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2026.03.04

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異世界から東京へ──!? トランク一つで、消えた先生を追う冒険の旅!『MAXTOONAGER』

魔法のトランクと、師が残した手紙を携え、少女は冒険の旅に出た――。星野翼の『MAXTOONAGER』は、魅力的な世界観設定と圧倒的作画で魅せる冒険ファンタジー漫画の快作だ。
SFでもファンタジーでも、異世界を描く作品ではビジュアルの構築力が出来を左右するが、この作品は1話目からパワフルな描写で読者を圧倒する。まるで脳内に魚眼から超望遠まで各種レンズが標準装備されているかのようなダイナミックな構図と空間把握力、ブーツの裏まで頭に入っている立体的造形力とそれを駆使した動作設計のイキの良さが、見ていてなんとも楽しい。
ブルーローズ学園の生徒だった少女マックスは、大好きな“先生”が姿を消した理由を追い求めて、世界間列車「ソラリス」に乗り込む。持ち物は“先生”に託されたトランク一つと、短いメッセージだけが記された一通の手紙。境界の向こうにある最終目的地・東京を目指して海上をひた走る列車のなかで、マックスは「ヤタガラス」と呼ばれる鉄道保安官のレナンカフと出会う。そのとき、空から翼をもった怪物・エピゴンが襲来! パニックに陥る車内でレナンカフは決死の戦いを繰り広げるが、彼は怪物の狙いがマックスのトランクであることに気づく。そのトランクは想像を絶する力を秘めていた……。第1話から物語は最高スピードで走りだし、読者を観たこともない世界へと連れていく。
旅と魔法というロマンいっぱいの導入部と、どんな色にも染め上げられそうな主人公マックスの純真なキャラクターに、今後のストーリー展開への期待も高まる。そして、疑り深さと騎士道精神を兼ね備えたような旅の仲間(またはサイドキック)のレナンカフとともに、壮大な冒険物語が幕を開ける。第1巻の時点ではまだ先読みできないところも多いが、そのミステリアスな仕掛けの数々も作品を魅力的にしている。

第1巻の魅力はなんといってもアクション。先述のように、作者のイマジネーションと脳内レンズの合致が大いに躍動感と迫力を生み出している。鉄道保安官レナンカフのダイナミックな立ち回りは、映像化のあかつきにはアニメーターの作画意欲にも火を点けそうな見応えだ。
さらに、海上をひた走る列車内という逃げ場のないシチュエーションに、四次元ポケット的性質を有する魔法のトランクという反則スレスレのアイテムを投入。疾走する密室から無限空間へと移行する、まさしく魔術的な活劇展開を見事に作り出している。
主人公マックスの可憐で、どこかボーイッシュな佇(たたず)まいも魅力的。彼女の成長ドラマとしての可能性も大いに期待させる。年上の異性を翻弄しそうなムードも十二分にあり、今後のレナンカフとの関係性からも目が離せない。冒険ファンタジー漫画の醍醐味を知り尽くしたような作者の語り口と画力に、大いに期待を抱かせる一作だ。

レビュアー

岡本敦史

ライター、ときどき編集。1980年東京都生まれ。雑誌や書籍のほか、映画のパンフレット、映像ソフトのブックレットなどにも多数参加。電車とバスが好き。

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