好きな子のセックスを見た
『だれでも抱けるキミが好き』の続きを熱心に待っている人は無数にいると思う。私もそのうちの一人だ。最後までついていこうと決めた。
「期待通り」と「予想外」がどっちも出力最大なのだ。ドロドロにエロくて、勢いがあって、痛いくらいウブなマンガ。すごいよ。
まず『だれでも抱けるキミが好き』って題名が完璧で、歯切れのいいタイトルそのままにストーリがあれよあれよと進み、あっという間にとんでもないことになる。
「だれでも抱けるキミ」ことヒロインの“アガワさん”には数十人のセフレがいる。このセフレたちは「ヤろうぜ~」と朝っぱらからアガワさん目指して教室に押し寄せてくる。
周囲の目なんておかまいなし。LINEもセフレからの連絡でびっしり。セフレたちはエサを食う動物のようで、「おーよしよし」と彼らをさばくアガワさんは牧場主に見える。
そんな文字通り「おかまいなし」のセックス事情を主人公の“ゴトーくん”は目撃してしまう。
ハードな放課後だ。ギンギンに見ちゃうよね。
ちなみに、本作はヒロインのほくろの描写が非常に良い。目元のホクロもかわいいし、カラダのいろんなところに隠されたそれを「ああ、こんなところにもある」と見つけて愛おしむのが楽しい(私はアガワさんの右そけい部のほくろが好きです)。
彼氏持ちなら諦めるしかないけど
ここで本作の「期待通り」なことをいくつか紹介しよう。
その1、アガワさんのセックスをガッツリ見ていたゴトーくんは内気で奥手な童貞だ。
その2、内気で奥手な童貞は陽気なギャルにコロッと惚れやすい。
その3、ギャルのスカートは限界に近いレベルで短く、パンツが見えまくり(このあと正面からも見える)。スキンシップも妙に多い!
その4、アガワさんはしっかり者で家族思いなギャル。そして極めつきは、ゴトーくんの青い童貞脳がやがて「もしかしてアガワさんも俺のこと好きなんじゃ……?」と期待する点だ。揃ってる。
ところがゴトーくんの淡い恋心を吹っ飛ばす勢いでアガワさんはセックスをしていた。彼氏かな、そりゃいるよね……なんて落ち込んでいたら、なんと相手はセフレ。しかもアガワさんのセフレ総数は1や2どころじゃないことを、ゴトーくんの友人“大野”が教えてくれる。
ゴトーくんが陰の童貞ならば、大野は陽の童貞だろうか。ポジティブシンキング。好きな子のセフレ事情を知って思わず立ち上がったゴトーくんは……?
本作のコアはこれだ。俺はエロいところに惚れたわけじゃない、他の男みたいに性欲でアガワさんを見ているわけじゃない。100回くらいそう念じても、たった1回セックスを想像するだけで爆発しそう。
酷な恋だな~……と思ったら、なんとゴトーくんにも「その機会」が巡ってきて……?
まるでボウリングに誘うように言ってくるね。どうするの?
童貞じゃなくなっちゃうね
セックスの誘いを受けたあとのゴトーくんの煩悶(はんもん)と予想外のアクションが凄まじい。全部引用したいくらい好きだが、あえて伏せておく。読んで泣いて笑ってほしい。
で、大波乱の果てに……、
なんと交渉成立(波風が立っていたのは主にゴトーくん側のあれこれだが)。アガワさんの曇りなき笑顔とゴトーくんの虚無みたいな笑顔のコントラストが痛い。
急に降ってきた「好きな子とのセックス」を前に、ゴトーくんのアタマとカラダはぐちゃぐちゃ。
好きだからこそ、本当にヤってもいいの? 悩める仔羊。
大野の指摘はゴトーくんに深く刺さる。
そしてアガワさんは泣けてくるほどエロくて魅力的。
ひたすら業が深く繊細なマンガだ。そしてめっちゃくちゃエロい。後ろめたさと欲望と恋い慕う気持ちが混ざると、こんなにエロくなるものなのかと感動する。
ゴトーくんの悩みをよそに、アガワさんとの「約束の日」はやってくる。アガワさんの赤裸々なセフレ事情や、男たちのちょっと情けない姿なんかをイヤってほど目にしながら、ゴトーくんは遂にラブホの部屋の前に。
ゴトーくんよ、どうするのだ。ラブホに入ったあとの展開に人前で読むのがはばかられるくらい興奮して、胸がざらざら痛んだ。どちらもゴトーくんの恋心によるもので私の予想を見事にオーバーしていた。最高。
レビュアー
ライター・コラムニスト。主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」などで執筆。
twitter:@LidoHanamori