ボッチ参加のオタクに仲間ができた(ただしヤクザ)
原宿にあるコラボカフェの前を通りかかるとたいてい楽しそうに行列に並ぶグループがいる。お互いの大好きなものを分かち合える大切なバディなんだろうな。
だから『オフ会したらとんでもないやつが来た話』の“ミキ”が、一緒にオタク活動に邁進できるお友達を求めたのはごく自然なことだろうなと思う。そして“イチゴさん”に出会えてよかったねえと心底お祝いしたい。ただ、初めてのオフ会で待ち合わせ場所に現れたのは……、
ハンドルネーム・イチゴさんの現実の姿はこんな感じ。イチゴさんって、もしかしてあまりに風貌が怖くて勘違いされちゃう系?
勘違いとかじゃなくガッチガチのヤクザだった。見たまんま!
なおイチゴさんと対面する直前までミキが抱いていたイチゴさんのイメージはこちら。
笑う。つまりSNSなんてしょせん虚構の世界なの? いいえ。
イチゴさんとミキが知り合ったきっかけは、オフィスBLゲーム「ワーク・ラブ・ハーモニー」。2人はこの作品をこよなく愛し、登場人物のカップリングについても好みが一致。
推しを愛していることに間違いはなく、つまりSNSは真実を語っていたし、ちょっと素性が明らかになってなかっただけなのだ。
推しカプ語りに花を咲かせる2人。一瞬で過ぎてゆく時間。あまりに楽しくてミキは「この際ヤクザでもいいや」とちょっと思ってしまい、オタク活動でボッチ卒業どころか新次元へ突入することに。
好きな同人誌は幼児系パロディ
カフェでの対面のあと、イチゴさんとミキは一緒にアニメショップでお買い物。
オタクグッズ界隈の現状だって、普段のお仕事で「債権回収」をやっているイチゴさんならではの視点で語るとこんな感じに。笑えないけど笑ってしまう。
そんなイチゴさんが嗜む同人誌のジャンルは、原作沿いか幼児系パロディ。とくに幼児系については「推しが生まれてから見守れる」から尊いのだそう。
幼児系をちょっと特殊な事情によって深く愛するイチゴさん。そして、そんなイチゴさんの言動に青ざめる瞬間は頻繁に起こるけれどオタク活動はエンジョイできちゃうミキ。いいコンビなんですよ。最後のコマとかホント幸せそう。
『オフ会したらとんでもないやつが来た話』は終始このギャップの嵐なんですよね。ヤクザとオタクが交互に出てきて忙しい。ミキが「まあいっか」とエンジョイし、イチゴさんも楽しそう。ああホッコリ。
アネゴに見ていただきたいものが
カフェでのおしゃべりとお買い物ですっかり打ち解け、2人はオタク仲間としてネクストステージへ進むことになる。
実はイチゴさんは同人誌を買うだけではなく作る側にも興味があるのだ。
たとえ道端で見つけても絶対開けちゃダメな感じのジュラルミンケースの中をあけると……?
ほらやっぱり! でも、ミキは諸事情ありそうな緩衝材にドン引きしつつも、「拝見します」と丁寧に言ってから、イチゴさんの作品(幼児系パロディ)を読みはじめるんですよね。こことっても尊い。
しかもイチゴさんのマンガはオタク心を揺さぶるもので……!
待って、イチゴさんめちゃくちゃかわいい! なおイチゴさんの画力が上がった理由もヤクザがらみ。
で、イチゴさんのすばらしい才能は、ミキにイチゴさんの職業のこととかを忘れさせます。
イチゴさんが描いて、ミキが売り子……2人は同人サークルを結成し、イベントへ出ることに。
東京ビッグサイトの鉄砲玉
ということで、ヤクザとカタギのオタクコンビがいざ東京ビッグサイトへ!
ミキの不安は的中してしまうのか……!? はい、準備の段階から大変。まず刷った本を段ボールから取り出します。
ガムテープをカットする刃物がちょっと銃刀法違反っぽくて気になるよ。まあいいや、イチゴさんの同人誌がいっぱい売れますように。今回は50部刷りました!
なお、イベントに来たのだから、当然お買い物も楽しみのひとつ。
売り子として店に立つミキの代理として鉄砲玉のように駆け出すイチゴさん。事件性がありそうでないけれど、本当に何事もありませんように……!
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。