体にだって決める権利がある!
きっつー。いやマジ、死ぬね。もし、自分の暗黒の20代(思い出したくもない)に、この漫画を読んでいたら「あの◯◯さん(実在)が、アレを持ってナニをして……」てな想像をしてしまい、壁に頭を打ち付けていたに違いない。
でも今の私は死なない。「大人になるって、こういうことだな」と思う。
舞台は尼崎の銭湯。在宅SEの和樹は、銭湯の娘で幼なじみの真結に6年ぶりに会う。彼女とは、幼い頃に一緒に風呂に入った仲。
そして……、初恋の人!
そして、そして……、ずっとずっと好きな人!
しかし、彼女が上京して20歳になった頃、あっさり彼氏ができ、告白もしないままに失恋。その彼氏は和樹のメッセージをブロックさせるような束縛男だったが、1年前に同棲を解消。真結は尼崎に帰ってきたのだ。和樹は当然、ワンチャンあるかもと考える。勇気を出して映画に誘うと、風呂場の掃除をしていた真結が服を脱ぎ……

「俺のこと好きなの?」
「好きだよ」
初めて会ってから20年。やっと片思いが叶った!
「じゃあ、付き合う?」


和樹は「両思いなら体の相性とか関係なくない?」と抵抗してみるのだが……。
「だって人間 心だけで生きてないじゃん 体にだって決める権利あるよ」
撃沈! ここで和樹はこう思う。

それからしばらく「セックスが合うとは?」とGoogle先生に問いかける日々を過ごす和樹は、見知らぬ男とラブホから出てくる真結を見かける。彼女曰く
「好きとは言ったけど 待つとは言ってないじゃん」
「セックスの約束なしにする?」
「他の男とセックスした女は嫌?」(その論法、マジ鬼畜!)
ここで和樹は歯を食いしばり、ギリギリのところで前向きになる。合うセックスとはどういうものなのか、真結に問うのだ。しかし、彼女は答えられない。

それはさておき、ワンチャンのセックスに失敗できない和樹は、合うセックスとはなにか知るために、彼氏と別れてから1年間どんなセックスをしてきたか、真結にヒアリングするのだ。


その体験談は確実にボディーを撃ち抜く!

真結の体験談 その1「傾向と対策ができたセックス」
相手はマッチングアプリで会った有村孝太郎氏(29歳・塾講師)。彼は真結の「きもちのいいセックスに正解はありますか?」という問いに「ある」と答える。基礎として体の構造を知り、様々な体験談を応用として学び、実践する。その道を極めた彼は、実践経験3桁超えを果たした剛の者。確かに、彼のセックスは気持ちいい(ぐはぁ!)。全部気持ちいい(ぐはっぐはぁ!)けど、なにかが足りない。これが正解なのか、真結にはわからない。なぜなら真結の中に、正解がないから! なにかって、なに?
真結の体験談 その2「パワーセックス」
次なる相手もマッチングアプリで会った飯田俊平(32歳・整体師)。「まじめな絶倫」を自称する彼は、体を鍛え上げたマッチョマン。「健全なるセックスは健全な体から」という彼の言葉に感化された真結は、長時間セックスに耐えるべく1ヵ月にわたる体づくりを行って場に臨んだ! しんどいけど、めちゃくちゃ楽しい!(うあああぁ) しかし、なにかが違う。なにかって、なに?
そんな真結の話を聞いて、慰めてあげる和樹。

そんな和樹のホカホカ湯温の釜茹(かまゆ)で地獄めぐりは、元彼の出現によってさらに激烈さを増していくのだが……、意外にこの「合うセックス」というテーマは奥が深い。実は私もあなたも、真結と同じように正解を持ち合わせていないのではないか? 正直、私は自信がない。そのうえ和樹は、ほぼ童貞(かどうかはわからないが)のハンデ持ち。ちゃんとたどり着くべきところに行けるのか……。乞うご期待。