PICK UP

2026.07.04

レビュー

New

キューアグなクール男子×筋肉フェチ女子のちぐはぐラブコメ『見られちゃいけない海虎くん』

友情! 根性! 筋肉! そして恋!

恋をすると、ギャップをほんのちょっとでも見つけたら「かわいい!」となるのに、『見られちゃいけない海虎くん』の“海虎くん”のギャップはものすごいですよ。ひとりの人間が抱えられる印象の振れ幅を限界突破していて超かわいい。

普段のみんなが知っている海虎くんはこんな感じ。
見てくださいこの筋肉美。海虎くんは水泳強豪校のエースで、水泳ピラミッドの頂点に向かって肉体も技術もメキメキ成長中の高校1年生。1年の時点で実力も風格も仕上がりまくっているのにまだまだ強くなりそうで恐ろしい! で、この意志と才能の結晶のような見た目通り、ストイックで周囲に圧をかけまくりのタイプ。

そんな海虎くんがヒロイン“山杉汐音”に見せる姿は……、
一体どうしてそんな泣きそうな顔に?

汐音は「海虎くんのこと、私が絶対護るよ」と誓い、人知れず彼のピンチを救います。このシーンも危機的状況の海虎くんを背負って階段を一歩一歩進んでいるところ。おんぶされながら赤面&涙目になるのは、一般的にはヒロインの方では……なんてヤボなことを考えるヒマがないくらい、海虎くんと汐音の関係は美しいです。友情もあるし、根性もあるし、もちろん恋心だって感じさせます。感極まって駆け出すヒロインのスカートからスパッツが見えるところも運動部らしくてキュート。

ちなみに汐音も強豪校の生徒なので体力には自信あり。バーベルスクワットを70kg挙げるそうです(筋トレ経験者なら彼女の重量のすごさがわかるはず)。

肌を決して見せない水泳部のエース

水難救助隊になりたくて水泳強豪校の翠凜館高校に入った汐音は、最初の夏を迎え、壁にぶち当たっていました。まず、ここは強豪校だから当然みんな水泳がうまくて、自分の実力不足を痛感しまくることに。

そして汐音にはもうひとつ、彼女ならではの悩みがありました。
幼い頃のとある出来事により筋肉野郎(マッチョメン)が大好きになってしまった汐音にとって、翠凜館高校のプールは天国&地獄。どこを見てもギラギラで、すぐに「はわわ……」となってしまって、もはや練習どころじゃないのです。スローガンの「技は目で見て盗むべし」を実践しようにも盗むどころか逆に平常心を奪われまくり。このままじゃ水難救助隊なんて夢のまた夢……!

だから、汐音には海虎くんがありがたい存在でした。
海虎くんだけは、なぜかいつもラッシュガードで肌を覆っていたからです。彼は汐音にとって筋肉美の刺激が少なくて、「技は目で見て盗むべし」がちょっとできそうな相手。

ちなみに汐音は筋肉に対して「はわわ……」となっていますが、翠凜館高校はイケメン強豪校でもあります。個人的オススメはインターハイ8位の“岩根先輩”!

さて、煩悩と競技者としての悩みでグチャグチャな日々を送る汐音は、あるとき海虎くんの「秘密」を知ってしまうことに。着替え中の海虎くんを偶然目撃した汐音に、海虎くんはこんな顔をして見せます。
いつもの雰囲気とは全然ちがう、この弱り切った顔! 海虎くんは自分の肌を見られるとヘナヘナっと力が入らなくなって、何もできなくなっちゃうんです。筋肉も強いハートも何もかもが機能しない!

この秘密を知るのは汐音だけ。そして肌を見られていなければ、海虎くんはいつものフィジカルもメンタルも強い海虎くん。

だけど汐音は、海虎くんの危機を放っておけなくなります。肌を見られることがとてもイヤな海虎くんの気持ちを大切にして、自分で考えられる限りの方法で、寄り添おうとします。
シャツがぬれてスケスケになったら自分のシャツを与えてみたり、彼の弱みを一方的に知ってしまったから自分の弱みも開示してみたり。唐突に筋肉フェチを大告白するおもしろシーンですが、「フェアじゃないから言うけど」という言葉がとても好きです。そう、すごくフェアであたたかいマンガです。2人は、どっちも弱くてどっちも強い。

「貴様は競技者としては嫌いだ」

いつもは孤高かつ強気の海虎くんが肌の露出で弱体化したら、汐音はすかさず彼の守護者となります。それと同じように、海虎くんは「自分にできること」でお返しを考えます。
はわわタイムか! ……と思ったら全然ちがって、海虎くんは汐音のために自主練メニューを考えてくれました。海虎くんによる汐音の評価は「体力は化け物級なのに技術はクソ」で、でもエースの自分が叩き込めば絶対に伸びると見込んでいます。

つまり本作は汐音の弱さも大切にするマンガです。汐音は、マッチョで「はわわ……」と注意力散漫になるのが弱みですが、強豪校で自信をなくして夢も見失いかけていることも、大きな問題でした。そんな彼女のネガティブな発言に「貴様は競技者としては嫌いだ」とまで言う海虎くん!

「競技者としては嫌い」ってことは、つまり、別の汐音のことはどうなんでしょう?
海虎くんなりのやりかたで、競技者としての汐音を再起動させていきます。

2人で挑んだ県大会は、バスの中から試合中までドキドキすることがいっぱい。お互いが「この人が自分の近くにいてよかった」と思う瞬間がたくさんあります。
1巻の最後のページは、ぜひ直接読んでいだきたいので紹介はここまでにしますが、後ろ姿からも伝わる2人の引き締まったきれいな体と、恋をこれ以上ない純度で表しているような言葉が見事。海虎くんギャップのかわいさと、汐音の青春、どちらも勢いがあって最高です。2巻が楽しみ!

レビュアー

花森リド

ライター・コラムニスト。主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」などで執筆。

X(旧twitter):@LidoHanamori

こちらもおすすめ

おすすめの記事

レビュー

ポジティブむきむきトレーナー×自意識過剰イケメンモデルの筋肉ラブコメ!!

  • エンタメ
  • 花森リド

レビュー

恵体(けいたい)の女の子は好きですか? 筋肉系青春ラブコメ!

  • エンタメ
  • 花森リド

レビュー

理想の神筋肉に、攻められ迫られまくりのバスケ部“ムキムキ”ラブコメ!

  • エンタメ
  • 花森リド

最新情報を受け取る

講談社製品の情報をSNSでも発信中

コミックの最新情報をGET

書籍の最新情報をGET