今日のおすすめ

歌舞伎町NO.1カリスマホストのワンオペ育児! 相手の感情を読み取るプロvs.モン スター0歳児

キッズファイヤー・ドットコム(1)
(原作:海猫沢 めろん 漫画:川口 幸範)
2019.08.03
  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます

昔、一度だけホストクラブに連れて行かれたことがあります。そのときの印象が最悪だったせいか、ホストに対して必要以上に厳しい目を向けてしまう自分がいます。特にナルシスト発言を聞く度にこう思います。よくまぁ、そんな小っ恥ずかしいこと言えるわ! こっちが赤面するわ!

歌舞伎町のホストクラブ「BLUE・BLOOD(ブルー・ブラッド)」2代目店長、白鳥神威(しらとりかむい)は、世界一美しいイケメンサイボーグと呼ばれるだけでなく、とんでもない自画自賛型ナルシスト。
歌舞伎町を歩くだけで人々の目を奪ってしまうので、「俺に見とれている間、相手の時間を拘束している。夢の世界への監禁罪に問われないだろうか」と悩みます。
それだけでなく、「このオーラ、流石に病気かと思って病院に行ってみたら、女医と看護師が全員、俺に見とれて病院が機能しなくなって出禁にされちゃったよ」って、自分で言う?

しかも、カリスマホストにありがちな格言も、神威は大好きです。



な~に言ってんだか、プププと笑いたいところですが、ついついネガティブなことを考えてしまう私は、この言葉に素直に頷いてしまいました。
あれっ、私もカリスマホストの術中にハマり始めてる?

そんな完璧な神威も、1人になるとちょっと様子が変わります。
例えば、後輩へのコメントを思い出しては、「ちょっと泥臭くてファンタジーが足りない」と自分にダメ出しをするのです。なんとも可愛いいカリスマ。
前半は、こんな感じで神威の魅力が溢れているのですが、さらに面白くなるのは赤ちゃんが登場してから。

カリスマホストの部屋の前に置き去りにされたベビーカー。このいかにも!な設定に、「若気の至りで、遊びが過ぎた独身男子の子育て奮闘記」という、ひと昔前に流行った設定を想像しがちですが、ちょっと違うのです。
神威は、自分の子ではないと知りつつも、何かよほどの事情があるのだろうと暫くの間、赤ちゃんを育てることを決意します。
         


前半のナルシーな神威とのギャップに、思わず笑いが込み上げました。
しかも神威は赤ちゃんにスーツを着せ、一緒にホストクラブに出勤するのです。
       


運悪く、この日やって来た瀬理奈は、大金を落としてくれる太客ではあるものの、「痛客四天王」と呼ばれる問題ありのシングルマザー。赤ん坊は、見るのも話すのもNGオブNG。そこで瀬理奈は、あることがきっかけで大暴れします。

普通なら瀬理奈は、つまみ出されるか警察に突き出されても仕方ないのですが、神威とホスト達は高度なコミュニケーション能力と連携プレイで、鮮やかに解決します。それもひとえに、瀬理奈が後悔や寂しさを抱かないようにという思いやりから。

実は前半にも、そんなシーンがありました。酒に酔って暴れる男性客を警察に通報しなかっただけでなく、罪悪感も与えないよう対処したのですから、神威達はとんでもない接客スキルを持った神ホストなのです。

初代店長の男爵を始め、出てくるホスト達がそれぞれ個性的で面白キャラなので、とにかく見ていて飽きません。

原作は元ホストの小説家、猫梅沢めろん氏の同名小説。漫画も元ホストの川口幸範氏というホスト界を知り尽くした2人がタッグを組んでいるので、単なる上辺だけの話ではなく、その奥にある世界感も滲み出てくるのでしょう。
こんなホストクラブだったら行ってみたい!!

次回は、神威をはじめとするホスト達のやり取りと、赤ちゃんホストの活躍を見てみたいと思います。

特設ページはこちら⇒ https://yanmaga.jp/c/kidsfire/

  • 電子あり
『キッズファイヤー・ドットコム(1)』書影
原作:海猫沢 めろん 漫画:川口 幸範

新宿歌舞伎町「BLUE†BLOOD」2代目店長・白鳥神威は自他ともに認める歌舞伎町NO.1カリスマホスト。 ある日、神威が家に帰ると、家の前に知らない赤ちゃんが――! ナルシストで超ポジティブなカリスマホストによるハラハラドキドキ歌舞伎町ワンオペ育児!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます