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奇跡のアラ還! 君島十和子さんが年を重ねてなお輝き続ける理由を徹底解剖!
その人が何を大切にして生きているかを知る
君島十和子さんの本が好きです。数ページ読むとたちまち姿勢がよくなるし、両手にお掃除クロスを持ってキッチンをぴかぴかにしたくなる。そして表情が明るくなる。数ある美容やライフスタイルを伝える本のなかでも、とくに何度も手に取って読み返しています。
十和子さんの真面目でキリッと清い人柄や美意識に触れるとうれしくなるんです。とくに言葉がとてもしみる。そんなことまでお話ししてくれるの? とドキッとしながら姿勢を正して、言葉のひとつひとつを注意深く拾いたくなる。
十和子さんの本を読むと、「美しさ」は持って生まれたものだけではないし、ただ表面的に取り繕(つくろ)っても手に入らないのだなと気づかされます。だから特別なんです。
ということで、『アラ還十和子』も繰り返し読んでいる真っ最中。どのページを開いても元気が出る! もうすぐ還暦を迎える魅力的な女性が、何を大切にして生きているかを、素敵な写真とたっぷりの言葉で伝えてくれる本です。
心の中、義実家やママ友とのお付き合い、シーンにあわせた装い、年を重ねること、コスメボックス、ギフト選び、そして冷蔵庫の中や愛用のお掃除道具まで見せてくれます! すべてに美学が行き渡っています。
家族で話し合って決断したこと
「悩んでもしかたないことに心を傾けない」と語る十和子さんが教えてくれる「仕事」や「家庭」の話は、いろんなライフステージの人の心に響くはず。なぜなら、十和子さんがいっぱい悩んで「でも、こうするのだ」と決めた軌跡がわかるから。
私は子育ての経験がまだないけれど、十和子さんの仕事と子育てのバランスの話がとくに好きです。かつて抱えていた葛藤を、こんな素直な言葉で繊細に表してくれます。
娘たちがすっかり大きくなった今でも、街中のカフェなどで、小さなお子さんをあやすお母さんを見ると少しだけ切ない気持ちになります。夕方が近づくと、ソワソワした気持ちになることも。それはきっと、育児と仕事の両立に奮闘していた頃の名残。働いているから、専業主婦のお母さんたちみたいに、存分に娘たちのそばにいてあげられない。その罪悪感から『私はダメなお母さんなのでは?』そんな自問自答を繰り返す日々だったのです。(中略)
夕食が夜8時を過ぎてしまうことも多々あり、いつもとにかく焦っていましたね。食事の支度中、娘たちがテレビ番組のグルメ特集を観ているだけで『よっぽどお腹が空いているのね、かわいそうに』なんて暗い気持ちになったりもしました。
働くお母さんの罪悪感が目に浮かぶようで、読むと胸がチクッと痛くなる。共働きがまだ一般的じゃない時代に、仕事と家庭の両方を全力で守った人の悩みは、多様な働き方を選べるようになった今にも重なります。
娘たちが小さかった一時期、私は時短勤務をしていました。これは夫と話し合い、我が家のスタイルとして選択したこと。(中略)いわゆる“在宅勤務”状態でオフィスにいるのと同じように働いていました。それでも、『全力で仕事をしない人だ』と見られてしまったこともありましたし、それを嫌がり、離れていった人もいました。当時はショックでずいぶん落ち込みました。ですがその経験を通して学んだのは、考え方は人それぞれで、悩んだところで何も解決しないということ。当時の我が家にとって、私が時短で働くことは必要なことでした。家族で話し合って決断したわけですから、何を言われようとも全うするしかないのです。
リモートワークとオフィスワークとの間でモヤモヤと悩む人は大勢いるはず。でも、自分で選んで責任を持って全うすることでしか答えは示せないんですよね。そして、こうしたショックな経験のあとに添える十和子さんの言葉がとても素敵。「十和子さーん!」って叫びたくなる。
かといって、『あなたには関係ないでしょ』や、『何も知らないくせに』とも考えませんでした。そういう考えもあるのかと学ばせていただいた、と気持ちを切り替えるようにしていました。それに、子どもたちもずっと赤ちゃんのままではありません。いずれ、“産む前”と同じように、いえ、ままならない子育てという経験を積んだ分、より一層フルスロットルで働ける日は必ずやってきます。
「悩んでもしかたないことに心を傾けない」って、こういう姿なんだ。ままならない状況にいても、目の前のことにまっすぐ取り組んで誠実に生きるカッコよさが伝わってくる。読書好きの十和子さんが、村木厚子さんの著書「あきらめない」を繰り返しおすすめされているのは、きっと「誠実な強さ」を大切にしているからなのかもしれません(十和子さんがきっかけで私もこの本の愛読者です)。
美学は、美容や生活にあらわれる
『アラ還十和子』は、十和子さんの最新の生活や心身の揺らぎもすくい上げます。そう、すごく「最新」なんです。50代の女性が何を思って、何に悩んで、健やかに輝いて生きているかがわかる。
コスメブランド・FTCの開発責任者で、ブランドの顔である十和子さんは「実はスキンケアには時間をかけていません」と話して、朝と夜のルーティンを丁寧に紹介します。習慣のひとつひとつに理由があります。そして、メイクはどんなシーンでもトレンドとマチュアさが漂ってとても素敵。
大切な仕事の会食で、なぜ華やかなお化粧を丁寧に施すのか。それは「距離感を縮めたい」という気持ちを相手に伝えるため。
これらのスキンケアやメイクの手順で紹介されるコスメたちは、自社製品と国内外のいろんな製品のハイブリッド。十和子さんのリアルな声が聞けます。それに、「暗闇ラジオ体操」なんていうすぐに取り入れられる美の習慣も、なぜそれが良くて、どんな意味があるのか、大切なポイントを押さえつつ紹介してくれます。
そして「年齢を重ねること」への向き合い方からも、十和子さんの人柄が伝わります。
目尻に現れるシワや肌のもたつき、体力の衰え。年齢を重ねることで現れるこれらの変化を、100%ウエルカムだとは思っていません。(中略)だけど、時間を巻き戻すことは誰にもできません。たとえものすごいお金と労力をかけてエイジングサインをすべて消し去り、20代、30代の頃のピカピカなお肌や身体に戻せたとしても、その不自然さを自分が一番受け入れられないと思うのです。(中略)だとしたら年齢を重ねることで現れる変化を楽しんでしまったほうが人生はずっと豊かになります。どう頑張っても失われていくものに気持ちを費やすことほど、無駄なことはないのですから。
ここでも「悩んでもしかたないことに心を傾けない」のモットーが光ってる。私はアラフォー世代ですが、十和子さんのような美しい先輩のおかげで、エイジングがちょっと楽しみですらあります。SNSや出版の文化に励まされた世代です。
十和子さんの強さや「決めてきたこと」は、キッチンでも体現されています。
ごはんのポリシーを紹介するページでエプロンのブランド名もさらっと載っているのが好き! しかも、そのエプロンのどこがお気に入りかまで教えてくれる。そうそう、ライフスタイルの本は、こういうところが楽しいんですよ。すみっこまで読んじゃう。
「お掃除はある種の浄化」、「たっぷり掃除に時間をかけている余裕はないので、インテリアは掃除しやすいシンプルスタイルと決めています。ゴージャスなインテリアにも憧れますが、埃が溜まりやすく手間が増えるので今は我慢!」という方針のもとしつらえた君島家のリビングは、モダンかつ家族の歴史が感じられる明るい空間でした。とてもステキに紹介されているので、ぜひご覧ください。ここでも十和子さんの「働く私ができること」や「なぜ」が行き渡ってる!
美しい人の数だけ美容やライフスタイルの本があります。そのなかでも『アラ還十和子』は、ひときわ明確に「何を大切にすると決めたか」がわかります。多様で何でも選べそうな時代だからこそ、「決める」ことは、人を引きつける。一人の女性が、昭和から令和にかけて真面目に生き、大切なものに心を寄せ、今もやわらかく輝く姿を堪能できる本です。
※写真はすべて書籍『アラ還十和子』より
- 電子あり
美容から更年期、子育ての話まで、すべてがわかるライフスタイル本!
1966年5月30日生まれ。50代も半ばを過ぎて、十和子さんは「アラ還」となった。
年齢を感じさせない美しい肌、完璧に整った顔立ち、すらりとしたボディライン。コロナ禍を経て空前の美容ブームとなっている今、十和子さんの人気と注目は、ますます高まっています。
雑誌などでは美容家として、さらには自身が開発に携わるコスメブランド、FTCの「顔」として華やかな姿を見せる一方、定期的に行っているインスタライブではすっぴんを披露し、自身のエイジングについても率直に語る。バラエティ番組ではバンジージャンプや激辛料理など、体を張った挑戦だって厭わない。
美しく上品で、ゴージャスな十和子さん。
親しみやすく、優しく、好奇心旺盛な十和子さん。
どちらの彼女も取り繕っていない「本質」。だからこそ、私たちはこんなにも、惹かれてしまうのでしょう。
「どうしてそんなに素敵なの?」「その魅力の秘密を知りたい!」という多くの皆さんからのラブコールで、『アラ還十和子』は生まれました。
この本では、彼女の美を支えるポリシーだけでなく、仕事や家族、友達への想い、生き方など、十和子さん自身の素直な言葉を通して年齢を重ねてなお、輝き続ける理由を紐解いていきます。
レビュアー
ライター・コラムニスト。主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」などで執筆。
twitter:@LidoHanamori
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