その漫画が奏でる音はどんな音だ?
と、物語の冒頭部分を説明したけれど、「今、バンド始めるってこんな感じなの?」ってところに衝撃を受けた。
「当方ボーカル。ギター、ベース、ドラムを探しています。ニルヴァーナみたいなロックをやりたいです!」って雑誌にバンドメンバー募集するんじゃないの?
目標は、メジャーデビューじゃないの?
ゴリゴリのロックをやっているのに、プロデューサーから「お化粧しろ」とか「君、顔がいいから今日からボーカル」とか指示されちゃうんじゃないの?
違う!
DTM、Sound Cloud、SNSに即売会、そして目指すはフェスのヘッドライナー。
CDから音楽配信、テレビからYouTubeというメディアの変化は、バンドのスタート地点と目標までも変えてしまったのだな……と、『To-y』『NANA』『BECK』を読み、『けいおん』以降を素通りした層は、感慨深くなってしまう。
いや、バンド漫画で大切なのはそこじゃないのだ。ギターをギャギャギャーン、ベースをディンッディンッ、バスドラのドッドン!と鳴らしたときの感じ。繰り返される新鮮な初期衝動。それらが音のでない紙から飛び出してくるか? いや、音の出ない紙から音が出てこそバンド漫画なのだ。例えば楽器選び。
魅力的に過ぎる絵
というか、作者は間違いなく「女の子が楽器を弾いているところをカッコよく描きたい! (とりわけ女子高生を)」という衝動から漫画を描いている気がする。楽器を体のどの位置において、指でどのコードを押さえさせるか。そういう美学をビンビンに感じるのだ。作者のまつだひかり氏は、漫画家、イラストレーターであると同時に、自主制作アニメーションを手掛け、バンドでボーカルとギターを担当するという多才な人で、楽器メーカーやミュージシャンとの親交も……と聞くと、それも納得である。そして、4人で曲を合わせはじめる。
ラブストーリーが似合いそうな、ふわっとした女性キャラクターが、ビートを刻み、ギターを掻き毟る。その不似合いの溝を一瞬にして埋めてしまう、バンドの楽しさ、音の喜びに溢れたこの見開き。これを見て、『あさやけリフレイン』はバンド漫画の王道、ど真ん中を行こうとしているのだなと確信した。
そして物語は、ミュージシャンだったリクの父(そして、shinが憧れたミュージシャンでもある)のことや、なぜリクがASAYAKE ROCK FESTIVALにこだわるのか? といった伏線を張りつつ、ASAYAKE ROCK FESTIVALの新人枠でオーディションを受けようという流れに……、って早いな! 「オーディションの前に、早くバンド名を決めろ!」とツッコミつつ、「2巻のチェックはマストだな」と思った。








