2015年12月12日(土)、日比谷公会堂にて行われたアニメ「昭和元禄 落語心中」放送開始記念イベント。キャスト陣による作品に対する各々の思い、オーディション時の驚きのエピソードなど、発売したばかりの公式ガイドブックとともにお届けします。
出演:<左から> 関智一(与太郎役)、小林ゆう(小夏役)、石田彰(有楽亭八雲役)、山寺宏一(助六役)、林原めぐみ(みよ吉役)
MC:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
2016年1月8日よりMBS、TBS、CBC、BS-TBS“アニメイズム”枠にて放送開始。初回放送は1時間拡大スペシャル!
オーディションは「落語」で!?
MC:「昭和元禄 落語心中」は落語の細かい描写まで表現されている作品です。例えば噺家が座布団の上で演技するとき、立て膝で伸び上がるじゃないですか。そのときの足袋のひきつった感じなんかは落語やっている人でないとわからないような細かさなんです。そんな作品に出演するに当たって、プレッシャーなどがあったのではないでしょうか。関さんは与太郎そのまんまな人ですが。
関:そうですね。刑務所には入っていませんが(笑)。与太郎が刑務所で落語を聞いて落語家になるエピソードは気持ちがいいですね。
MC:関さんも人前で落語を噺されるのですよね。
関:これまで2回ほど。立川志ら乃師匠に弟子入りして「親子酒」を稽古していただいて。もともと落語に詳しかったわけではないのですが、志ら乃師匠とトークショーをご一緒した際に「やる」と言ったら後戻りできなくなってしまって……。他のキャストさんは詳しい方ばかりです。
山寺:噺家陣の中では関さんだけオーディションしてませんからね。
MC:オーディションは大変だったとか。
石田:ふつうのオーディションは台詞が用意されているのに、今回は事前に落語を一席渡されて3分間演じるという珍しいパターンでした。
山寺:僕は学生時代に落語研究会だったので、受かって断ってやろうと考えていました。「死神」と「野ざらし」を演じて助六役で受かりました。結果、喜んで出演していますが。完全に乗せられてしまいましたね(笑)
小林:私も「死神」をやりました。三遊亭圓生師匠の型でやらせていただいて……、情熱で受かりました!
それぞれの役柄について……
MC:小林さんは子どもの頃の小夏そのまんまみたいな人ですよね。
小林:小夏は本当にいい子で。落語も愛しているし、元々は素直な子なんです。
石田:かわいい子なんですが、八雲に対する憎しみで大きくなってしまった。八雲は小夏を単純に好きで預かっていたわけではなく、自分の落語にだけ向き合っていられたらいいという、孤独な人なんですね。しかも常に葛藤していて。
MC:お年寄りの役を演じるのは初めてなのでは?
石田:よくあるアニメっぽいおじいちゃんが許される役ではないので、反応が気になります。
山寺:石田さんは前座時代の未熟さと、名人になってからの上手さを演じ分けているのがすごい!
石田:演出の力もあると思います。従来の落語家の描写は正面からしかなかったと思うのですが、横から後ろから、客席などさまざまなカット割りをしていたり、BGMも絶妙で不安感を煽ったり臨場感あふれる効果が使われています。
MC:落語のシーンはずっと見ていたいですね。
山寺:プレッシャーもありますがやりがいのある台詞が多いです。助六は威勢のいい噺家なので、言葉数の多い古今亭志ん朝師匠の音源をたくさん聞いて役に臨みました。
噺家たちを翻弄!?「みよ吉」という女性について
MC:本日放映した1話、2話には出てきませんが、この中では唯一落語が嫌いな人物です。
林原:そうですね。「落語なんか嫌いよ」(笑)。それなのに落語に励んでいる男性ふたりの間をフラフラと。何か企んでいそうな、私にはない“女”の表情を引っ張りだすのに苦労しました。
小林:だまされたいです。
石田:アフレコ中、逆らえませんでしたよね。
林原:私の両隣に石田さん、山寺さんにいてもらって。幸せなアフレコでしたよ(笑)。
MC:林原さんは主題歌(椎名林檎さんプロデュース:「薄ら氷心中」)も担当されていますよね。みよ吉の心情を表した楽曲とのことですが?
林原:落語心中の“心中”部分をクローズアップして作り込まれた楽曲です。この時代の人間ドラマや女の情念を、椎名さんのディレクションによって“引き算”の歌い方で表現しています。
MC:“引き算”であることが逆に核心に迫ってきますよね。
オンエアを楽しみにしている視聴者へメッセージを!
林原:アフレコは春に終わっていて、最初はどうなることかと思っていましたけれど、キャストやスタッフのみなさんの力強さが結集した情熱的な作品です。最後まで心中するつもりで観てください。
山寺:大学の落語研究会で演じることを始めたので、この作品に出会えたことが嬉しいです。声優人生かけた作品です。ぜひご覧ください。
石田:制作、プロモーション含め、関わっている人の熱量が高い作品です。早い時期から盛り上げて期待されてきました。僕らが浮かされている熱をオンエアで感じ取ってください。
小林:すばらしい役者が出演していることに対して私は視聴者のみなさんと同じ気持ちです。小夏という役を利用して、出演しないアフレコも見学させていただきました(笑)。作品を見て、落語に興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです。おあとがよろしいようで(笑)。
関:僕にとっては以前はTVの中継などでしか見ることのなかった落語ですが、巡り会わせで与太郎という役をやらせていただくことになりました。志ら乃師匠の弟子になったこともありますが、「昭和元禄 落語心中」に出会って歴代の名人の落語を能動的に見るようになりました。出会ったのが運のツキですので、最後までご覧いただければと思います。