禍々しい悪霊をその身に宿した少年が真の目的を隠して除霊師学校へ
そこには、人知れず悪霊と戦う除霊師を育成するための秘密機関「裏東京除霊師学校」が存在していた。
物語は、除霊師を志しながらも自身の才能に限界を感じている少女・南部春穂(なんぶはるほ)が、裏東京校の受験に向かう列車内で、一見、間抜けだがどこか影のあるミステリアスな少年・黒庭想馬(くろにわそうま)と出会うところから幕を開ける。
突如として列車内に凶悪な悪霊が出現し、パニックに陥る中、想馬は常人離れした異形の力を振るい、瞬く間に悪霊を撃退してしまう。
実は想馬は、過去に絶対の禁足地とされる「斑町不知森(まだらまちしらずのもり)」で凄惨な祟りを受け、最悪級の悪霊をその身に宿してしまった特異な存在だった。
危機に陥った時、想馬は自身にかけられたリミッターである「錠」を外し、内に潜む悪霊の力を段階的に解放して敵を退けることができるようだ。
彼らが挑む「裏東京除霊師学校」は「卒業率数%」と噂される、死と隣り合わせの超過酷な訓練カリラュラムが待ち受ける地獄のような学び舎だった。そして列車内の悪霊は、除霊師学校側が仕組んだ不意打ちの「入学試験」だったのだ。
合格した想馬や春穂は、首尾よく「裏東京除霊師学校」に入学。一癖も二癖もある強力な同級生や講師たちと、ときに協力し合い、ときに競い合いながら、超過酷なサバイバル戦に挑んでいく。
「バレたら即処刑」のサスペンス要素が極上のスパイスとなるダークバトルファンタジー
しかし、物語の冒頭から出し惜しみのない圧倒的なテンポ感は、とても新人による作品とは思えない。連載序盤から主人公の力の解放や暴走がド派手に描かれており、読者を飽きさせない構成は見事の一言だ。
主人公の黒庭想馬は、自身がかつて「ルール」を破り凄惨な祟りを受けてしまった経験から「ルールを守る」ことに人並外れたこだわりを持つ少年。普段は大人しくてコミュ症気味で、陽キャで友達作りが得意な南部春穂とは対極の性格だ。
そんな彼が、自らの肉体が禍々しい異形へと変貌していくリスクを負いながらも、圧倒的な暴力で敵をねじ伏せるバトルシーンは、本作の大きな魅力と言えるだろう。
想馬に憑依している最悪級の悪霊の力は、普段は制御されている。強大な敵との戦闘で「第1の錠」「第2の錠」とリミッターを解除し、彼自身の体を異形に変えながら力を解放していくバトルシステムが、本作の最大の鍵となっている。
想馬や春穂たちはもちろん、命がけの演習や試練をくぐり抜ける必要がある。そんななかで想馬には「体内に最悪級の悪霊を宿している」という秘密が周囲にバレたら即終了、というスリリングな設定が常に付きまとう。
ちなみに、本作で千葉県市川市にあるとされている禁足地「斑町不知森」のモデルは、おそらく実際に市川市にある「八幡の薮知らず」であろう。住宅街の中に、孟宗竹林が生い茂る奥行・幅ともに18mほどの雑木林が不自然に残されているもので、その近隣で学生生活を送っていた私自身も、実際に見たことがある(入ったことはない)。伝承の由来としては、神話の時代にまで遡るものも含めていくつか残されており、未だに近隣住民にとっては、入林がタブーとされている地である。いわゆる「聖地巡礼」は決してお勧めしない。








