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2024.12.13

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連続殺人鬼に“殺されに行く”第六感女子×一匹オオカミ刑事のバディサスペンス!!

復讐に燃える少女&ハグレ警察官の共闘による復讐劇

警察すら把握していない殺人犯を見つけ出して通報。
すでに3人の連続殺人犯(シリアルキラー)を逮捕に至らしめた正体不明の人物。
刑事課内で「謎の通報者」と呼ばれているその人は、駅前でティッシュ配りをしている少女だった。

少女の名は、黒井ヒナタ。
婚約者をシリアルキラーに殺され、犯人を見つけ出すべく奮闘していた生活安全課の巡査部長・磯貝史郎は、現場に共通して落ちていたポケットティッシュから、ヒナタに辿り着く。

ヒナタはどうやって、何気ない顔で街中に紛れ込んでいるシリアルキラーを選別しているのか。
手に触れると、その人が殺してきた人の数が血痕となり、顔に浮かぶ。
ヒナタはそんな特殊能力を生かし、自身の姉を殺したシリアルキラーを見つけ出すために、ティッシュ配りで多くの人の手を握っていたのだった。
その能力については、ヒナタ以外の登場人物はまだ誰も、把握していない。

ヒナタに出会い、彼女の目的を知った史郎は、一つの取り引きを持ちかける。
ターゲットのシリアルキラーを効率よく見つけ出すために、史郎はヒナタに警察内部の行方不明者情報を提供する。ヒナタはその提供情報を手掛かりにし、史郎と協力して「次のシリアルキラー探し」を実行する。

史郎はヒナタを利用し、ヒナタも史郎を利用する。
どちらも「大切な人を殺したシリアルキラーを見つけ出し、報復するため」。
復讐に燃える少女とハグレ警察官の共闘による復讐劇が、ここに幕を開ける。

実写による映像化、待ったなし!? 異色の「バティもの」

令和5年のデータによると、東京都の行方不明者の数は男性が5万7,410人、女性が3万2,734人。実に年間9万人以上に捜索願が出されている。捜索願が出されないケースも少なくないだろうし、実際にはそれ以上の人たちが行方不明になっているはずだ。
なかには本作のように、何気ない顔で街中に潜む殺人鬼の犠牲になった人たちもいるだろう。

水槽で人をホルマリン漬けする熱帯魚屋。
人を生きたまま石膏像に固め、犠牲者の恐怖の表情を楽しむ、盲人を装った変質者。
レズビアンのハッテン場で、母親と同じ特徴を持つ女性を狙う美女。

本作で登場したシリアルキラーたちは、誰もがターゲット選別に偏執的なこだわりを持ち、殺し方も特殊な人たちばかり。言葉を選ばずに言えば「絵になる殺し方」に拘った変質的な殺人鬼が、次々と登場している。

主人公の二人はヒナタの特殊な能力と、史郎の警察官としての捜査能力を駆使して特殊な殺人鬼たちに次々と近づき、ジワジワと追い詰めていく。
ヒナタは自らをオトリとして犯人に近づく手法を取っているため、ケースごとにさまざまな危機に陥り、自らの機転や史郎の助けを借りてその危機から脱出する。
この作品を読んでの第一の感想が「実写ドラマにしたら面白そう」。

●若い男女のバディ
●ハグレ刑事(本作では警察官だが)と外部の女性のコンビ
●仲良しではない二人が共通の目的のために共闘体制を取る
●インパクト抜群の犯人たち
●必ずしも「社会正義のため」ではないが共感できる目的と、それに向けた二人の執念
●作品の性質上、ほとんどの場面でシリアスになりがちだが、主人公二人のシーンでクスッと笑えるコミカルなやりとりもある
ヒットしたバディものの刑事ドラマ(正確には本作の史郎は刑事ではないが)の多くで見られる魅力的な要素が、この作品にもしっかり詰まっているように思えた。
今は地上波だけでなく配信による実写ドラマ化も多いので、決して非現実的な話ではないはずだ。この想像が当たることを祈って、楽しみに待ちたいと思う。

レビュアー

奥津圭介

編集者/ライター。1975年生まれ。一橋大学法学部卒。某損害保険会社勤務を経て、フリーランス・ライターとして独立。ビジネス書、実用書から野球関連の単行本、マンガ・映画の公式ガイドなどを中心に編集・執筆。著書に『中間管理録トネガワの悪魔的人生相談』『マンガでわかるビジネス統計超入門』(講談社刊)。

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