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会社を選ぶ新基準!? 人が集まる会社、人が逃げ出す会社の違いを見極める
(著:下田 直人)
「求人広告をかけても、人が全然集まらない」という悩みを耳にすることがあります。給与や休日などの条件で見ると決して悪いわけではないのに、すぐに人が辞めていってしまう会社。常に人手不足で会社の空気がギスギスした感じがする。「そんな会社をどうにかしたい、人が集まる会社にしたい」と思ったとき、本書の内容が役に立つかもしれません。
本書では、会社には「温める会社」「冷やす会社」の2種類があると言われています。「温める会社」とは、人の心にダイレクトに訴えかけてきて、プラスの感情を呼び起こさせてくれるような会社。この場合の温める、冷やすとは「人の心」に対してです。
従業員だけではなく、取引先のことも本気で思いやっている態度が感じられる会社が「温める会社」であり、逆に「冷やす会社」とは「人の心が感じられない会社」であるとしています。
取引先や出入りする宅配便などの業者さんに対して横柄な態度が滲み出たり、従業員間での挨拶がなかったり、人の判断基準が「こいつは使えるか使えないか」しかなかったりする。また、何か問題があれば、対外的には損害賠償、対従業員であれば懲戒処分をちらつかせる。顧客に対しても自分たちの利益が優先であり、カネになるかどうかが判断の主要なポイントになっている。
著者は、社会保険労務士として多くの会社と関わっていくなかで、人が集まる会社とは、「残業が少ない」「給料がいい」などの条件よりも、人と人のつながりを重視し、働いている人が人間本来の心(それを儒教では「良心」といいます)に従って行動できる会社だということを発見しました。
社員に対して「どうなりたいか?」を聞いていくと、最終的に返ってくる答えは「幸せになりたい」。では、幸せになるためにはどうしたらいいかということを掘り下げていくと「他人の役に立つ」「他人のために何かする」という結論に行き着くそうです。
良心の通りに行動できたとき、自分の心が温かくなったり、清々しい気持ちになったりする。つまり「快」を得る。
そんな感情的経験がたくさんできる会社が、これから「人が集まる」会社になる。
一人ひとりを大切にせず、ただの駒としてしか見ていない会社で働く社員は疲弊します。社員全員が同じ方向を向き、お互いに良心を発揮するためにはやはり直接接する機会を多くすることが重要になってくるのです。
本書では、社長が必ず社員の身元保証人に会いにいく例や、社長自らドライバーのためにコーヒーを淹れて雑談タイムを大事にしている例なども載っています。
この話を聞いて、真っ先に思い出した社員食堂や社員のコミュニケーションに力を入れている知人の会社がありました。専門のスタッフがいて、社員食堂は毎日無料。メニューもオーガニック食材にこだわり、農家の方にまで会いにいってメニューを組み立てているそうです。
社員食堂があまりにも美味しいので、社員は外に食べに行かなくなり社員同士の会話の量がぐっと増えたそうです。取引先の人を招待することもでき、それが評判になって打ち合わせに来る頻度なども増えたのだとか。
朝もコーヒーを淹れてくれるスタッフがいて、そのときに挨拶がてら会話を交わすそうなのですが、毎日会っているとだんだん悩みをポツポツ話す人も増えてきて、その結果離職率が大幅に下がったそうです。
効率やコストを重視すれば社員食堂の導入は大変ですし、全部の会社が導入できるものではありません。が、知っている相手だと許せる、思いやれる範囲って広がるものです。小さなことがイライラする対象になってしまうのと、優しい気持ちで見られる対象になるのとでは、積もり積もって会社全体の雰囲気は全く違うものになるでしょう。それは、結果として生産性にも大きな影響を与えるのです。
こうした「温かい会社」、人が集まる会社をつくるためには、会社の軸を決めることも重要です。そのための重要なツールとなる「クレド」のつくり方についても詳細に解説しています。大谷翔平選手が高校時代に目標設定をするのに使ったことで有名になったマンダラチャートを使ってクレドを決める方法なら、普段意見をあまり出さない人も参加しやすいのではないでしょうか。
個人のなりたい姿、そのためにどうしたいか。「業界の問題点」「自社の強み」「10年後はどうありたいか」など核となる言葉を決め、それを囲むようにマンダラチャートに連想するキーワードを書き出していき、重要なものをその中から選んでさらに細かく分解してまとめていきます。
一見バラバラなように見えるものも、価値観が同じ方向に向けられる統合ポイントが見えてくるのだとか。日常的に使える行動に落とし込んでいきます。ここで大事なのは、みんなの意見を統合してまとめること。それによって全員が腹落ちする目標を作ることができるのです。
もっと細かい点まで知りたい方は本書を手にとってみてください。良い雰囲気を作れている会社の実例が多く載っているので、経営者として、また部下を持つ立場として会社の雰囲気作りに悩んでいる方には参考になる1冊となるでしょう。
- 電子あり
これからの「いい会社」とは? それは「人が集まる会社」かどうかで決まる!
これからは「人が集まるかどうか」が会社を選ぶ基準になる。超人出不足の時代。少しでも悪い評判が立つと、その会社に人は集まらない。
また、消費者も本物を選ぶ時代。提供する商品やサービスだけではなく、会社そのものの魅力をアピールできなければ、選ばれない時代になった。
働き方改革やコンプライアンスをまじめにやればやるほど、社員がつらい思いをして、「人が逃げ出す会社」になるのはなぜか?
どうすれば「人が集まる会社」になれるのか? どうすれば「人が逃げ出す会社」にならないようにできるのか?
著者は1000社以上の会社と関わりながらあることに気がついた。
ひとつは人の心が感じられて、関わる人の心も温める「温める会社」。
もう一方は、人の心が感じられず、関わる人の心も冷やす「冷やす会社」。
当然前者の「温める会社」には人も集まるし、結果として経営も安定する。一方、「冷やす会社」は数字的にはうまくいっているところもあるが、人の出入りは激しく、社内はギスギスしている。
人が集まる会社にすれば、利益はあとからついてくる! そのための方法を多くの事例をあげて説明する。
レビュアー
20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。
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