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読むと勉強がしたくなる! 参考書オタク×サブカル女子のお仕事コメディ

ガクサン(1)
(著:佐原 実波)
2022.04.16
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学生時代、どんな基準で参考書を選んでいたのかというと、売れている数冊の中から、なんとなくフィーリングで……でした。参考書の選び方なんて、誰も教えてくれなかったし。
ところが、『ガクサン』を読んで驚きました。
参考書選びにこんな秘訣があったとは!!

茅野(かやの)うるしは、神保町にある学習参考書の中堅出版社「いぶき社」に中途採用で転がり込んだ26歳。
入社早々、営業部員の代わりに書店で参考書を売ることになったのですが、一緒に売り場に立った先輩が、とんでもない人だったのです!!

コミュ力はゼロなのに、参考書のことになると途端に目の色が変わる“参考書オタク”の福山。


さすが、「歩く資料室」と言いたいところですが、勝手に人の心を読んで口に出すなんてウザすぎる!!
しかも、うるしが配属された「お客様ご相談係」は、倉庫のような部屋で福山と2人きり。
どうやら福山は、“やらかして”編集部から異動して来たらしく、社内の「お客様ご相談係」に対する風当たりも強いのです。

憧れの職場は不要な業務ばかりだし、ガミガミ怒るくせに「マニュアルを見ろ」としか言わないこんな先輩がいたら、誰でも「辞めたい」と思うのは当たり前です。

しかし、そんな気持ちが思わぬ失言につながり、福山から「週明けから来なくて構わん」と冷たく言われてしまううるし。

月曜までの「どよよ~ん」とした重苦しさ、わかるなぁ。
しかし、「どうせクビになるなら……」と吹っ切れたうるしが導き出した答えは、「お客様ご相談係」独自で発信するTwitterでした。

福山と同期の爽やかイケメン・山崎のバックアップもあって、Twitterの投稿がバズり、読者からも相談が寄せられます。

ところが今度は、福山の“地雷”を踏んでしまううるし。
「参考書だけで難関大学に合格できるか」という読者の相談に、「できるわけないですよね!!」と言ってしまったからでした。
実は福山は、参考書だけで一橋大学に入ったことを山崎から聞かされます。

いつもぶっきらぼうで謎めいている福山ですが、なぜか憎めないキャラなのは、こうした「教育格差」をはねのけた芯の強さがあるからかもしれません。

なんとか福山から、参考書独学法を聞き出すことに成功するうるし。
その福山の話は、勉強に役立ちそうな実践的なもので、へぇ~、なるほど~と思いながら読んでいたのですが、それはつまりこの本の著者である佐原実波(さはらみは)先生の取材力でもあります。

また、志望校別に過去問題が載っている通称「赤本」など、実在する参考書の名前が出版社の垣根を超えて色々と出て来るのも面白い!!
つまり『ガクサン』には、受験生に必要な情報がいっぱい詰め込まれているということです!!

正直もっと早くに、それこそ私が高校生の時にこの漫画に出会えていたら、私の成績も良かったかもしれない……と思ってしまいました。

自分が本当に好きなもの、夢中になれるものを模索中のうるしは、マイペースな“参考書オタク”の福山と出会ったことで、少しずつ変わっていきそうな予感がします。
そこに、福山の同期でうるしのよき先輩である山崎が加わることで、どんな展開になるのか、次は何の参考書の話が出てくるのか、これからが益々楽しみです。

  • 電子あり
『ガクサン(1)』書影
著:佐原 実波

参考書出版社に中途入社した茅野うるし。
そこで出会ったのはクセが強すぎる参考書オタク・福山だった。
立ち読みしてばかりだったり、お客さんの中学生を泣かせたり……社会人としてはヤバすぎる福山だったが、参考書の詳しさは尋常じゃないようで……?
参考書オタク男×サブカルミーハー女、凸凹(でこぼこ)お仕事コメディ!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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