弱小野球部の甲子園優勝を請負うのは、超エリートの美人コンサルタント!! と聞いたとき、そんな手があったのかぁ!!と思いました。
野球マンガは色々あれど、今までにない異色の組み合わせが斬新なこの作品は、とにかく主人公が魅力的で出だしから絶好調です!!
東大卒で英語もペラペラ、外資系コンサルに勤める工藤小夜子(くどうさよこ)。彼女に来た依頼は、生徒数減少で業績が悪化した私立誠花(せいか)高校の立て直しでした。
ところが理事長たちは、部外者で24歳の女性というだけで聞く耳すら持ちません。
そこで「3日でご納得いく資料を用意いたします」とぶちかまし、再び会議に臨んだ小夜子ですが……、
「男子生徒を増やすために甲子園で優勝」というプランに提示した3年間のコンサル料は、なんと8億2千万円!!
当然この話は白紙となるのですが、野球部が寮生活をしていると聞いた小夜子は……、
小夜子のこのギャップが堪らない!!
絶対に甲子園に連れていく!と監督に名乗りをあげた小夜子が注目したのは、キャプテンで生徒会長、「黒髪短髪、痩身知的眼鏡、漫画のような完璧な属性の持ち主」の土屋大我(つちやたいが)。
ど素人に監督がつとまるわけがないと猛反対する土屋に小夜子は、「あなたの不満原因を1つ解決する」「1週間で約束を果たせなければ出ていく」と約束します。
小夜子がカッコイイのは、いつも進退を賭けて強気な勝負に出るところ!!
理事長にプレゼンをしたときも、
結果を出せなければ
UP or OUT(アップ・オア・アウト)
つまり、「昇進するかクビになるか」とギリギリの提案をしたのです。
さらに、「甲子園なんて叶わない夢だ」と最初からあきらめムードの部員たちに言い放った言葉も、これまたシビレる!!
「夢」というのは叶え方があるんです
それを知らないまま大人になってしまう人もいるけれど
私は君たちに夢は叶うと知っている大人になって欲しい
その夢への第1歩として小夜子が提案したのは、1週間後の練習試合でした。
対戦相手は、前回の地区大会でコールドで負けた風谷高校。
一体、どんな方法で彼等を導くのかと思えば……、
的確な状況判断で分析力は鋭いのに、それに付随する行動は……、いやいや逆か!?
行動はウザく、無駄な色気を振りまきつつも、頭脳は常に冷静沈着。
どちらも本当の姿だと思いますが、時には敏腕コンサルらしく、こんなことも言うのです。
この「Pros and Cons(プロウス・アンド・カンズ)思考法」、私は初耳だったのですが、コンサルや外資系企業では普通に使われている言葉だと知り、急に物知りになった気分!! どっかで使ってやろ(笑)。
こうした実生活でも為になる話が出て来る、一石二鳥のマンガ『コンサルナイン~小夜子の逆転プロデュース~』。
ものすごいギャップを見せつつも、コンサルらしい解決方法で部員たちを動かしてしまう彼女って、一体何者!?と思いつつ、常識に囚われない工藤小夜子のコンサルティング能力が、この先どう発揮されていくのか、ますます楽しみです。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp