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女優・吉田羊は「美味しい」ものでできている。食を通して伝える驚きと感動!
吉田羊さんのどこが好きって、きれいな女優さんなのに、気取ったりカッコつけたりせずに、自分を曝(さら)け出すことができるところ!!
きっと普段から堅実で、ブレない自分を持っているからこそできることだと思うのですが、この本はまさにそんな“素顔”の吉田羊さんをいっぱい見ることができます。
『ヒツジメシ』は、現在も連載中の月刊誌「おとなの週末」に、2015年1月号から2022年11月までに登場した94回分を再編集したもの。
最初にオファーがあった時の裏話が「はじめに」に載っていて、羊さんの文才に一気に期待が高まります。
羊さんは、普段はひとりで取材に行くことが多いそうですが、今回は特別に編集者が「密着『ヒツジメシ』はこうして作られる in 根津」で、その様子を知ることができました。
まず驚くのは、ほぼ “すっぴん”のピカピカの羊さんの写真。
いつも「覆面ならぬ顔出し調査」なので、隣の席から「似てる」「違うよ」のヒソヒソ話が聞こえてきた、なんてエピソードも笑えます。
さらにヒツジの着ぐるみを着て、ノリノリでポーズをとる羊さんの“さまになる”ことと言ったら!!
もちろん、グルメ本としても優れていて、私なんぞは、どうしてもこれが食べたい!!と実際に食べに行ってしまったのですから。
そのお店は、渋谷道玄坂から少し脇道に入ったところにある『長崎飯店』。
「長崎に父方のルーツを持つ私は、小さい頃からちゃんぽんや皿うどんが当たり前に食卓に並ぶ家に育った」という羊さん太鼓判のお店でありながら、お値段はリーズナブル。
圧倒的にちゃんぽん派の私も、今回は羊さんと同じ、皿うどん“ハード麺”(900円)を頼みました。
「海鮮のダシがしっかり利いて、口に運ぶ手が止まらない」と食レポにあるように、牡蠣(かき)が入った餡とよく馴染(なじ)む極細麺に、皿うどんってこんなに美味しかったのか!!と思いました。
こういう庶民的なお店に女優さんが出没するというのも、うれしい驚きです。
さらにこの本は、エッセイとしても面白い。
羊さんといえば、お酒が似合うカッコイイ女性というイメージですが、実は「20才半ばまでは、コップ半分で顔を真っ赤にしていた」というのです。
ところが、ある女優仲間に言われた、「女優は飲み勝つか喋り勝つか出来ないとね」で開眼。「かつて、最長飲酒時間記録19時間を叩き出した」こともある、「二日酔い知らず」だとか。姐さん、カッコイイっす!!
吉田羊さんは、2022年に俳優デビュー25周年を迎え、日本アカデミー賞優秀助演女優賞、紀伊國屋演劇個人賞など女優として確固たる地位を築いてきたのですが、もう一つ加わった称号はなんと「納豆クイーン」。
全国納豆協同組合連合会によって選ばれた納豆クイーンの、酒のアテとしてよく作る納豆料理、今度作ってみようと思います。
ほかにも、約10種類のスパイスを使った手作りカレー、羊母直伝レシピ付きの「ヨシダメシ」、地元久留米の懐かしい味、1泊2日の餃子ツアーにお取り寄せなど、とにかくバラエティに富んだ内容で、羊さんの歴史と日常を垣間見ることができます。
さらには、まだ“子羊”だった頃の(何度見ても笑える!!)写真まで……最後の最後まで楽しませてくれる『ヒツジメシ』でした!!
- 電子あり
■吉田 羊 待望の初エッセイ! 「美味しい」世界へようこそ
2022年で俳優デビュー25周年を迎えた吉田 羊さんの初単行本! 2015年から『おとなの週末』で連載を続けた「ヒツジメシ」がついに1冊になりました。
日々の食体験を通して、下積み時代から現在までを振り返ります。懐かしい思い出のお店、また、ふるさとや母の味、そして今気になる街や味をめぐりながら、仕事のこと、大好きな人や街のことなどを綴ります。
吉田 羊さんの食の思い出を追体験しながら、ある時はほっこりしたり、ある時は「あるある」とうなずいたり……。また、女子が気になる美と健康などについても触れます。
単なる美味の食レポにとどまらず、食体験を通して吉田 羊さんの姿が垣間見え、読み物としても楽しく、グルメガイドとしても役立つ1冊です。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp
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