。
名前の数は人間関係の数
ごはんをもらう場所や方法、警戒すべきポイントなど、野良猫として生きるためのスキルを惜しみなく教えてくれます。
いつしか2匹は、サバイバル術以外の話もするようになっていました。イッパイアッテナは、魚屋では「デカ」、ある家では「トラ」と、思い思いの名前で呼ばれています。
大切な居場所へ通じる道
温室育ちの家猫だったのに、ケンカの勝ち方の話になると悪びれもせず「目を狙えば?」というルドルフのピュアな効率論とのギャップも楽しいシーンです。
このあと、ブッチーが明かすイッパイアッテナの秘密。それは過酷な野良猫ライフを生き抜くカギでもあり、ルドルフが「おうち」へ帰るための希望にもなりそうです。
ある日突然、強制的に世界がひらけてしまったルドルフが「大人になるための冒険譚」が始まります。それは厳しい道のりかもしれないけれど、「いい師匠に出会えてよかったね」と、思わず頬がゆるみます。







