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前世、輪廻転生、ソウルメイトetc.……そんな目に見えないものを信じるなんて、とバカにしている人にこそ読んで欲しい！　もしかしたら、あなたが気づいていないだけで、相手はあなたのことをこんなふうに見ているかもしれませんよ。

『前世カップリング』に出てくるのは、前世でも深いかかわりを持っていた男女４組。その４組が現世において違う形で出会ったら、しかもどちらか一方だけが前世の記憶を持っていたら、またはどちらも前世を覚えていたら……。

八尋（やひろ）とひなは、前世では相思相愛の婚約者同士。しかし、祝言の前日、病気が悪化して雛（前世では漢字表記）は亡くなります。いまわの際に「たとえどちらかが今とは全然違う姿になっていても、八尋のことは一目見たらすぐに分かるわ」と言い残して。

その言葉を信じ、現世でついに雛を見つけた八尋ですが、前世の記憶があるのは八尋だけ。しかもひなはバリバリのJK（女子高生）で、八尋はランドセルに短パン姿の小学生だったのです。

もう、この設定からして心を鷲づかみにされました。なにかと口実を作ってはひなに近づき、前世を思い出してもらおうとする八尋の健気な姿が、可愛いいったらありゃしない。

しかも八尋の心は成熟した大人なのに、 "ゴールデンヒーロー金吾郎マン"のシールを目にした途端、現世の体と精神はそれに抗うことができず、小学生の男の子の行動をとってしまうあたりがたまらないです。 こんなお子ちゃまの八尋に対して、ひなが恋心を抱くわけもなく……。

私が一番、ウケたのは、「夢の中で同じ男性に会うの」「運命の相手かも」という雛の言葉に、自分のことを思い出してくれるのではないかと八尋が期待するシーン。

私自身、恋人らしき知らない男性が出てくる夢をよく見ます。ところが覚えているのはオレンジ色のTシャツを着ていたとか、笑顔が素敵だったというぼんやりした感じで、肝心の顔だけはどうしても思い出せないのです。だから、このシーンも顔だけモザイクがかかった絵が出てくるだろうと想像したら、落書きレベルの絵が出てきて吹いてしまいました。

実はひなも、顔だけはいつも思い出せないらしく……。それでも夢の中の人は「和服を着ていた」とひなが言うので、八尋はこんな写真を見せます。

ここでも、祖父や父親など自分と顔が似ている成人男性の写真を引っぱり出してくるのかと思いきや、七五三ですからね。やっぱり八尋は可愛い。

この漫画は、こうした読者の想像を超えてくるシーンが随所に出てくるので、とても小気味いいです。

八尋と同じように、愛する女性に対し一途に愛を捧げるのが、もう一組のカップルの丞（じょう）。前世では、一国のお姫様だったまりあとその使用人だった丞は、並んで歩くことすら許されぬ仲でしたが、現世では2人とも同じ学校に通う高校生。そして２人とも、前世の記憶を持っています。

ところが困ったことに、前世の習性がそのまま残っていて……。

丞はアウトローでクールなのに、やることなすことズレていて、でもそれを必死に真面目にやるところがまた、女心をくすぐります。

女の子の多くは、彼氏（過去の彼氏も含む） のことを前世でも何かしらの繋がりがあったと考えるのではないでしょうか？
だから、この漫画を読みながらも、実際の彼氏と自分の前世を空想するという２つの楽しみ方ができるのも、この漫画の魅力です。

丞と同様、昔の習性が抜け切れていないのが、３組目のカップルの鈴。

鈴もJKで、鈴が通う高校の教師が光利（ひかり）。この２人の前世は、な、なんと猫と飼い主のおじいさんでした。

猫が人間に生まれ変わることができるのかというのは置いといて、確かに大好きだった猫と会話することができたらと思うと、これもありだなぁと思ってしまいます。

鈴は猫の習性が時々現れてしまい、光利の布団に入って来たり、膝の上で丸くなったり。当然、猫のころとはサイズが違うのに。

さらに４組目のカップル、竜と唄。竜は本心では唄が大好きなのに、前世では素直になれず、口を開けば唄の悪口ばかり。唄も売り言葉に買い言葉で、２人は顔を合わせれば激しく罵り合う仲でしたが、現世では激愛カップル。ところが、過去を知っているのは竜だけで、唄が記憶を取り戻したら、また喧嘩になるのではないかとビクビクしています。

実はこの竜と唄は、八尋とひなとは前世でもグループ交際をしていた仲でした。

現世で、再び巡り会った４人。しかし、前世を覚えているのは男性２人だけ。唄はいつ前世を思い出すのか？　そして雛は、小学生の八尋と再び愛し合うことができるのか？　

というところですが、たとえ今は小学生とJKでも、大人になったらあり得ない歳の差ではないというところが、また夢があるなぁと思うわけです。

現実の世界で、今、彼氏がいない人も、前世で約束をした彼氏が、まだ子供だから出会えていないだけかもしれません。自分に都合のいい解釈だと言われようが、何だろうがいいんです。夢見たもん勝ち、信じたもん勝ち。こんな女の子の夢と希望がぜ～んぶ詰まっている、それが『前世カップリング』なのです。